僕はホラー映画は観ない。
学ぶべきものが少ないというのは表向きな理由。
本当は怖いのがイヤなだけ。
なぜお金を払って怖い思いをしなきゃいけないんだ・・・。
と思っているのは正直なところ。
ホラーファンからは軟弱男子と鼻で笑われるかもね。

当たり前の話だが、本作をホラー映画とは思っていなかった。
女性のドロドロを描く意味ではそんな要素があると予測はしたが、実際は・・・。

今年、観た作品の中では衝撃度が高い。
強烈な映像が脳に焼きつき、夢に出てくるのではないかと心配になった。
しかし、怖いだけの映画ではない。
学びも多かった。

美しさを売りにする恐ろしさ。
いつまでも注目を浴びたいと思う人の愚かさ。
倫理は感情に勝つことはできないこと。
美しさの最終的な裏側にあるもの。
むき出しの欲望の果ての先の世界。

僕の心はグラグラと揺り動かされ、衝撃的なラストと共に張り裂けた。
多分、2度と観ない。
いや、観るかもしれない。
時間の経過と共に観たい気持ちが生まれるかもしれない。

60代を迎えても(作品中は50歳)一定の美しさを保つデミ・ムーアと
抜群の美しさを見せるマーガレット・クアリーの肉体美は間違いない。
下心ともいえるのか。
それにも増してスピード感あふれる展開に気持ちを持っていかれる。
ホラー映画は観ない姿勢を凌駕する。

だから、いいたい。
ホラー映画が苦手な人も観て欲しい。
そんなことを書きながらどんな作品か全く説明していなかった。

元人気女優のエリザベス(デミ・ムーア)が年齢とと共に仕事がなくなり、
打開策として「サブスタンス」という違法薬品を入手し、若さと美しさを手に入れる。
スー(マーガレット・クアリー)という美しい女性に入れ替わることができるのだ。

これだけ聞くとファンタジーっぽさも・・・。
しかし、世の中は甘くない。
ルールに従わなければ恐ろしい世界が待っているという流れ。

本作に登場する人物はことごとく軽い。
目の前の欲にむき出しに向かう。
見苦しさを感じるは否定はできない。

今の社会といっておかしくない。
えっ、これは社会派映画か・・・。
そんなことも感じたり。

あの二人はルールを守っていたらまっとうな人生を歩めたのか。
それもきっとムリ。
いろんな想いを巡らせながら本作を観てもらいたい。
気分はよくないけもしれないけど。