これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

カップヌードルをぶっつぶせ!

nisin1581

日本ファミリービジネスアドバイザー協会の西川理事長が
推薦書として活用するという話を伺い手に取った一冊。
創業者と二代目社長との確執を描いた書籍かと思ったが、
どちらかといえばマーケティングの要素が強い。
親子間のトラブルはなくはないが、
大塚家具やロッテのような修復不可能な状態ではなくあくまでも健全な親子ゲンカ。

お互い信頼し合える関係性は二代目社長の厳しい言葉からでも推測できる。
あまりにも強い創業者を持つと跡を継ぐ者はとてつもないプレッシャーを伴う。
今後、ファーストリテイリングやソフトバンクはどうなっていくのだろうか。
不安でもあるが楽しみでもある。
ファミリービジネスを維持するのか、まったく違う形態にしていくのか・・・。

日清食品といえば学生の就職人気ランキングの上位にも顔を出す企業。
存在もとても身近だ。
最近、インスタントラーメンを食べることは少ないが、
時折、無性にカップヌードルを食べたくなることもある。
メチャクチャ美味しいわけではない。チープさも感じたりはする。
しかし、それがロングセラー商品になるにはいいようだ。
創業者安藤百福氏いわく、美味しすぎるとすぐ飽きられていまい長続きしないという。

会社の近くのコンビニを気をつけて覗いてきた。
ビジネスマンが多く利用する背景もありインスタント食品が多数並べられている。
カップラーメンも半端ない種類が揃えられている。
その半分は日清食品の製品ではないだろうか。
定番のカップヌードルやどん兵衛を始め、見たことも聞いたこともないような商品も並んでいる。
多くはブームともに去っていくのだろうが、その商品力、マーケティング力はさすが。

本書にもトムヤンクンのカップヌードルのことが書かれているが、
発行が2009年なのでタイでヒットした後に日本に持ち込まれているのだろう。
(業界内では当たり前の話かな?)

CMもとてもユニークだ。今のカップヌードルのCMとミスチルが歌っていた時のCMでは
とても同じ商品とは思えない。
時代とともにメッセージを大きく変えている。
その勇気だけでも凄いと感じるし、トップの潔い決断には感服する。
二代目は凡能だといわれるが故の力の出し方なのかもしれない。
創業の精神を維持しながら、時代とともに商品開発を行い、自社の強みを活かし常に変化させていく。
定番商品の継続性も重要視している。
ファミリービジネスと手本とすべき企業が日清食品ともいえる。
そんなことを感じたりした。

たまには新製品でも食べてみるか。
これもファミリービジネスアドバイザーの役割として。
ちょっと違うかな・・・(笑)

「いい会社をつくりましょう」を読む

kaisya1581

先日の講演を拝聴し、早速、購入し拝読。
僕の抱く理想に近いと感じたため(偉そうですね・・・)、
ここは塚越会長の考えを読んで学ばねばならない。
最新の経営スタイルや雇用のあり方、多様な働き方からすれば真逆の方向とも言える。
最新の手法を否定するつもりもないし、いい部分は吸収しなければいけない。
また、自社に活かさなくても先端の事例を理解していく必要は感じている。

しかし、どちらを優先させるべきかといえば、
本書に書かれている取り組みを取り入れる方がより幸せな生活が維持できると今は思う。
全てを真似るのは無理。また、その必要はない。
真似るところは真似、オリジナルで作り上げるところは作り上げる。
それが名大社らしさになっていくのではと考える。

では、どこを真似、吸収していくのか。
従業員ファーストで考えること、年功序列、終身雇用の必要性も重視すること、
雇用を守ること、短期的視点だけで捉えないこと
文化を大切にしながら常に変化を求めること。
最低でもここは押さえなければならない。

幸い僕は2期4年の任期とか、一定期間の業績向上のみを目的にトップの座を任されているわけではない。
会社が悪い方向に進むのであれば即刻、解任、更迭、辞任のいずれかになってくると思うが、
現状は長期政権の中で会社を牽引していく役割を担っている。
となると、伊那食品さんが掲げられる会社の作り方が理想ともいえる。
これが簡単でないのはわかる。
理想と現実とのギャップに苦しむこともある。
しかし、目指せばいいではないか。目指すことくらいは誰にでもできるのではないか。

本書を読めば、この会社で働きたいと思う方が増えるのは当然。
前回の講演でも新卒学生の応募が4000名あるという。
失礼な言い方だが、田舎の中堅企業である。
15名の採用枠であれば、十分納得いく採用はできるはず。
会社に共感し、かつ、会社としても一緒に働きたいと思える人材。それを見つけていくのは可能。
それも全てをオープンにしているからこそ、入社後のギャップは少ない。
必然的にグッドサイクルが回る会社となっている。
これは会社経営にとっては理想的なカタチ。
大きなメッセージを発しておけば、人や組織は自ずと動く。

中小企業に求められる大切な面が全て備わっているのだろう。
ここに辿りつくには険しい道のりがあったかとは思うが、こんな会社を作れたら、どれだけ幸せだろう。
ほとんど空想に近いが頭の中で、そんなことをグルグル回しながらイメージしてみた。

その時のブログでは社員旅行を毎年行ってもいいのではないかと書いた。
となると隔年でこれまで通りの2泊3日のお遊び旅行。
隔年は伊那食品さんあたりの見学を中心とした1泊2日の研修旅行でもいいのではないだろうか。
周りがどう判断するかは分からないが、これもいい試みにはなる。
財布の中身との相談にはなるが(セコイこと言うな!)、そんなことを検討してもいい。
思いつきだが、いいアイデア(笑)。

大切なのは「忘己利他」。
どこまで僕がその精神を受け入れることができるだろうか。
永続のために常に意識せねばなりませんね。
まだまだだけど・・・。

映画「HERO」

hero1582

何故だろう。TVドラマはほとんど観ないのに映画は観てしまう。
8年前の第一作も劇場で観た。
つい最近だと思っていたが、もうそんな年月が経過してるんだ。
キムタクも松たか子も当時に比べればかなり年は取っているはずだが、全くそれを感じさせない。
時間の経過も感じさせない。色褪せていない証。

しかし、映画を観る理由が見当たらない。
そもそも理由なんて必要ないかもしれなけど・・・。
自分の中で正義を求めているのかな(笑)。
そのまっすぐない生き方や行動に共感しているのは間違いない。
自分にない何かを感じようとしているともいえる。それが観た理由かな・・・。

シンプルでエンターテイメント性もあり、とても面白い映画だった。どんな人でも楽しめる。
と同時に何かが足りないとも思えた。
稚拙な表現でいえば、ピリピリとした緊張感。
TVと映画の大きな違いはそこではないか。
掛ける費用の大きさやスケールも違いだと思うのだが、まず基本はそこではないのか。
(あくまでも持論です)
TVドラマのスペシャル版を大きな画像で観ているような気がしてならない。
ドラマを映画化した宿命かもしれないが、そこが残念と感じるところ。
まあ、気楽な気持ちで観るのであれば、全然構わないとは思うけど。求めすぎなのかな・・・。

一方である種の期待もある。
8年ごとに続編が製作される映画は過去にないだろう。
それが実現されるとすれば新たな実験だ。
キムタクはファッションも髪型も変えずに続けることができるだろうか。
自分の方向性は変わらないだろうか。
権力に迎合することなく仕事をこなすことは可能だろうか。
もしシリーズ化されるのであれば、欠かさず観に行くだろう。

そんなことを考えているのは全国で僕だけかもしれないが、
それはフジテレビの今後を考えてもメリットのあること。
出演者を変えることなくチャレンジしてもらいたい。
と、また映画とは関係のないどうでもいいことばかり。

きっとこんな映画が邦画を元気にしてくれる。
いつまで上映されるかわからないが、まだ観ていない方はぜひ(笑)

映画「日本のいちばん長い日」

nihon1582

人は忘れる。
いくら感動しても、多くの事を考えさせられても時間の経過と共に忘れてしまう。
特に僕のような凡人は何年かすればストーリーすら曖昧になってしまう。
一昨日ブログに書いた「ハゲタカ」のように何度も何度も観て、
頭の中に叩き込めば容易に忘れることも少ないが、それは簡単なことではない。

本作品も同じことが言えるだろう。
この映画を観て感じたことがずっと保たれればいいのだろうが、きっとそうではない。
定期的に振り返る時間を持てば維持することは可能にはなると思う。それが普段の生活の中では難しい。
そもそも歴史を知らなすぎる。それは僕のこと。

8月6日に広島に原爆が落ちたとか、8月15日が終戦記念日だとか、点の事実は知っている。
全体的な線をどこまで知っているかといえば、有識者に言わせればゼロに近い。
そんな者が過去や未来を語るのは失礼なような気がしてならない。
自分での判断材料が曖昧なうちは多くを語ってはいけない気がしてならない。
映画を観ながら、改めてそんなことを感じた。

本作に登場する人物で悪人は一人もいない。
クーデターを起こそうとした陸軍少佐にしてもそう。国を想えばこそ。
そこにはエゴはあったかと思うが、ストレートな気持ちは与えられてきた環境の中で醸成されてきたこと。それを完全否定するのは正しいとはいえないのじゃないか。

最近低迷する松竹が、この時期にこのような映画を製作し公開する勇気は素晴らしいと思う。
商業的な打算もあろうが、
お盆名物「寅さん」シリーズがなくなった今、メッセージは発せねばならない。
日本映画の大切なものを守ってもらいたい。

いつものようにこのブログでは面白いか、つまらないか、
観るべきか、そうでないかはさっぱり分からないと思う。
まあ、それは個々に感じてもらえればいい。

直近の課題ばかりに目を向けている自分に反省。
もっと広い視点を持ち生活することが必要。
もっと歴史を学ばないといけない。

8月15日に相応しいブログとは思えないが、ご容赦いただきたい。

映画「この国の空」

konokuni1581

これは恋愛映画だろうか、エロ映画だろうか、反戦映画だろうか。
すっかり感性を失くしてしまった僕にはこの映画のジャンルを分けることができない。
どこのポイントに置けばいいのか迷ってしまうのだ。
昭和30~40年代の製作を思い起こさせる映像と台詞回し。そして、長回しの撮影。

主役二階堂ふみさんの汗、ラストシーンのアップになるストップモーション。
「スティング」じゃないんだし・・・。
エンディングロールのセリフは今も耳から離れない。

他に印象的なのは、長谷川博己の舌。工藤夕貴の腋毛。
これだけ見れば、エロティックでしかない。
静かに流れる映画の中にドキッとさせるシーンが数々と含まれる。
観客を隠微な世界に誘うのだ。
もちろん戦争に悲惨さも伝わってはくる。

これはおススメすべきがそうでないか迷ってしまう。
奥深い女性のいやらしさ、恐ろしさを描かせたら脚本家荒井晴彦氏は突出しているのか。

久しぶり荒井作品を観たが、以前の作品でも女性を特徴的に描く映画が多い。
薬師丸ひろ子の「Wの悲劇」は傑作だと思うが、あとは男が翻弄される映画ばかり。
「遠雷」「恋人たちの時刻」「ヴァイブレータ」・・・。
男性脚本家だからこそ、男に過ちを犯してしまうような台詞を吐かせてしまうのだろう。
つくづく女性は怖い。

その象徴が二階堂ふみさんの表情。愛が深まるとともに恐ろしさが増していくようで・・・。
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」での淀殿役も嫌われる女性として存在感があった。
決して美人とは言えないが(スミマセン)、将来楽しみな女優さんだ。

それにしても僕が若いころ好きだった「さびしんぼう」の富田靖子(昔、握手会に行った)も
「台風クラブ」の工藤夕貴(そう好きでもないか・・・)も年を取った。
昔のアイドルさは全く感じさせない演技。
これもまたいいのだろう。

結局、このブログを読んだところで、何ひとつ参考にならないが、
終戦記念日を迎える前日としては相応しいブログ。
この作品のストーリーは8月14日で終了しているし。

さて、その翌日までを描いた「日本のいちばん長い日」を観に行ってくるかな・・・。

ハゲタカ外伝 スパイラル

supairal1581

ハゲタカフリークのお肉屋さんが言った。
「芝野健夫は全く仕事をしていない。西乃屋も支援しなかったし、
入札も途中で投げ出したし、大空電機でも時間をくれと言っただけ。
何にもしていない。酷いヤツだ!」
こんな表現だったかは忘れたが、ドラマ「ハゲタカ」上映会をやっていた頃、
このような非難を口癖のように言っていた。

これはNHKのドラマの話。
ドラマを知らない方は全く意味不明だろうが、確かに納得できる面は多い。
柴田恭平氏が演じた芝野健夫は重要な場面に絡んで、いつも正論を吐いていたが、
結局、主人公の鷲津政彦に責任を負わせるばかりで、本人はいてもいなくても情勢は変わらなかった。
ちょっと言い過ぎか・・・。
あくまでもお肉屋さんの表現を借りればである。

そんな会話が著者である真山仁氏に伝わったかどうかは不明だが、本書の主役は芝野健夫。
きっと痛烈な批判に対し、対抗するために本書を書きあげたといってもウソではないだろう。
いや完全なウソか・・・(笑)。

ここでは芝野氏失くしてはストーリーが成り立たない。
完全な主役として体を張り活躍をしている。

タイトルを見ただけで、中味を全く確認せず購入し、
読み進めていくうちにようやく理解したのだが、
これまでのハゲタカシリーズの主人公であった鷲津政彦はほとんど登場しない。

大好きな女優さんが友情出演で瞬間的に映画に出ているようなもの。
予告編ではいかにも重要な役どころとして期待させるが、本編ではほんの一瞬しか登場しない。
大袈裟な表現だが、そんな感じじゃないかな・・・。

本書では姑息で卑しい銀行員が肝心な役割を担うので、
読んでいるうちに池井戸作品をイメージさせてしまう。
半沢直樹が登場してくるんじゃないかと思わせてしまう。
町工場が舞台なのもその理由かも・・・。

前作「グリード」をほとんど忘れてしまったので(苦笑)、
僕の中でドラマの構成が上手く結びつかなかったが、
同じタイミングで読むとこの小説をより楽しめるだろう。
逆に鷲津ファンや反芝野派には物足りないかもしれない。
反芝野派はお肉屋さん以外にいるのかな?

振り返ってみたら、今年初めて読む小説。
ビジネス書がほとんどというつまらない選択していた。
話題の芥川賞作品を読むかどうかは別にして、もう少し小説を読む機会を作ってもいいかもしれない。
小説と言ってもビジネス系ばかりになっちゃうだろうが・・・。

「全員経営」を読む

zen1571

うちの会社では「全員参加」というワードをよく使う。
このワードは僕が代表に就任する前からずっと言われてきたこと。
会社のメンバー全員がその業務に取り組み、全員で仕事を仕上げていくことをいう。
新人もベテランも関係なく、全員が主体的に行動することに重きを置く。
「全員参加」という言葉は僕もいろんな場で頻繁に使用するので、自ずと意識が高まらざるを得ない。

本書「全員経営」も言い換えれば、同じようなことに思える。
全員がCEOになり業務に取り組む。そこまで大袈裟ではないが、
その当事者意識は会社にとってプラスに働く。
本書では再建を果たしたJALやヤマト運輸、
セブン&アイ・ホールディングスなどを実例にその必要性を説いている。
このような大手企業の取り組みも十分参考にはなるのだが、
自社に当てはめようと規模感の違いから、どうしてもイメージできない。

それは僕の読解力の問題もあるのだが(苦笑)、
むしろ後半に紹介された中堅・中小企業5社の共通性が参考になった。
伊那食品工業やメガネ21、未来工業などはビジネス誌などで多く紹介されているため、
新鮮さがあるとは言い難いが、各社の共通性やその取り組みは自社への落とし込みも
十分可能ではないかと思わせてくれた。

何が共通感覚かを問うとき、人間としての「生き方」が問われます。
その意味で、コモンセンスの経営は「生き方の経営」「存在論の経営」でもあります。
一方、アングロサクソン型の経営は利益が目的化し、存在論は問いません。
だから、ルールによるコンプライアンスが必要となる。
(略)
コモンセンスの経営はコンプライアンスを必要としない。
一人ひとりの実践知を育成していくためにも、
私たちはもう一度、共通感覚としてのコモンセンスの大切さを認識すべきではないでしょうか。

このくだりが僕には一番印象的であった。
確かにコンプライアンスは重要。今の会社経営の中でそこを無視して業務を進めることはない。
しかし、そこばかり注意しているとどんどん会社がつまらなくなっていく。
遊びの幅も失われてしまう。
それでは働く社員にとっての「いい会社」を作ることは難しい。
自分の給与を上げるためだけに仕事をしているわけではないのだから・・・。

僕がどこまで「型破り」なことができるかはわからない。
むしろ、それほど大層な事はできない。
だが、「いい会社」(この定義は明確にするとして)を作ることを目的として、
全員参加で進めていきたい。

何となくチープな表現になってしまったが、本書を読み、改めてそう感じた。

映画「きみはいい子」

iiko1571

途中まで観るのが辛かった。
映画館を出たくなってしまった。
ジャンルは違うが、なぜか「闇の子供たち」を思い出してしまった。
子供の描かれ方に共通点を見出してしまったのかもしれない。

しかし、この2本の作品は根が深い問題を抱えていることは一緒だが、根本は全く違う。
本作は手を出す側も被害者と言えるからだ。
どこまでいっても親の責任は重い。
自分の振舞いや生活環境が与える子供への影響力の強さは果てしなく恐ろしい。
子を持つ親としては痛感するだろう。

自分の家庭さえよければいいという短絡的な回答はできないが、
自分の子供の成長を眺めながらつくづく母親の偉大さを感じた。
「亭主元気で留守がいい」を実践する僕が子供に与える影響力は皆無に近い。
父親としては無能。
暴力をふるったり、仕事をせずブラブラしたりしないだけマシなくらい。

天津欄間に育てられた母親は子育てにおいてもプラスの力を発揮している。
今でも中学生の息子を抱きしめる姿を見るとゾッと体が震えてしまうが(笑)、
それはお互いにとっていいこと。
きっと息子はいろんな人に対して優しくなっていくのだろう。

日本ハグ協会のさとちゃんが積極的にハグを推奨していく理由も改めて理解できた。
回りだけでなく自分自身も好きになっていく、元気になっていく。
そんな人が少しでも増えればいい。
池脇千鶴さん扮するお母さんが、主役の尾野真千子さんを抱きしめながら
「自分のこと嫌いでしょ?」と慰めるシーンは象徴的。
人に優しくするためには、自分自身を抱きしめることも必要。

そういえば、この映画、池脇千鶴さんと高橋和也さんがいい味を出している。
この二人は多分、夫婦役。
それが証明する場面はひとつもなかったが、観客はそうイメージする。
呉監督の前作『そこのみにて光輝く』では愛人関係にあり、役柄は180度違う。
彼女の作品には欠かせない俳優として、いずれ呉組なんて呼ばれてしまうのではないか(笑)。

本作は瞬間的にドキュメンタリーを思わせるシーンがあった。
全編通して丁寧な演出で作られている映画だが、
子供たちが先生から出された宿題を回答するシーンは演出がなく、そのまま撮影したように思える。
それは抱きしめられて、どう感じたかを答えるシーン。
子供たちが感じたありのままを映したように思えた。
みんないい笑顔だった。

賛否が分かれる映画だと思うが、僕ら大人は見ておく必要があるかもしれない。
それは社会を知ることと同時に自分を知ることでもある。
最近、抱きしめることも抱きしめられることもしていない僕はどんどん冷めてしまうかもしれない。

誰か抱きしめてくれないかな・・・(笑)。

若手社員が育たない。

wakate1571

前作「就活エリートの迷走」は理想と現実のギャップを描いた読み応えのある作品だった。
時代は当時から4年以上経過。
一見、何も変わらないように思えるが、
外部環境と共に少しずつ形を変えながらも変化している。
大雑把な若手の捉え方をすれば、今も4年前も変わらないという認識になるとは思うが・・・・。
現実は目に見えない変化であり、変化していない現実であったり。

何かとネガティブに捉えられる現代の若者だが、
著者は最も特異な傾向を示しているのはバブル世代という。
そう、僕の世代のことだ。

上司や先輩などに対して最も批判的なのも、愛社精神がもっとも低いのも、
職場での飲み会への参加意向がもっとも低いのも、バブル世代。

本書では、こう書かれている。
自分だけ捉えてみれば対象外だとは思うが、総じてその傾向があるのだろう。
事実、否定することもできない(笑)。

そのバブル世代が今の企業の中心にいるのも事実。
実際は蚊帳の外にいる連中も多いとは思うが、
40代後半から50代前半の企業人は一般的にみれば会社の中では一番責任が重くなる年齢だ。
ということは、イマドキの若者が育たないのは僕ら世代のせい?
これは少なからず言えることでもあるだろう。
しかし、今回はそこを言及するのではない。
責任逃れをするつもりはありませんので、ご安心を!

タイトルにある「若手社員が育たない。」とは僕は思わない。
どちらかと言えば「若手社員を育てられない。」の方が正しいのではないか。
日本が成熟期に入り、若者に貪欲さが減少しているのは事実。
しかし、それは彼らのせいではない。本書にも書かれているように

教育の変容による姿勢の変化がベースにあり、そこに社会への諦観、不信感、
リスク回避志向などが折り重なる形で、
まじめでおとなしい若手というニュータイプが生まれたのではないか。

就活生が大手指向であるのもこれが原因の一つと考えられる。
若手を育てようと思えば、そこを前提に考えねばならない。
これまでのマネジメントスタイルを上司が変えなければ何ともならない。
それができずに従来の方法に拘っていれば、結局、若者は育たないという結論に導かれる。

そして、本書のあとがきにも書かれていた通り、今後、求められるのは「人の温かなまなざし」。
できればそれを会社内で実施するのが理想。
それは若手を甘やかすことでも迎合することでもない。
厳しいことは厳しく、責任を問う時は責任を問う。
それを温かいまなざしで行うのだ。

少し前のスタッフブログで高井が「あったかい組織」について書いた。
それ以降、他のメンバーも「あったかい組織」について触れているが、
大きく端折って言えばそういうこと。
問題は常にこちら側と考えなければならない。

僕がどれだけできているかは問わないとして(苦笑)、それを心掛けながら若手を育成する。
それも直接、間接、関係なく全員で・・・。
そうすればきっと育つの僕は思うのだが、どうだろうか。

ヤバいLINE

line1561

本書には、こんなことが書かれている。
人々から愛されるサービスになるには、偉大な哲学が必要だ。
それは、古今東西すべての企業や商品に共通していえる。

ましてや、グローバルを追求するIT企業は、
世に放つサービスの哲学をより一層問われることになるだろう。

グーグルやフェイスブックが成功した一つの要因には企業としての哲学が備わっているという。
では、LINEはどうなんだろう。
本書の疑問もここにフォーカスされているが、あまり見えてこない。
ベールに包まれていることが多い企業の一つがLINEでもあるのだろう。

僕もLINEを使用するユーザーの一人だが、使っても1日1回程度。
嫁さんに「●●に帰ります(^^)v」と超シンプルなメールを送るくらい。
もしくは入っているグループから飲み会の案内が送られる程度。
積極的に自らメールを打ったり、スタンプを購入することはない。
無料スタンプはたまにダウンロードするが、コインが必要なものは一度も購入したことがない。
やり方も知らない。
ITリテラシーが足りないと言われてしまえばそれまでだが、そこまで重要だと思っていない。

一方、娘や息子はLINEのない生活は考えにくい。
想像するに友達とのやりとりは全てLINE。
部活の情報もLINEで共有されることが多い。
便利なツールであることは間違いないが、あくまでも表面的なやりとりで効果を発揮するツール。
長文は似合わないと思うし・・・。

だから、僕の使い方としてはその程度で十分だが、
利用者が国内だけで5000万人を超えると複雑な問題も生じるのも事実。
企業としての成長スピードが速すぎて、コンプライアンス含め追いつかない面も考えられる。

LINEが与える悪影響について書くつもりもないし、そんな立場でもないので、
不都合な真実を披露することもないが、その実態を知っておいて損はない。
また、反面教師的な意味合いで企業を理解しておくことも大切。
決して悪い見本としているわけではないけど(笑)。
本の帯はちょっと挑発し過ぎだな。もしくは韓国を意識し過ぎだな・・・。

LINEの未来を語る箇所にはこんなことが書かれている。
映画「スパイダーマン」よろしく、「大きな力には大きな責任が伴う」のだ。

これからLINEがユーザーとの信頼関係を継続するためにはまさにここが重要だと思う。
ファンを増やすも減らすも自分たち次第。
それは自分に対しても肝を銘じなけれないけないこと。
その意味でも学びの材料にはなるのかな・・・。

LINEがどんな会社なのかHPを確認してみた。
職業病的でつい採用情報をみてしまう(笑)。
大卒初任給の標準年棒が技術職で460万。
う~ん、高い。すごい。
標準年棒という曖昧な表現なので、実際は同じ新人でもかなり差は出るのだろう。
そういった意味でも先端を走っていることか。

上場しても株を購入することはないと思うけど、その企業姿勢は見ておく必要があるかもしれない。