ポスターにあるようなシーンはない。
しかし、そのポスターに違和感は感じない。
「なんか、そんな感じがするなあ~」
というのが素直な感想。

ノーテンキに横たわるアロハシャツのオダギリジョーは本作の象徴。
すべてを物語っている。

ほぼ事前情報なしに臨んだ本作。
レビューの点数が高かったので選んだ。
柴咲コウ演じる作家村井理子の存在も初めて知ったし、
自身の体験を綴った作品であるのも初めて知った。
フィクションの要素もあるがほぼ実話。

描かれるのは実の兄の急死が知らされ、葬儀や遺品の処理を行った数日間の出来事。
その兄を演じるのがオダギリジョー。
いい加減でその日暮らしで周りに迷惑を掛けまくるが憎めない存在。

今、気づいたが兄の名前は明かされていない。
お兄ちゃんとかお父さんとか呼ばれるだけ。
それでも十分成り立つ。

そんな兄だが子供のころから要領はよく母親からも愛されていた。
妹の理子は嫉妬し「いなくなればいい」と思いながら大人になった。
唯一の家族であり繋がりは続くが、近くて遠い間柄。
兄を疎ましく思いながらも、兄弟愛はそこそこ。

そしてもう一人。
兄の元妻の満島ひかり演じる加奈子。
「夏の砂の上」ではオダギリジョーと満島ひかりは兄妹だったが、ここでは元夫婦。
他に役者がいないの?
と思ったりもしたが、この関係性は悪くはない。

満島ひかりの母親役はあまりイメージになかったが、本作では抜群。
柴咲コウも妹役をせつなく可愛らしく演じていたが、ここでは満島ひかり。
兄が引き取った息子との会話には思わず涙が出そうになった。
えっ、ネタバレになってないよね。

デキるキャリアウーマンやアバズレな役が多いが、お母さん役も似合うんだ。
改めて演技力にあっぱれ。
これはネタバレじゃないよね。

少しだけバラすと亡くなった兄は理子や加奈子の前に登場する。
それがリアルだとホラー映画だが、あくまでも想像の世界。
その中でもっともらしい会話をする。
それがとても温かく愛を感じさせる。

いい加減でろくでなしの兄が人間味溢れる魅力的な兄になる。
何も変わってはいない。
それが本来の姿だが、表に立つといい加減でろくでなしになってしまう。
そもそも人間なんてそんなものかもしれない。

観終わった後とても爽やかで優しい気持ちになれる映画。
やっぱ、家族も兄弟も大切だしね。