kyaria144
未熟な証拠かもしれないが10年後、どんな人物になっているのか想像できない。これでも一応、経営者である。社会人となって25年の経験もある。それでも10年後を予測するのは難しい。
ましてや社会人デビューした時に今のこの状態を予測できただろうか。こんな愚か者がまさか会社を背負っているなんて、誰も思わなかったはずだ。
極端な話かもしれないが、今のキャリア教育はそんな予測不可能なことを求めているのかもしれない。高校、大学時代にどんな大人になるかをイメージすることは悪い事ではない。自分なりの将来像や夢を描くことは素晴らしい事だと思う。
しかし、である。それを「やりたいこと」として追い詰めてしまうとどうなるだろうか。多くはそれを成し遂げることはできず別の道を選ぶ。そもそもそれが本当にやりたいことなのか根拠も乏しいはず。
本書を読むと現状のキャリア教育の危うさが垣間見えてくる。誰も悪気があるわけではない。よりよいキャリアを描くために作られているシステムには違いない。
だが、現実は別方向へ進んでしまうことも多い。著者は自分が教育者という立場から自戒を含め、そのキャリア教育に疑問を投げかけ、ご自身の考えを述べられている。
就職活動で悩んでいる大学生を見る立場として、共感することは多い。「やりたいこと」を求めすぎて、前に進めなくなっている存在を目の当たりにするケースも目立つ。
「やりたいことが見つからない方が当たり前だよ」と学生を前に話すこともあるが、ただの慰めにしかなっていないのかもしれない。まだまだ伝える力が足りないと思いながら・・・。
先日、著者の児美川氏の講演を拝聴する機会を頂いた。偶然が上手い具合に重なったこともあり、児美川氏と挨拶もさせて頂いた。
本書を読んだイメージでは小難しく理屈っぽい方かと思っていたが(スミマセン・・・)、実に温厚で真摯な方だった。今の学生、そして勤務する大学にも深い愛情を感じることができた。
高卒で就職できないから大学へ進学する現実、将来への努力よりは今の楽しさを優先する若者の多さ、未来に対する期待感のなさ等、簡単に解決できる問題はひとつもない。少しずつ少しずつ明るい未来を僕らが作っていくしかない。
それは10年後が見えないからやらないのではなく、やっていればいつかはよくなるという楽観性を持ちながら取り組むことも必要。それが僕らが若者に対してできるキャリア教育なのかもしれない。
本当はこのブログで別の事を言いたかったような気もするが(苦笑)、書いているうちに違う方向に行ってしまった。
ただ言えるのは今の若者を作っているのは自分たちであるということ。むやみに若者を非難するのではなく、その責任は僕たちが持たなければならない。