2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書) 2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書)
(2009/07)
佐々木 俊尚

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名大社は新聞の求人広告を扱う代理店としてスタートしている。僕が入社した当時もその色が濃かったし、営業としても新聞の枠はかなり販売もしてきた。
ただ言えるのは、そのまま新聞の広告代理店の状態が続いていたら、会社の存在はなかっただろう。
仮に存在したとしても、今、僕がこのようなブログを書いている状況はあり得ないのは間違いない。きっと別の仕事をしているはずだ。
決して新聞の広告代理店を批判しているのではなく、何の媒体との資本関係もなく、特徴を持たない代理店が生き残っていくのは、それだけ厳しいという意味だ。
この業界に20年以上、身を置き(それ自体、稀有かもしれないが・・・)、目まぐるしく変わる現実に接してきた。
中には、一向に変わる事のない平和な方々も見えるだろうが、自力で何かをしなければならない立場では、常に時代を見つめなければならなかった。それでも、スピードは速くはないのが実情であるが・・・。
今回の著書では、新聞やテレビの行く末を危惧していると共に、その業界に身を置く者への変化をも求めている。それは、このマスメディアと呼ばれる大きな媒体だけでなく、それに間接的に接する我々の様な広告に携わる者に対しても、辛辣な言葉で変化する事を求めている。
確かに新聞の求人広告を売っている時は、その媒体の持つ威力(発行部数、販売シェア)とクライアントとの人間関係だけで、売ればよかった。
その広告の効果は、あくまでも結果として判断するものであって、出稿以前の段階では、ほとんど求められなかった。それが、インターネットの登場により、クライアントのニーズも様変わりし、デモグラフィックを求められるようになり、従来の大雑把な営業スタイルでは通用しなくなったのも事実である。
提案段階でその効果に期待する定量的な根拠を示さなくてはならなくなった。これは、単に求人業界という狭い範囲の事でなく、全ての広告においても同様である。
その現実を嘆いても仕方なく、時代が変化したのであれば、その変化に適した対応を行うのが当然の事であろう。
現在も新聞社やテレビ局との取引も多く、その方々と接する事も多い。この著書で書かれている内容が全てではなく、危機感を持ち、内から変化を起こそうとされる方も多い。
そんな方が活躍する限りは、まだまだメディアとしての存在力は示すだろうし、応援もしていきたい。
この著書のタイトル「2011年 新聞・テレビ消滅」。果たして来年の今頃、新聞社、テレビ局、そして当社を含めた広告代理店は一体どうなっているだろうか。