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これはズルい映画だ。
この前編を観たら、ほとんどの人が後編を観たくなる。
人気連続ドラマみたいにそんな風に作られている。

一般的にシリーズ物の映画でも一話だけでも満足できるケースは多い。
しかし、本作は違う。
途中で映画が終わってしまった感覚なので、このままでは消化不良だ。
つまらない映画ならともかく、
グイグイ引き寄せられる作品だったため、無視するわけにはいかない。
前編で興行収入が20億円なら、40億は稼げる映画となるだろう。
なかなかいい戦略じゃないか・・・。
どうしてもビジネスとして捉えてしまうな。
楽しみだからいいのだけれど(笑)。

本作は昭和64年に起きた誘拐事件が舞台。
昭和64年といえば僕は大学4先生で、あと数ヶ月で社会人デビューを迎える時期であった。
すぐに平成に変わり、僕は平成元年卒業、平成元年入社ととても分かりやすい年代。
この平成のスタートと共に僕の仕事人生は始まったわけだが、
昭和64年が7日間しかなかったことは記憶の中からすっかり消えていた。
とても静かな1月2月だった記憶はあるが、日数のことは頭から抜けていた。
被害者の立場に立てば、すべてそこで止まっていることにはなるが・・・。

当時の状況を思い出しながら、昭和64年のシーンを見入っていた。
「あれっ、こんな古臭かったけ?」
昭和64年=1989年である。
日本はバブルの真っただ中。
舞台が違うので、そんな華やかなシーンは必要ないと思うが、
走っている車なんかには違和感を感じた。
フェンダーミラーじゃなくてドアミラーだろ・・・。
当時のことを思い出すとそんなどうでもいいことが時代の流れの象徴のような気がして、
そんな感想を抱いてしまった。

いろんなところでこの作品の評判を聞く。
豪華俳優陣だとか、佐藤浩市が出過ぎとか、いい面もそうでない面も評価されている。
原作を読んでいる方はイメージの違いもあるだろう。
僕は原作を読んでいないので、素直に受け止めることができた。
佐藤浩市氏の暑苦しい演技も好感が持てた。
日本を代表する役者であるのは間違いないと思う。
瑛太も「ウスノロ!」というセリフもよかった。
興行収入を上げる戦略にまんまと乗ってしまうが、後編も楽しみにしたい。