映画「ハウス・オブ・グッチ」はファミリービジネスを学ぶ者としていい学びとなった。
何かのネタになると思いグッチ家のジェノグラム(家系図)も作ってみた。
そのタイミングでFBアドバイザー仲間と映画をテーマにした勉強会も開催された。

ここは映画コラムニストとしても参加しなきゃいけない。
適当に作成したジェノグラムを発表する機会も頂いた。
中途半端な知識では却って恥をかくと思い、原作を読むことに・・・。

それが本書を読んだ理由。
結果的に上巻しか勉強会当日に間に合わなかったが、ジェノグラムの完成度は少し上がった。
まあ、それもいいキッカケ。

実際、上下巻を読んで映画と比較すると異なる点は多い。
それは当然のこと。

映画はレディ・ガガ演じる元妻パトリツィアを中心にスキャンダラスに描かれている。
グッチ家とは何ぞや?を問うてはいるがエンターテイメント性に満ちた作品。
これはこれで面白い。

原作を基に制作される映画の場合、よく議論の対象になる。
原作の方がデキがいいとか、映画が原作を上回ったとか・・・。
本作もそんな対象にならないとも限らないが、そこはあまり大切ではない。

ある部分を切り取ったのが映画。
原作は必ずしもパトリツィアが主役ではない。
三代目マウリツィオ・グッチがあくまでも中心で、殺害事件もある部分に過ぎない。

殺害に至るまでの異常な世界も見ものだが、
親族内のドロドロとした関係性やその後の経営権争いが読みごたえがある。
名門企業はどうすれば没落し、またどうすれば復活するのか。

池井戸氏のビジネス小説なら無責任に面白がればいいが、
真実を描いた世界だとこちら向かう迫力も異なる。
読むべきはノンフィクションか・・・。

本書は2004年に発行されているが、昨年発行された新版は新たなあとがきが加えられている。
直近のグッチの動向も描かれ面白い。

そして、映画の主役パトリツィアの近況も・・・。
どうやら映画で描かれている自分の姿には不満のようだ。
そもそも自分へ挨拶に来ないことも、一銭の支払いのないことも不満。
それも彼女らしいのかな。

映画と比べながら読むとより楽しめるのではないだろうか。