sokonomi153

辛い映画である。最初から最後まで辛い。
しかし、ハッピーエンドで終わったともいえる。
最後の最後の表情に全てが救われたのだから・・・。

最後という言葉ばかりが並び、何の事だかさっぱりわからないが、
この映画の魅力は途中では理解できない。
ひたすら重く、観ていても辛い。
時折、ドアップで映し出されるシーンにどんな意味が込められているかは定かではないが、
人間の儚さが伝わってくる。
男女の描き方も含め、これが男性では撮ることのできない女性監督の感性なんだろうか。

本作は2014年キネマ旬報ベストテンの1位の映画。
僕は評論家の視点は持ち合わせていないので、
1位といえども欲望は掻き立てられないが、本作は読者選出でも1位。
すなわち2014年に公開された日本映画のトップの作品。
それに感化される僕はただのミーハーなのだが、映画を観たい欲望が抑えられくなった。

今回はこのキネマ旬報に拍手を送りたい。
ベストテンが掲載されている2月下旬号にはなんと映画鑑賞無料券が付いていたのだ。

sokonomi1532

僕はこの映画を伏見のミリオン座でタダで鑑賞。
何ともお得な思いをさせてもらった。
そんなせこいヤツが映画を語るのはちょっと失礼。
だから、あまり感想は言わないでおきたい。

観終わった後、感じたのがこの手の作品は昔、よく観たという記憶。
そうだ。今は無きATG映画だ。
ATG映画の代表作でもある「青春の殺人者」「サード」「遠雷」あたりにとても近い気がした。
どれも重かった。
だが、それが上手く時代を描いていた。本作と同じである。

主演の綾野剛さんは岐阜県関市の出身。僕の実家の隣町。
それだけで親しみが沸くが(迷惑な話・・・)、
彼の存在を知ったのは一昨年の大河ドラマ「八重の桜」の松平容保役。
ドラマの中での存在感が際立っていた。
この映画で主演男優賞も獲得している。
近い存在ではないが(笑)、少しだけ嬉しい。

いい演技をしているのは彼だけではない。
姉も弟も素晴らしい。元男闘呼組の社長もいい。
リアルさが滲み出ていた。

もう公開は終了したので映画館で観るのは難しいが、
一人深夜にDVDで鑑賞し、暗い気持ちになってもらいたい(笑)。