先週金曜に開催された松下幸之助氏の経営を学ぶ「壺中の会」。
第1部の委員会タイムは「私の使命・私の覚悟」がテーマ。
5~6名のチームに分かれ、一人ひとりがこれまでの経験について語り合った。

この会はほとんど地元の企業経営者で構成される。
僕はこの3月に入会したばかりの新参者だが、
すでに20年の歴史があるため、様々は経験を持つ経営者が多い。
東海地区の特徴を反映し同族企業の経営者が圧倒的。
あとは2代目、3代目の候補者も多い。
士業や政治家の方も一定数在籍するが、
僕のようなサラリーマン上がりの経営者は稀。
まあ、どこに行っても珍しがられるけど・・・(笑)。

僕のテーブルは2代目、3代目の同族経営者の割合が高い。
詳しい話はここではできないが、
やはり会社を引き継ぐタイミングで使命感や覚悟を感じられるようだ。
会社を継ぐ覚悟は幼少の頃から持たれていたようだが、
いざ、その状況になるとまた別の覚悟が生じる。
親が倒れたケースもあれば、ずっと事業を支えいよいよ出番というケースもある。
ファミリービジネスで学んだことをリアルに聞いているようなもの。
その覚悟は相当なものだと思う。
それだけでも僕には十分勉強になる。

僕も会社を引き継ぐ段階の覚悟を共有したわけだが、それはそれで驚かれる。
「山田さん、よく社長を受けましたね。」
「いやあ、勢いですかね。今だったら絶対やらないですね(笑)」
なんて答えるわけだが、第三者から見ればかなりレアなケースであり、
理解しがたい面もあるだろう。
その時の話はこちら

当時、確かに相当な覚悟だったのは間違いない。
しかし、自分の中ではブレることない腑に落ちた覚悟であった。

30代後半の一番粋がっていた(単純に自分の力を過信していた)頃、
飲み会の席で生意気な口を叩いていた。
岐阜で会社を大きく成長させた先輩経営者の前で、
「ボクはこの先、名大社の社長になるか、
自分で事業を立ち上げるかどっちかですね。選択肢は2つしかありません。」
と酔いに任せてほざいた時に、その経営者はズバリ一言、こんなことを言った。

「山田さん、そうですか。
それは覚悟があればどちらでもできるんですよ。
山田さん、本当にその覚悟がありますか?」

僕は答えに窮した。
本当にその覚悟があるのか・・・。

僕は答えることができなかった。
先輩経営者のその問いが自分の実力を試していたのだ。
粋がっていただけで、僕はそんな覚悟は全く持っていなかった。

それから5年ほど経過し、熾烈な経験を積み、僕に本当の覚悟が生まれた。
会社を引き継ぐ段階で先輩経営者から
「山田さん、覚悟はありますか?」と聞かれたら、
「はい、あります。」と明確に答えることができただろう。

先週のテーマでそんなことを思い出してしまった。

僕の覚悟と同族企業の経営者の覚悟では比べものにならない。
背負うものの大きさが違う。
僕よりもはるかにプレッシャーもあるはずだ。

それを含め、人にはそれぞれ覚悟をしなければならない時が必ず訪れる。
その大小は別にして・・・。