イマドキの父親としては失格かもしれない。
僕は娘、息子の入学式や卒業式には出席したことがない。
遠い記憶を辿れば幼稚園の式には出たかもしれないが、小・中・高校は一切ない。
ましてや大学なんてその気すらなかった。
しかし、いろんな方から話を聞くと最近は大学の入学式でも
父親が出席するケースは結構多いという。
残念ながらイマドキではない・・・。

そんな僕が一昨日4日に母校の入学式に出席した。
なんと来賓として。
昨年から後援会会長という役を仰せつかり、頻繁に行事に呼ばれるようになった。

今回は入学式。
それも来賓代表で挨拶をしなければならない。
自分自身の入学式なんてすっかり忘れているし、
今まで出席もしていないので、どんなものかも分からない。

まあ、何とかなるだろうという安易な考えで出させてもらった。
そもそも後援会会長なんて受けるはずもなかった。

それは一昨年の春の話。
懇意にしている大学の校友課の課長から連絡があった。
「山田さん、後援会の名古屋副支部長をやってもらえませんか?」
「いえいえ、忙しいし、そんなの無理です。」
「なんにもやることないですから。名前だけなので・・・。お願いします。」
「分かりました。それだったら受けます。」

この自分の短絡的な判断が間違っていた。
気がつくと一年後、後援会長になっていた。
まんまと嵌められたのか・・・(笑)。

そして、大きな仕事として入学式で祝辞。
入学式会場に出向き、打ち合わせ。

「来賓の挨拶は何名されるんですか?」
「あっ、来賓は後援会長の山田さんだけです・・・」
「えっ、オレだけ??」
挨拶は学長と僕だけ。
あとは学生代表の宣誓と答辞のみ。

その時にようやく気がついた。
メチャクチャ重要な役割じゃないか。
一昨年の「なんにもやることないですから・・・」。
あの言葉は何だったんだ・・・。
チラリと校友課長を見るとニコニコと笑っている。

舞台の来賓席に座り幕が開け、入学式が始まった。
会場には2521名の新入生。
別会場で保護者は映像を眺めているとのこと。

厳かな雰囲気。
ピーンと張りつめた緊張感。
学長が学長らしい告辞を述べる。
「あんな固いこと言わなきゃならんのか」
しっかりと折り込まれた告辞は演壇に置かれる。
僕は一応ペラ1枚の走り書きのような挨拶文は用意したが、
式辞用紙なんてないし、その時感じたことを何も見ずに話そうと思っていた。
ネタとしては最近よく使うスマホ150回、177分も盛り込んで・・・。

学長の話が続く。
高尚な話の流れで言われたのが読書のススメ。
そして、スマホネタも。
なんと177分使用するという話もその中でされてしまった。
完全なネタ被り。
「え~っ、ちゃんと教えてよ~」
と心の中で叫ぶ。

こうなったら開き直ってやるしかない。
みんな固くても疲れてしまう。
一人くらい柔らかいのがいてもいい。
自分勝手に判断し、演台に立ち祝辞を述べた。

ペラに書いておいた
「スマホを捨てよ。街に出よう。」
意外といい言葉だと自分で思っていたが、
他のことを話しているうちにすっかり忘れてしまった。
それでも何とか終了。

入学式が終わり控室に戻ってくると何名もの偉い方から
「山田さん、良かったよ。気持ちがこもっていて良かった。」
とありがたいお言葉。
少しだけホッとした。
偶然にも保護者として出席していた高校の同級生も褒めてくれた。

よし、来年も開き直って、この路線でいこう。
来年はネタも考えず、その場で思ったことを喋ろう。
なんて、いい気になってみた。

これだけ多くの学生を前に話をするのは初めてだったが、僕にとってもいい機会。
舞台から学生の写真を撮ろうと思ったが、さすがに不謹慎なのでやめた(笑)。

入学おめでとう!
充実した学生生活を送って欲しい。
新入生に乾杯!!