観る人をかなり選ぶ作品だと思う。
好きな人はとことん好きだろうが、
そうじゃなければボロクソな評価をされてもおかしくない。
観客によって、真っ二つに評価が分かれそうな危うさを持っている。

本作において観るべきは主演の映子を演じた奈緒の演技。
大袈裟ないい方をすれば、彼女のアップが映画の半分を占めているといっても過言ではない。
その画面に映し出される、彼女の微妙な表情の変化こそが、この映画の最大の特徴。
これまではただの可愛らしい女優さんという印象を持っていたが、
彼女が着実に演技派としてのキャリアを歩んでいることを確信した。

また、何者かに殺された亜佐美を演じた伊東蒼のつかみどころのない役どころもいい。
キネ旬で助演女優賞を獲得した「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」でも光っていたが、
本作でもその本性が見えそうで見えない絶妙なキャラクターを、見事に演じきっている。
彼女の存在感が作品のミステリアスな深みを支えている。

劇中、時折セリフとして吐き出される「死ねばいいのに」という言葉。
それを言われた相手は、文字通り心にグサッと突き刺されることになる。
しかし、その言葉は受け取る側によっては、
どこか優しいささやきのようにも聞こえ、
同時に逃れられない呪いをかけられたようにも響く。
この強烈な言葉を一体誰が、どのような意図で放ったのか。
それはぜひ、劇場で実際に確認して欲しいと思う。

観ながらふと、僕が学生だった頃のことを思い出した。
当時、これとよく似た手法で自主映画を作っていた連中が周りにいたように思う。
セリフの応酬や、物語の根底にある哲学的な要素が、
観る者にある種の戸惑いを生むのだろう。

決して万人受けするエンターテインメントではない。
しかし、2人の女優の演技力と言葉の持つ劇薬のような力に、
最後まで見入ってしまった。

金井純一監督作品は初めての鑑賞。
監督を含め奈緒や伊東蒼は今後、どんな作品を手掛けるのか。
それも気になってしまう。
期待したいけどね。