グリード 上 グリード 上
(2013/10/30)
真山 仁

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書評は下巻も読んでからにしたいと思う。
だったら紹介するなよと言われるかもしれないが、それには大きな理由がある。そう、今週30日(土)にあの伝説の「ハゲタカ」鑑賞会に続く続編「映画『ハゲタカ』」鑑賞会が実施されるのだ。
映画「ハゲタカ」が上映されたのが2009年。リーマンショックの翌年である。僕はこの映画をワークシェアリングで会社が休みの時に観た。
この「グリード」の前篇にあたる「レッドゾーン」は映画の上映後に読んだ。「レッドゾーン」は購入したのではなく図書館で借りた。給与が大幅に減り、本を買うお金さえも惜しかったからだ。リーマンショック後、一気に不況に陥り、これまで経験した事のない経済下で仕事をしていた。
本書「グリード」はハゲタカシリーズの第四弾として、そのリーマンショック前後の事が書かれている。フィクションとノンフィクションを掛け合わせた作品になるのだが、本書を読みながら、当時の悲惨な状況を思い出していた。まだ4~5年しか経っていないというのは不思議な感覚だな・・・。
ドラマや映画の鷲津政彦と原作の鷲津政彦は全くイメージが異なる。それは「倍返し」でブレイクした半沢直樹に近い。どっちもいい(それはドラマも映画も両方という意味)。そのギャップも面白い。
しかし、その中でもあまりイメージが変わらない人物も存在する。元三葉銀行の頭取でドラマでも圧倒的な存在感を示した飯島亮介。本書でも肝心な場面で登場する。そして、主人公鷲津政彦に対して言う。
「立派やなあ、あまえは。いっつも、立派や。けど、それが仇になるかもしれんぞ」
これに近い名セリフがドラマでもあったぞ。ハッハ~ンと感心するのは3人くらいかと想像するが(笑)、何となく嬉しい。
この「グリード」の話題が出るかどうかは分からないが、下巻同様、今週末も楽しみだ。