kaizou1701

正式タイトルは「ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ」。
プロ経営者と言われる三枝匡氏がミスミの社長就任から12年かけて
成し遂げてきた改革を克明に描いている。
理論も大切だが、その実践内容を共に作りあげてきたメンバーの想いを
含め書かれているのは納得感も高い。
よりリアルに感じ、その時々の葛藤が伝わってくる。

340人だった会社を10,000人の会社に成長させたという結果だけ聞けば単なる成功物語と思うが、
その道のりは険しい。
マスコミに報道されない困難な過程、
あまり表現したくないようなマイナス面も包み隠さず書かれている。

僕が10年程前、ビジネススクールに通っていた時にミスミの若手の方と一緒になったことがあった。
当時から会社の新たなビジネスモデルと成長性は注目されていたので、
その最先端な仕事ぶりを聞いてみたことがあった。
答えは意外で、「全然そうでもなくて問題も多いんですよ。」
というような内容だった。
謙遜しているかと当時思っていたが、実際は過渡期で苦労していた時期だったんだ
と本書を読んで思い返した。

企業の成長の裏側には必ず難しい対立や戦いが起こる。
自分が正しいと言いながら行動しない抵抗勢力や口だけしか動かないリーダーなど、
扱いにくい人物はどんな企業にも山ほどいるのだろう。
そことどう向き合っていくか、理解させるまでじっくり付き合うのか、
バッサリ切り捨てるのかもトップとして重要な決断になる。
それを当たり前のことのように飄々と話しながら
淡々に実行する力が「プロ経営者」としての力量なんだろう。
程遠いですね・・・(笑)。

本書のいろんな箇所に赤線を引いた。その一部を公開すると
・社員の意識を変えるために「意識改革をしよう」と叫ぶ経営者は、経営力が足りないのである。
・会社は2年で大きく変わることができるのだ。逆に、
 2年のつもりでやらなければ10年経っても変われない。
・組織が疲れてくると、組織内の抵抗派が力を増す。
・「末端やたら元気」を実現する出発点は、<スモール・イズ・ビューティフル>の組織論である。
・経営者の技量は、過去に経験した「死の谷」の回数で決まる。

他にも沢山あるが、ここまで。
納得感は高いと共に、う~ん、反省・・・である。

1万人の会社を作ろうとは思わないし、そんな能力もない。
ただ会社が成長し続けるためには常に改革していくことは大切。
改めてその必要性を学ばせてもらった。