たまたまNewsPicksのホリエモンの番組を観ていたら対談されていたのが東浩紀氏。
哲学の分野では有名な方だが、
僕は名前を聞いた程度でどんな活躍をされているのか知らなかった。

この番組でも本書を宣伝しながら、ホリエモンに対してズバズバと直球を投げられていた。
どうやらホリエモンとの相性はいいみたい。
たまには哲学書でも読んでみようと何も考えずポチっと購入。

現在の資本主義やネット社会の未来について思想を述べられているかと思ったが、全然違った。
「ゲンロン戦記」とは東氏が2010年に創業した株式会社ゲンロンのこれまで。
経営者としての苦悩を描いたビジネス書。

予測していた内容と180度異なったが、いい意味で裏切られた。
面白おかしく悪戦苦闘の物語を読ませてもらった。

世の中には立派な評論家、エコノミスト、コンサルタント、哲学者はごまんと存在する。
僕もそんな方と話をすれば自らの経営をケチョンケチョンに非難されるだろう。
それはある意味、仕事としての役割を追及されるので当然。
やむを得ない。

では、そんな方が自分で企業経営をされたら絶対上手くいくのか。
それは分からない。
経営者として実績を残しその立場になられたのであれば説得力もある。
しかし、そうではないとすれば・・・。

東氏はそうではない事実を自らの言葉で、またその間違いを辛辣に語っている。
それはとても潔い。
言い訳することなく経営の難しさを自らを客観的な視点に立たせているのだ。
確かにここで書かれていることは経営者の資質を欠く面も多い。
(失礼な発言をすいません、コンサルでもないのに・・・)

自らの思いだけではマネジメントはできないという証明。
どんな大きな会社であれ、どんな有能な経営者であれ、働く社員がいて成立する。
誰でも分かることだが、どこかで見誤る。

それを東氏は哲学チックに語っている。

「やっていけそうだ」と思うことと、現実に実現することは全く違う。
やるべきことを発見するというのは、ほかの選択肢を積極的に切り捨てることでもある。

言葉と現実はつねにズレている。

「ほどほどに傷つけあうことができる」コミュニケーションの環境が切磋琢磨には絶対必要。

ゲンロンを強くするためには「ぼくみたいなやつ」を集めなければならないと考えていた。
その欲望自体が最大の弱点だったのです。

等々。
印象に残った箇所をピックアップしてみたが、やはり表現力も重要。

企業の成功物語も学びだが、こうした記録も知っておくのも損はない。
まだまだ知らない世界ばかり。
もっと知を高めないとね。