映画評論仲間のBush解説員が絶賛していたので、遅ればせながら鑑賞。
評論仲間の評価に対して一般的な評価は高くはない。
この差は何だろうか。
想像力の差か、読解力の差か、集中力の差か、単純にストーリーの差か。

ただ観終わった後、絶賛する理由も理解できた。
本作はいきなりボレロから始まる。
昨年観た誕生秘話の「ボレロ 永遠の旋律」
世界的な有名な名曲だが、同じリズムの繰り返し。
飽きることなく聴かせる音楽性は最大の魅力。

本作との共通点は同じことを繰り返す点。
意図的かどうかは不明だが、間違いなく連動させることで自身を深く落とし込む。
それがいい緊張感に繋がるのではないか。

本作は世界的ブームを巻き起こしたゲームを実写化。
僕はゲームをやらないので「8番出口」がどんなゲームかも知らない。
映画の途中まではどこがゲームなのかさっぱり分からなかった。
しかし、同じような映像を見せられるうちに徐々にどんなゲームかが見えてきた。

「8番出口」って、こんなゲームなのか。
本作はそのゲームの上に人の生き方を乗せてくる。
これが結構厄介。

シンプルに間違い探し的な流れなら分かりやすい。
そこに人生とやらを乗せてくるから面倒になる。
地下道ですれ違う人がどんな影響を与えるのというのか。
考えようとすれば深みにはまり出口が見えなくなる。
堂々巡りというわけか。

川村元気監督の狙いはそこなのか。
もっと違う視点か。
いえるのは限られたの空間で、ここまで想像力を掻き立てる力量。
長回しの撮影も効果的。
莫大な予算を掛けなくても、迫力あるアクションがなくても、
面白い映画は作れるということ。

映画館は小さな子供も観ており理解するには難しいと思うが、
こんな日本映画があっていい。
ある意味、日本映画に生きる道でもあったり・・・。

エンディングロールも斬新。
こんなスタイルもあるのかと感心して眺めていたら、
Special Thanksで山田洋次、是枝裕和、李相日が登場。
日本を代表する映画監督の名前。
調べてみると脚本や作品の方向性に協力していたという。
90歳を超える名匠がこの手の作品に協力する懐の深さに感動。

資本が乏しい日本映画界。
しかし、こんな作品が世界にインパクトを与えるかもしれない。
そんなことも感じた映画だった。