おれ流1
昨日は僕が加盟する団体のイベント。記念講演は前中日ドラゴンズ監督の落合博満氏。
8年の在任中、4度優勝というドラゴンズ史上最も素晴らしい成績を残した監督。
講演タイトルは「”おれ流”輝ける野球人生」であったが、実際の講演内容はほとんど関係なかった。あまり関係ないだろうとは何となく予想していたからいいけど・・・。ただ予想を遥かに超えた素晴らしい講演であったことはしっかりと言わなければならない。
落合氏は無口で無愛想、サービス精神もない、まさにオレ流一本やりというイメージかもしれないが、それは全く異なる。
時折、笑いを誘い、聴衆の心理状態を把握し、巧みに話を進めるタレントだ。長いと感じるであろう90分を退屈させることなく、何の映像やパワポにも頼らず話を進められた。
ロッテ入団から三冠王を獲得する卑屈な時代からドラゴンズの監督時代、解説や講演を行う現在、そして先日のクライマックスシリーズまで、話の展開はあちこちに広がったが、落合氏の人物像は一貫していた。その生き方がぶれることはない。そこがまさに”オレ流”というべき。
いつの時代かは明らかにされなかったが、子供の学校のPTA会長も務められていたようだ。
その時に一緒に活動していた母親連中を上手くまとめあげたことが、後のドラゴンズ監督としての人材掌握術に繋がったとは驚きである。そこでの学びが監督業として全部生きたわけではないだろうが、落合氏の組織をマネジメントする基礎であり、その後の指導方針には共感する。
以前、ブログにも書いた「采配」に盛り込まれている要素も語られていたが、その手腕はビジネスにおけるリーダーシップに通じる。
どんな言葉を掛け、どんな態度を示せば人が動き、またプレッシャーとするのかを完全に把握している。野球人にありがちな感覚ではなく、理論で動いている。
何より自らの目的は何か、選手の目的は何か、そのために何が最善策なのかが明確なのだ。それは散々非難されたファンサービスについても自らの考えを貫いている。
そんな話を拝聴できただけでも十分価値はあったが、最後に話されたことにも感動を覚えた。
落合氏は退任が決まり、最後にオーナーの下へ挨拶に出向いた時に尋ねたという。「これまで自分がチームを率いて良かったのか?」と。オーナーは「お前で良かった。」と一言、感謝を述べた。
その時、それまで背負っていたものから、初めて解放されたという。気持ちよくユニフォームが脱ぐことができると・・・。
やはりプロだ。
最後の最後まで責任を全うする生き方を感じたラストの言葉だった。