ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録 ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録
(2011/10/14)
西川 善文

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もし、この本書を手に取ってなかったら、著者の西川氏の僕のイメージはきっと悪いままであっただろう。
保身と自己の利益を優先する経営者の一人というような印象で・・・。きっと同じような思いを抱いている方も多いのではないだろうか。
そんな人ほど、ぜひ、読んでもらいたい一冊。
ここに書かれている内容を素直に受け止めれば、著者の仕事に対しての情熱や葛藤や半端ない苦労が痛いほど理解できる。結局は自ら困難な道を選択し、そこに向かい邁進する。
ある方面から見れば、なんて馬鹿な道を思われるのかもしれないが、僕は素晴らしい生き方だと尊敬する。こんな銀行マンばかりであったら、不良債権の問題ももっと早く解決していたと思う。
一概には言えないが、僕の周りにいる銀行マンも性格も仕事も真面目だが、保守的な層が圧倒的に多く、リスクを冒すことに挑むことは少ない。
当たり前の話だが、それが銀行としては健全である証明だと思うが、全てがそうだと一向に業務上の変革も革新的なサービスも生まれることはない。お付合いするには難儀な面があるのかもしれないが、西川氏のような銀行マンが多いと頼もしくなるだろう。
この自伝的な内容は、ドラマを観てるような波乱万丈だ。
平和相銀やイトマン事件の頃の記憶はかすかしかないので、あまりピンとはこないが、メガバンクの合併や郵政民営化の一件は、まだ最近のニュースということもあり、その当時の様子が頭に浮かぶ。
それとオーバーラップさせ、本書を読み進めていくとよりリアルのその場面がイメージできる。特に鳩山総務相とのやりとりは、政局の課題が垣間見え失望感も沸く。
それは西川氏が何も恐れることなく、実名で全てを明かしていることが要因でもあるが・・・。
本書の最後に書かれている言葉もいい。
「リーダーシップとは、直面する難題から逃げないことである」
もっともっと学ばなければならない。