しばし円頓寺を離れます。
たまには遠出もしなければなりません。
東京・築地にお邪魔しました。
間もなく築地市場も移転です。
その前に行かなければならないというミーハー根性が顔を出してしまったのです。

ちょうどランチタイムの賑わった時間がよくなかったかもしれません。
信じられないくらいの人の数です。
外国人観光客も多いです。
「ここに混ざるとオレはただの観光客だと思われてしまうな・・・。」
ただの観光客のくせに偉そうなことを呟いてみます。

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ちょっと斜に構え、通りの反対側から眺めてみるのです。
反対側を歩いていると一軒のお寿司屋さんが目に入ってきました。
なんとなく地元の人や近くで働くビジネスマンがお客さんのような雰囲気を醸し出しています。

「オレはここで食べるべきなんだ。ドンドン!」
とお店の引き戸を開けました。「魚河岸三代目 千秋」さんです。

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お店の看板に出ていた三色丼を注文します。
「三色丼は炙りのイサキ、鯛、鮪とイサキ、鯛、鮪になりますが、どちらにしますか?」
と丁寧なお姉さんに聞かれました。
僕は全く他ごとを考えており、質問の意図を捉えていませんでした。
炙りかそうでないかを聞きたかったのです。

「鯛でお願いします。」
と僕はトンチンカンな答えをしたことを食事を終えた時に気づきました。
平静を装っていながらも明らかに僕に対する接客は変わったかと感じます。

微妙な空気を読んでか、元気な声が届いてきました。
「ヘイ!おまち!」
カウンターの中にいる大将が丼を出してくれたのです。

三色丼 1000円

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当たり前ですが鯛は入っています。イサキも鮪も入っています。
とても美味しく頂きました。
ちょっとカッコ悪かったので、食べ終えるとそそくさとお店を出ました。

午後にとある場所で同業者の先輩であるA社長と合流しました。
「山田くんさあ、築地で昼食べたの?」
「はい」
「俺さあ、築地市場に言って食べたんだけど、今凄いね?」
「何がですか?」
「うに丼がさあ、5000円もするんだぜ。」
「うわ~、高いですね?A社長はそれを頼んだんですか?」
「いや、それはないよ。3000円の丼で我慢したよ。山田くんもそれくらい?」
「あっ、そこまではいかないですが、近いもんですかね・・・。」

とんでもないウソをついてしまいました。
大人になるといろいろと面倒です。
築地がそれを教えてくれました。

ごちそうさまでした。