ディア・ドクター [DVD] ディア・ドクター [DVD]
(2010/01/08)
笑福亭鶴瓶、瑛太 他

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昨年のキネマ旬報1位の作品をDVDでようやく観る。
西川美和監督の前作「ゆれる」を観て、かなり揺れる思いになり人間の恐ろしさを感じたが、本作品でもその時程の冷ややかさはないものの、人間の揺れ動く様を感じた事は同様である。
可愛い顔して人の心を何ともえぐる監督である(スイマセン)。
作品の本筋とは異なるが、まず感動したのが香川照之である。TVの「龍馬伝」にしろ「坂の上の雲」にしても、今度の映画「あしたのジョー」にしても何でも出演する。どんな役でも演じられる。今回も医薬品メーカーの営業マンを微妙な立場で見事に演じていた。
僕とほとんど変わらない年齢でありながら、既に日本映画界の名バイプレイヤー。普通は60歳くらいになるとそんな存在になるとは思うのだが・・・。
本作品は笑福亭鶴瓶が演じるニセ医者の過疎の村の住民との生活を通して、人の善意や悪意(そうではなくずるさ?)を描いている。
僻地の医者不足や過疎化、高齢化など現実の社会問題をクローズアップさせながら、それを嫌味ではなく温かい視線で作られている。そのためか、おおよそ予測できるラストシーンも愛らしく感じたのかもしれない。
結局はどんな存在であれ、人と人は繋がっており、その背景には言葉にできない信頼がある。それは100%になる場合もあれば、50%を下回ることもある。同じ対象だとしても状況により変化するものでもあろう。
このような映画を見るとつくづく日本映画は素晴らしい。そして、好きなんだと改めて実感する。
家庭内で2時間のTV画面使用枠を確保するのが難しい昨今ではあるが、眠い目をこすってでもコンスタントに確保していきたいとDVD鑑賞後、感じたのであった。