pekkorosu149

原作が自費出版で、主人公は本人。それも本名のまま登場し、自らの経験をそのまま映画化されている。
原作のことも、その背景も、映画を観るまで全く知らなかった。
2013年度のキネマ旬報一位の作品ぐらいは観ておかなくてはというミーハー的な気持ちくらいしかなかった。

しかしながら、おもわずウルッとしてしまった作品。
それも最後の最後、あるシーンで一瞬、涙がホロリとなってしまったのだ。

認知症の母とそれを介護する息子の物語なので、重々しく感じるかもしれないが、
そんな雰囲気は全くない。
コメディと思えるくらい母と子の関係が面白い。
しかし、それは笑いをとる面白さではなく、その優しい関係性がとても心地よく面白いのだ。

多分、映画を観た方は、主人公同様、認知症という症状も悪くないなと思うだろう。
介護する側は大変だが、意外と当事者は作者(ここでいう主役)が描くような存在なのかもしれない。

認知症の母親役の赤木春恵さんは僕の中では3年B組金八先生の校長先生役が記憶に残る。
あの優しそうな校長先生も認知症のおばあさんになってしまうのだ。
そりゃあ、金八先生なんて中学時代だから34年も前の話。たしか中学2年のはずだ。

また、久しぶりに原田貴和子さんも見た。
最近、すっかりご無沙汰だったけど、しっかり活躍されていたんだ(すいません)。
この作品でも原田知世と姉妹出演しているわけだが、デビュー当時はこんな姉妹が家族だったら、
どれだけシアワセだろうと思ったものだ。
大林宣彦監督の「彼のオートバイ、彼女の島」はとても美しかった。
妹よりも好きになりそうだった(笑)。

いつものように作品とは全然違う方向に行ってしまった。
この作品の監督は森崎東氏。
こちらも随分、ご無沙汰じゃなかろうか。もう引退したと勝手に思っていた(すいません)。
現在86歳だから引退もあり得る話だと思うが、こんなステキな作品を撮れるなんて素晴らしい。
これが代表作になるんじゃないのかな・・・。

介護というのは、これからの時代、もっとも重要な問題となってくるだろう。
いずれ僕にも現実に訪れることでもある。まだまだ両親が健在なので、それに対する意識は足りないが、この映画を観ながら、自分はどう対処すべきなのだろうと考えたりもした。

それにしてもこの映画はいい。おススメです。