ファミリービジネスアドバイザーの端くれとして読まねばならない一冊。
ただ、この類の書籍は多いので素通りする場合もある。
しかし、本書は著者名を見て迷わず購入。
一時期、大きな話題となった大塚家具の大塚久美子氏の著した書籍。
どんな内容であろうと読んでみたいを思わせた。

いい意味で裏切られ、悪い意味で誤解した自分の足りなさを痛感。
それは僕自身がマスコミ報道に踊らされ鵜呑みをしたことが理由。
僕はヤマダ電機の傘下に入り、結果的に大塚家具という会社が無くなったことを否定的だった。

表面的かつ無責任に捉えれば、僕のように考えるのが一般的だろう。
裏側にある実情や当事者の葛藤を理解しないうちに決めつけるのは愚かな見方。
まだまだ視点が低いわけね。
すみません・・・。

いい意味で裏切られたというのは新たな視点が学べたこと。
「名古屋ファミリービジネス研究会」を運営し、FBAAの執行役員を務める身として
ファミリービジネスのおおよそは掴んでいるつもり。
しかし、本書を読んでハッとさせられ気づいた点は多い。

それはサブタイトルにもある「当事者の視点で考える」ということ。
僕と著者はほぼ同世代。
立場の違いはあるが、世代的価値観は近しいものがある。
親の影響もあり昭和的な感覚が少なからず残っている。

象徴的な一文はこれ。
1968年生まれの私自身は現代の会社と個人の規範で行動しますが、
内面に「家業」のために必要な場合は
「犠牲を払わなければならない」という価値観は否めません。

著者は現代の会社と個人の規範という言葉をよく使われる。
これまで自分たちが学んできた中ではあまり触れなかった言葉でもある。

日本には200年以上続く長寿企業が多い。
それがファミリービジネスの特徴と受け止められているが、
戦後の創業者は「家」の規範に捉われない自由な個人が多いという。
最初は「おやっ、なぜ?」と思ったが、
いつまでも事業承継できない創業者が多い背景はそれが起因するともいえる。

また、このあたりは新鮮。
経営の責任を追わないコンサル等の社外の勢力への否定的な言及も著者ならではの見方。
まさに当事者視点といえる。

本書を読むまでは大塚氏のコンサル会社の経営に違和感があったが、読後は納得。
この視点が後継者にもたらすメリットは多い。
どんなことでもそうだが他人の評価でなく自分の眼で判断することが大切。
いい勉強をさせてもらいました。