自分の教養のなさを恥じた。
シェイクスピアもハムレットも知ってはいるが読んだことはない。
名言といわれる 「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」も聞いたことはあるが、
どんなシーンで使われたかは知らない。
名作戯曲「ハムレット」を読んだり舞台で観ていたら、もっと映画を味わえた。
自分の教養のなさを恥じた作品になってしまった。
舞台は16世紀のイングランドの小さな村。
そこで出会ったウィリアム・シェイクスピアとアグネスが家庭を築き、
子供との関係性を通した物語。
なんてことはない。
作家としてロンドンで活動するウィリアムと
不在の家庭を守るアグネスとその子供を描いているだけ。
冷めた表現でいえばよくある光景。
ウィリアムはその後、作家として大成するが、元々はフリーターのようなろくでなし。
訳ありの女性アグネスと恋に落ちたばかりにあれこれと面倒な経験をし乗り越えていく。
こんな書き方だとシェイクスピアやクロエ・ジャオ監督のファンに叱られる。
高尚な物語が軽薄な恋愛ドラマにすり替わる。
決して作品を侮辱しているのではなく、あくまでも別の目線。
こんな僕でも奥深い描き方やアグネスやハムネットの表現力に吸い込まれた。
死に向かう子供のありようをあんなふうに見せるとは。
家族の在り方が芸術に変わっていった。
本作は「ハムレット」の誕生秘話をフィクションを交え描く。
しかし、観る者は実際の出来事と解釈するだろう。
それも仕方がない。
あまりにも演技がリアル。
妻アグネスを演じるジェシー・バックリーと
息子ハムネットを演じたジャコビ・ジュプが素晴らしすぎた。
ジェシー・バックリーのアカデミー賞主演女優賞は誰もが納得。
最後の最後まで、ラストショットまで素晴らしかった。
本作の高い評価も頷ける。
しかし、日本人にとって理解しやすいかどうかは別物。
死に至るシーンは万国共通だが、
それ以外はヨーロッパならではの共感もあるのではないか。
中国出身のクロエ・ジャオ監督は上手く演出したと思うけど。
今年前半の映画では最も芸術性の高い作品といえるかもね。


