ビジネス小説は池井戸潤氏か真山仁氏くらいしか読まない。
そもそも小説を読む機会が少ないが、何となく気になり手に取った本書。
いや、何となくではないな。
以前からその題材が気になっており、あえて手に取った本書。
本当は手に取ったわけじゃなくて、ダウンロードしたんだけど。

この愛知県でビジネスを行う者としては気になる書籍であるのは間違いない。
描かれているのはどう見てもトヨタ自動車。
東海地区で仕事をする者としてトヨタ自動車の存在は大きく、
この地区、いや日本を代表する尊敬すべき企業。

悪者として扱う人はほとんどいないはず。
当然、僕もそう。
間接的ではあるがうちが恩恵を受けているのは事実。
地域への貢献度も高いからね・・・。

だからこそ本書の描き方が気になった。
登場人物もトヨタ自動車の歴代の代表を思い浮かべながら読み進めた。
ネットでの感想や投稿を読むとかなり特定されているし、辛辣。

武田剛平=奥田碩氏、御子柴宏=張富士夫氏、豊臣統一=豊田章男氏。
誰しもが想像してしまうだろう。
そして、裏ではこんな事件が起きていたんだ…と勝手に決めつけたり。
あり得ない話だとも思うし。
事実は藪の中で、それを信じたくない面もあるし。

ただ馴染みの場所が頻繁に出るので身近に感じたのも事実。
飲み歩く場所は錦であったり、丸の内であったり。
僕の縄張りじゃないか(笑)。

そして、語られる時代もまさに僕が歩んでいた時期。
リーマンショック前後は今でも鮮明に覚えており、本書のストーリーは当時をオーバーラップさせる。
だから余計に厄介だし、頭の中で妄想が勝手に膨らんでいく。

そんな意味ではこれまで読んだビジネス小説とは一線を画す内容。
ここに描かれているストーリーの真偽はともかく面白く読まさせてもらった。
たまにはノンフィクションを感じさせるフィクションを読んでみるのもいい。

本当にクレームがついたのかな?