僕たちの知る北朝鮮という国はニュースなどで流れるあの特異なイメージがほとんど。
しかし、その実態が本当はどうなのかは、僕たちには分からない。
在日コリアンと呼ばれる人々にとって、単なるニュースの向こう側の国ではなく、
自身のルーツであり母国であり大切な国なのだ。
立場が違えば、その国の映り方や見え方が全く異なるという当然の事実にハッとさせられた。

主人公は朝鮮学校に通う在日コリアンの14歳の少女ソヒ。
彼女はある日、ちょっとした出来心から問題を起こしてしまう。
そこに誰かを傷つけようという悪意があったわけではない。
むしろ、家族に余計な心配をかけまいと気を遣った、
いかにも子供らしい健気な行動の裏返し。
後になって大きな後悔に襲われるが、若さゆえに揺れ動く彼女の心の痛みが、
スクリーンを通して痛いほど胸に迫ってくる。

僕は日頃から、外国人に対しても偏見を持たず公平でいるつもり。
しかし、それは単に「公平に接しているつもり」だけであって、
相手の本当の気持ちや抱える葛藤を理解できているわけではない。
映画を観ながら痛感した。

僕の考えている公平さなど所詮は部外者の綺麗事。
当事者には全く別の、もっと複雑な想いがある。
それが多感な思春期を迎えた少女ともなればなおのこと。
大人と子供の狭間で彼女がどれほど孤独に悩んでいたか、推し量るのは容易じゃない。

それにしても本作は演じる少女たちの瑞々しさがとにかく素晴らしい。
主役のソヒを演じた恒那も、
同じ在日コリアンの同級生を演じた原田花埜も、
そして日本人の友達を演じた梨里花も、
決して目立つような演技をするわけではない。
どこにでもいる純粋で等身大な中学生の姿を自然体で演じていた。

それが素晴らしい。
さらに父親役の井浦新をはじめ、
脇を固める俳優陣の抑えた演技も作品にいい味を添えていた。

観終わった後、ふとタイトルの意味を考えた。
賞を獲得したトロフィーだけではない。
タイトルにある「トロフィー」は、
一体誰にあげるのが一番相応しいのだろうか。

必死にアイデンティティと向き合い、
小さな一歩を踏み出した少女たちに贈りたい。
なんて、キザなことも思ってしまった(笑)。