映画コラムニストはどんな作品でも観なきゃいけない。
それがたとえR18であったとしても、話題性や芸術性があれば問題はない。
SMシーンがハードだとしてもそこは敢えて挑む。
これも仕事なんだと自分に言い聞かせて観るのだ。

と、言い訳じみた書き出しになったが、本作はかなり過激な映画。

冒頭シーンから観る者はショックを受ける。
しかし、映画が進めば進むほど純粋なラブストーリーのような気がするし、
屈折した人間関係を表現する社会派ドラマのような気もする。

言っておこう。
エロ映画でも変態映画でもない。
どうにも生きずらい現代社会を違う角度から切り取った作品。
R18が成人映画という解釈はもう古く、大人しか分かりえない世界を描くカテゴリーとすべき。

事実、女性客も多かったし映画館はミリオン座。
世界の佳作を流し続ける映画館だ。
「ドライブ・マイ・カー」だって最初はここしか上映してなかったんだぞ。

と映画館を味方につけて自分を正当化する。
ただし、ここで映画を深くは語らない。
どうしても墓穴を掘りそうだし、危うい表現も溢れてしまいそうだから・・・。

僕は原作も作者の存在も知らない。
その分野では有名な作家だが、僕は本作で初めて知った。
廣木隆一監督作品なら面白いかも・・・と思ったのが理由だろうか。

廣木監督が描く真っ当でない恋愛ドラマに魅力を感じるのだ。
ピンク映画出身なのも下積み感があっていい。
5年前の「彼女の人生は間違いじゃない」はよかった。

この作品で瀧内公美さんの笑顔にやられた。
今やキネマ旬報主演女優賞を獲得する演技派。
昨年の「由宇子の天秤」も素晴らしかった。

横道に逸れたが廣木監督の「ヴァイブレータ」の男女の描き方も苦しくてよかった。
同時期に「ノイズ」が公開されているので、売れっ子監督の一人。
「ノイズ」は観てないけどね。

普通の人ならそっちを選ぶと思うが・・・。
それは僕が少なからずM的要素があるということ。
一般的に会社経営者はM的だと言われるけどね。
ここでも言い訳をしておこう。

本作のヒロイン、いや女王様の菜葉菜さんもキュートだった。
未だに苗字と名前の区別がつかない。
全部苗字かもしれないし、名前だけかもしれない。
どうなんでしょうか?
誰か教えてつかあさい。

今年はなんだかマイナーな日本映画ばかり観ている。
そろそろメジャーな日本映画を押さえたいが、何がいいんだろう。
琴線に触れる作品はないだろうか。