勢いで書いてしまおう。
楠木氏と並んで面白かったのが、早稲田大学大学院の入山章栄准教授の講演。
会場内を無尽に動き回るパワフルな講演。
1日9組ある講演スケジュールで時間も厳格なはずなのに平気で10分延長された(笑)。
しかし、誰も文句は言わない。
もっと話を聞きたいと思う人がほとんどではなかっただろうか。

僕は入山氏を知っているような知らないような状態だったのだが、
4年前に著書をブログに書いていた。
こんなことを書いていたのだが、まったく覚えていない。
これでは優秀な経営者になれるわけがないですね・・・。
悲しくなります(笑)。

今回のテーマはブログタイトルにあるとおりだが、
キーワードは「イノベーション」。
入山氏に言わせればイノベーションとは知と知の組み合わせ。
それも今ある既存の知と別の場にある既存の知の組み合わせ。
全く新しいことはないという。

新たな組み合わせでイノベーションが起きるに過ぎず、
「新結合」がイノベーションとなる。
イメージでは世の中に存在しないものを編み出す感覚だが、
そんなことはあり得ないらしい。

そして、そこで必要になるのが「知の探索」と「「知の深化」。
この両利きの経営ができるかどうかでその企業がイノベーションを起こせるかが決まる。
一般的には「知の探索」を追求すべきなのに、
失敗や経過する時間を恐れ「知の深化」にシフトし、イノベーションが進まないことが多い。
言葉だけでは分かりにくいが、その状況を想像すると何となく分かるかもしれない。

入山氏はAppleがイノベーションを起こし続けた理由を、
ジョブズが数多くの失敗をしたからだという。
一時的に話題になったものの数多い失敗作が結果として今のAppleの存在を作っている。
そう考えると今のAppleは失敗作を出していない。
もしかしたらこの先不安なのかもしれない(笑)。

そして、企業がイノベーションを起こすために必要となる3点を挙げている。
まず個人に対して成功、失敗の人事評価を外す。

2つ目は組織として人材の多様化を進める。
ここでは人材の多様化が目的ではなく、あくまでも手段。
それはバラバラな知見や価値観を取り入れることが知と知の新たな組み合わせ。

3つ目は情報を得るための人脈作り。
強い結びつきでなく弱い結びつきを広めていく。
その方が知の探索に繋がりやすい。

なるほど・・・。

現状の会社の課題と一致する。
僕は少し前まで純粋培養の組織を作ることを心掛けてきた。
新卒採用を基本とし会社へのロイヤリティを上げる。
それが大切なことだと考えていた。
ある意味、正しいと思う。
価値観のぶれない一体感のある組織は作りやすくなる。

しかし、イノベーションが起こりにくいのも事実。
知と知の組み合わせ。
冒頭に書いたように別の場にある既存の知が足りないことに気づく。
社内を見渡しても既存の知だけでなく、別の場の知の必要性を強く感じる。

それを入山氏が判りやすく説明してくれた。
いやいや、学ぶ面が多かったし、これからの組織作りにおいて大いに参考になった。
具体的な戦略はこれから考えるにしてもいいヒントを頂いた。

ありがとうございました。