これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

ちょっと驚き、キネマ旬報

僕は一年に1回だけキネマ旬報を買っている。
学生時代はちょくちょく買っていたが、
働くようになってからは2月の特別号だけ。
かれこれ30年ちょっと。
過去の雑誌は今でも本棚に並んでいる。

理由は明白。前年のベストテンが発表されるからだ。
昨年はそれなりに映画館で観たが、
それまではあまり足を運んでいなかったので、この号を参考にしながらDVDを借りていた。
少し前にブログで僕のベストテンを発表したように昨年は邦画を結構観たので、
自分の評価と比較しながら読んでいた。

やっぱり随分と異なる。
僕がトップに挙げた「日本で一番悪い奴ら」は箸にも棒にも掛からなかったし、
それなりに期待した「聖の青春」もそれほど評価は高くない。
意外と「君の名は。」は評価が高かった。

僕が参考にするのは評論家が選ぶベストテンよりも読者選出のベストテン。
評論家が選ぶ作品は芸術性が強く、またマニアックな作品が多い。
その点、読者選出はちょっと映画に詳しい素人集団なで(本当かな?)娯楽作品が多く、
僕も何とか追いかけることができる。

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それがである。
今年は珍しいことに評論家選出も読者選出もベストテン1位、2位が一緒だった。
それも日本映画も外国映画も一緒だった。

こんな偶然は僕が知る限りないのではないか。
調べようと思えば調べられるが、面倒なのでそれはしない。

日本映画は1位「この世界の片隅に」2位「シン・ゴジラ」。
外国映画は1位「ハドソン川の奇跡」2位「キャロル」。
唯一「キャロル」は観ていないが、まあまあ、納得できる順位なんだろう。
3/4の作品を観ていてよかった。
これも何十年ぶりじゃないのかな(笑)。

宮崎祐治氏の映画街路図も面白い。

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イラストとストレートなキャッチでその映画をすべて語ってしまう。

と定番の情報は載っている今号だが、物足りない面もある。
日本映画やアジア映画、欧米映画の総括が書かれていない。
例年であれば総括する情報(ヒット作や売上高、トレンド)が掲載され、
それを読み映画業界の経済事情を把握するのだが、今年はそれがない。

「君の名は。」効果で書くまでもないのかもしれないが、寂しい。
他にも掲載すべき情報が少ないと思うのは僕だけだろうか。
キネマ旬報をパラパラ読みながら、そんなことを感じてしまった。

今年はどれだけの作品が観れるかどうかは分からないが、
気持ちの向くまま映画を観続けたいと思う。

映画「マグニフィセント・セブン」

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先日観た映画に続き単純明快な作品。
「七人の侍」を基にしたとか、「荒野の七人」のリメイクであるとか、
(ちなみに荒野の七人は観ていないけど)
予告編を観ただけでどんな展開でどんな風に終了するか大体予想できる。

そして、その予想は裏切られることなく、そのままのストーリー。
そんな映画だったら観なきゃいいじゃないかと思ってしまうが、そうでもない。
単純に面白い。単純に痛快である。
人が死にすぎるのはちょっと酷だが、単純に楽しめる。
133分の長さは感じない。

しかし、今さら、なんで西部劇?とも思う。
なんでリメイクする?、なんでイ・ビョンホン?とも思う。
あんな時代に東洋人が紛れ込む可能性があるの?と疑問だらけだが、
そこは痛快さで乗り越えていけばいい。
CG技術が全盛の時代にそれに頼らず制作されているのがいい。
(多分・・・)

これは今の映画業界に対してのアンチテーゼなのか、懐古主義なのか、
もっと深い理由があるのかもしれないが、
そんなことを考えること自体間違っているのかもしれない(笑)。

痛快さばかり目立ってしまうが、映像も美しい。
荒野を馬に乗って走るシーンあたりは見とれてしまう。
これは映像美に拘る黒沢作品に近いのかも。
理想的な夕日を描くために何日も待っていたりして・・・。
自然を描くということは自然と共にするということ。
そんな映画の感じ方もあるのだろう。

それにしても、この映画のタイトルはいかがなものか。
僕の頭が悪いだけかもしれないが、映画のタイトルが全然覚えられない。
「山田さん、最近観た映画って何?」
「え~っと、マグ、マグ、え~っと、マグなんちゃらセブンだよ。」

このマグニフィセントという単語が覚えられない。
「崇高な」とか「豪華な」という意味らしいが、こんな言葉聞いたことがない。
習ってもいない。
(多分・・・)

こんな原題こそ、「新・荒野の七人」とか「超豪華な七人」とか、
「七人の英雄」とか「メチャクチャ強いぜ、西部の七人」にすればいいのに・・・。
これじゃあ、ヒットしないかな(笑)。

「五〇歳からの勉強法」を読む

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この類の書籍を読むなんて珍しい。
20代、30代の頃は「20代から始める・・・」
「30代にやっておくべき・・・・」というような本を結構読んでいた。
それがある程度の年齢が訪れるとそういった興味がなくなり、
ここ最近は読んでいない。

むしろそんな書籍を小バカにしていたと思う。
「ふん、オレはそんな低次元なことに左右されないのさ。」
なんて心の中で呟いていた。
それがである。
つい本書の手に取り購入してしまった。

それは50歳という半世紀生きた記念だからか、ふとした気の迷いなのかは分からない。
とにかく手に取ってしまった。
なんとなく言い訳してるようで、ヤな感じ(笑)。

結論から言おう。
節目節目には読んでおいた方がいい。
今の自分が適正年齢なのかどうか、ひとつの判断基準となる。
この50歳は世間的にみて正しい50歳なのかどうか。
50歳にしては若いとか、50歳にしては教養がないとか、50歳にしては愚かすぎるとか・・・。
そこを見極める意味でも大事だったり・・・。
単なるこじつけかな。

著者の和田氏は自らの経験の下、その有効性を語る。
長生きするにはウォーキングを含めた健康面に気を遣うよりも勉強した方がいいという。
前頭葉を活発にしたほうが老化防止になるというのだ。
別に長生きには興味はないが、ボケたくはない。

密かな「モテたい」願望も勉強によって何とかなるらしい。
勉強する場所でネットワークを広げ仲間を増やすことで魅力的な人と出会う可能性も高まる。
今までもそんな行動ばかりしてきたような気もするが、
(いや、そんなことはない・・・笑)
それで自分が高まれば一石二鳥じゃないか。

他にもスキーマからの脱却だったり、EQの維持だったり、
勉強で得られる優位性が多数紹介されてきた。
多少余裕ができる50歳だからこそ、やるべきのようだ。

僕のような真面目で固い仕事人間は勉強したことを仕事に生かしたいと思ってしまう。
それもどうやら捨てた方がいい。

そして、50歳からの勉強は2つの意味もあるという。
ひとつは今、自分が生きている世界以外でも生きられるようにするため。
もうひとつは、その別の道そのものを探すため。
先々を考えたら、僕もそんな時期なのかもしれない。
大した可能性はないと思うが、「別の道もあるさ」という開き直りのために学ぶことでもいい。
そんなことを感じた。

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今まで全く見向きをしなかったこんな書籍を読むのもその一つかもしれない(笑)。
自分の興味のあること、好きなことを勉強したほうが断然いいらしいが、
この年齢だからこそ勉強はもっとしていくべきだろう。
できるかな・・・(笑)

映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード <ブラック&クローム>」

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タイトルが長くて1行に収まらなかった(笑)。
本作は2015年に公開された作品のモノクローム版。
ようは白黒映画だ。今どき、そんな言い方はしないか・・・。

公開当時、何度も予告編で観た。
そのド迫力さにおののいていたがタイミングが合わず観ることができなかった。
評判もすこぶる高く、この手の映画では珍しくキネマ旬報の洋画ベストテンの1位だった。
あまりDVDで観る気はしなかったが、今回、映画館で上映されることを知り、足を運んだ。
その時はモノクロであることを知らず、映画が始まって初めて知った。

いやあ~、凄い!
71歳ジョージミラー監督、凄い!
ホント、ド迫力。
何度も叫びそうになってしまった。

カラーはカラーで相当面白いと思うが、モノクロはモノクロで独特の迫力がある。
ぐっと力が押し込められた重さが余計な迫力を生んでいるような感じ。
監督自身が「ベスト・バージョン」と豪語しているみたい。

ストーリーは単純明快。
ブログで説明する必要もない。
独裁者から逃亡し追っかけまくられ、戦いまくる話。

細かいシーンは凄まじすぎて、早すぎて、ドバドバと出過ぎて付いていくのに一苦労。
今のCG技術を駆使すれば、それほど難しい撮影ではないかもしれないが、
何人死ねばいいのかと余計な心配をしてしまう。

この映画のジャンルがカーアクションなのか、バイオレンスなのか、
戦争映画なのかはわからないが、この手の作品では一番と言っていい。
スパイダーマン好きな息子が観たら倒れてしまうかもしれない(笑)。
やはり映画館で観るべきですね。

僕が「マッドマックス」を最初に観たのは、高校生か大学生の時。
主役メル・ギブソンの出世作で当時珍しいオーストラリアの映画。
第3作の「マッドマックス/サンダードーム」ではなぜかティナターナーが出演していた。
これはリアルで観たはず。

あれから30年以上経って、そのシリーズと観るとは。
そしてその作品が最高傑作になるとは・・・。
きっとこれが映画の魅力なんだろうなあ~。

あまり中身のない映評ブログになってしまった。
いやいや、ビックリ・・・。

映画「本能寺ホテル」

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これは綾瀬はるかのアイドル映画だな・・・と観終わった後、感じた。
すでに30歳を超えた女優さんなので、今さらアイドルじゃないだろうと思ってしまうが、
(スミマセン)
それくらい可愛らしく描かれている。
恋愛シーンがあるわけではないので、ありがちな路線とは全く異なるが、
ちょっと胸キュンした男性は少なくないんじゃないかな(笑)。
元々、好きな女優さんだから、単純に惹かれてしまったかもしれないけど。

ストーリーとしてはハチャメチャでユーモアのない人は観るべきでない。
おおらかな歴史好きは歓迎するだろうが、
やたらうるさい歴史好きやアンチ織田信長派も観るべきではない。
反対にこれまで織田信長に冷徹なイメージを持っていた方は相当印象が変わっただろう。

新春の娯楽映画としては楽しめる。
それは間違いない。
と同時に、就活生が観るべきではないかと意外なことを僕は思い浮かべた。

本作では「やりたいことは何?」という会話が何度となく行われる。
少しネタバレになるが大勢ではないので許してもらうが、
これがちょっとしたキーワードでもある。
それがあるからこそ、綾瀬はるか扮するマユコさんはもがき生きる。
見方を変えれば、このホテルでの旅は自分探しといっていい。
そして、あり得ない経験を通し、答えを見つける。
就活生に近いと思ってしまうのは、
僕が人材業界に長く席を置いているせいもあるだろう。
何だか変な方向に映評が向かってしまった(笑)。

現代のシーンは当然のように京都で撮影されている。
見たことある風景が並ぶ。
マユコさんがちょっとした休憩で祇園近くの鴨川沿いに座り込む。
ほんの2か月前、僕は川の向かい側をランニングしていた。
映画でも川沿いを走るランナーが映されていたが、
同じような行動を同じ場所で取っていたのだ。
ちょっと嬉しくなってしまった。

そんな楽しみ方もできる本作。
2017年、一本目の映画であった。

僕が「プロ経営者」になれた理由

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プロ経営者になりたいわけではない。
厳密にいえば、会社を経営する者として「プロ経営者」でなければならないと思う。
しかし、巷で言われているような業績悪化の企業を立て直し、企業を転々とする。
そんなことをやりたいわけではない。
いや、やりたくてもできない。
残念ながらそんな実力はない。

経営者としてのポジションも名大社のみで十分。
企業は名大社しか経験せずに死んでいく。
そんな人生でも悪くないと思っている。

じゃあ、なぜ、こんな書籍を読むのか。
単純に著者の樋口氏を尊敬しているからである。
生き方に共感しているからである。
それだけ。

加えて言うのなら、自分が「プロ経営者」という人を知っておく必要はある。
どんな考えで、どんな価値観で、どんな行動力で戦略を実行していくのかは学ばねばならない。
そこで、ガツンと頭を叩かれなければならない。

ガツンと叩かれたところで何かが変わるわけではないが、
少しずつ叩かれ続けた先にほんの少しの変化がみられる。
そんなもんだろう。
それに有益な経験をプラスしていく。
ようやくそれで準プロ経営者になれるのかもしれない。
有益な経験は修羅場を乗り越える経験であり、
三枝氏が言う身の丈に合ったジャンプを繰り返すことかと思うのだ。

本当の「プロ経営者」は何度も何度も修羅場を乗り越え、身の丈ジャンプを繰り返している。
響きはカッコいいが、しんどいことに耐え続けるのも「プロ経営者」。
まさに樋口氏は愚直に実践している。
これを日本HP(ヒューレット・パッカード)の時代から15年も続けられている。
その能力もさることながら、その精神力や情熱はとてつもない。
22時に眠くなる僕とは大違いなわけだ。

いつか本人のお話を伺いたいと思っていたが、直接お会いするのは不可能に近い。
と思っていたら、先日、一本のメールが送られてきた。
日経BP社から樋口氏の講演の案内が来たのだ。
お~、僕は運がいい。
これも実力。
経営者として持つべき能力。

本書を読んでも「プロ経営者」にはなれない。
なれなくても読んでおいた方がいい。
少しだけ運が良くなるかもしれない(笑)。

おかげで本は読めたけど。

土曜日から降り始めた雪。
昨日、目を覚ますと名古屋はかなりの積雪量。
自宅周辺でも10センチ近くは積もっていた。

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家の前の公園で雪だるまを作る子供たちにはいい日だったのだろうが、
これだけの量の雪が降るとあちこちに影響が出る。

センター試験を受ける受験生はヒヤヒヤものだし、
この時期開催されるマラソン大会は急きょ中止とせざるを得ない。
受験生の親御さんも焦るだろうなあ。

こんな日にイベントが重なると主催者側は多方面への対応を余儀なくされる。
僕の立場からするとつい余計なことまで考えてしまう。
気の毒でならない。この時期はそんなリスクは抱えなきゃいけない。

そんな昨日は久しぶりに完全フリー。
当初は映画館に行こうか、久々に打ちっ放しでも行こうか、
ちゃんと走ろうかとも考えていたが、全て見送り。
雪かきで体力を使ったくらいで、後はほとんど自宅に籠りきり。
サンデーモーニング以外は見たいTVもなく、おかげでゆっくりと読書ができた。

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「お祈りメール来た、日本死ね」と「僕が『プロ経営者』になれた理由」。
海老原さんの「お祈りメール~」は年末あたりからパラパラと読んでいた。
先日、開催した親子セミナーで参考になる点はないかと思っていたのだが、
親子向けとは観点が違う。
かなり壮大な話になってくるので、
現役の就活生や親御さんに話したところで理解してもらうのは難しい。
業界全体の問題として捉えるべき内容。

僕は必ずしも「日本型新卒一括採用」が悪いとは思っていない。
著者もそのメリットは認めている。
そこを理解した上での議論が今後必要になってくるのだろう。
就職活動の解禁を12月3週目にするというアイデアも賛成。

「僕が『プロ経営者』になれた理由」についてはブログのネタ不足解消のため、
改めて書きたい(笑)。
あとはVISAから送ってくる雑誌と新幹線に置いてあったWedgeをパラパラするくらい。
何ともオタクチックな一日を過ごさせてもらった。

たまにはこんな日もいいが、一年に1回も要らない。
数年で1回で十分。
どうしても余計な事を考えてしまう。

大雪の日曜日、みんなはどんな過ごし方をしていたのだろうか。
意外とはしゃぎまくってたりして・・・(笑)。

僕が選ぶ日本映画ベストテン

昨年は人気食べ物ブロガーとしてだけでなく映画コラムニストとしても活躍した。

(ウソです。実際は何もしてません。当たり前か・・・)

年が明け、いろんな場で前年の映画の評価が行われている。
先日、キネマ旬報の2016年ベストテンも発表された。

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写真は一昨日の中日新聞の記事。
日本映画についてはこんなベストテン。

1.この世界の片隅に
2.シン・ゴジラ
3.淵に立つ
4.ディストラクション・ベイビーズ
5. 永い言い訳
6. リップヴァンウィンクルの花嫁
7. 湯を沸かすほどの熱い愛
8. クリーピー 偽りの隣人
9. オーバー・フェンス
10.怒り

なるほど・・・。
1位の「この世界の片隅に」はジワジワと評価を上げた作品だろう。
僕の友人でも1位にランキングしている人は多い。
トップにしないと人間性を疑われるかな・・・(笑)

この10本の作品の中で僕が観た映画は5本。
例年に比べれば善戦しているが、
「ディストラクション・ベイビーズ」のような全く知らない作品もある。
「湯を沸かすほどの熱い愛」のように観たいと思いながら見逃した作品もある。

ちなみに昨年観た日本映画は20本。
映画コラムニストとしての本数は少ないが、
一定数の作品を観ているので独断と偏見でベストテンを並べてみた。
きっとこれが世間の話題となるんじゃないかな(笑)。

1.日本一悪い奴ら
2.淵に立つ
3.聖の青春
4.永い言い訳
5. シン・ゴジラ
6. この世界の片隅に
7. ボクの妻と結婚してください
8. 怒り
9. 64(ロクヨン)
10 .海賊とよばれた男

まとまな評論家ならこの1位はあり得ないかもしれない。
しかし、僕の中では一番印象深くなおかつ社会の問題を
面白おかしくあぶり出していたように思えた。

こう並べていると上位作品は暗い映画が多い。
実は僕はネクラなのかもしれない(笑)。
たかだか20本しか観ていないが、ランキングするのは難しい。

「4位と5位の差は何ですか?」
と聞かれても明確な答えはない。
「はあ~、何となく・・・です」と答えるしかない。
「海よりもまだ深く」「セトウツミ」「続・深夜食堂」は迷ったがランキング外。
話題の「君の名は。」も入らなかった。
今年は後半にいい作品が増えてきたというのが僕の印象。

無責任極まりない選出なので参考になることはない少ないと思うが、
これも映画コラムニストとしての僕の仕事。
人の在り方については考えさせられることは多かった。

評価に手間取ったことで、
このブログを書くのに結構な時間を要したことは理解してもらいたい。
中身はなくてもね・・・。

「ザ・会社改造」を読む

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正式タイトルは「ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ」。
プロ経営者と言われる三枝匡氏がミスミの社長就任から12年かけて
成し遂げてきた改革を克明に描いている。
理論も大切だが、その実践内容を共に作りあげてきたメンバーの想いを
含め書かれているのは納得感も高い。
よりリアルに感じ、その時々の葛藤が伝わってくる。

340人だった会社を10,000人の会社に成長させたという結果だけ聞けば単なる成功物語と思うが、
その道のりは険しい。
マスコミに報道されない困難な過程、
あまり表現したくないようなマイナス面も包み隠さず書かれている。

僕が10年程前、ビジネススクールに通っていた時にミスミの若手の方と一緒になったことがあった。
当時から会社の新たなビジネスモデルと成長性は注目されていたので、
その最先端な仕事ぶりを聞いてみたことがあった。
答えは意外で、「全然そうでもなくて問題も多いんですよ。」
というような内容だった。
謙遜しているかと当時思っていたが、実際は過渡期で苦労していた時期だったんだ
と本書を読んで思い返した。

企業の成長の裏側には必ず難しい対立や戦いが起こる。
自分が正しいと言いながら行動しない抵抗勢力や口だけしか動かないリーダーなど、
扱いにくい人物はどんな企業にも山ほどいるのだろう。
そことどう向き合っていくか、理解させるまでじっくり付き合うのか、
バッサリ切り捨てるのかもトップとして重要な決断になる。
それを当たり前のことのように飄々と話しながら
淡々に実行する力が「プロ経営者」としての力量なんだろう。
程遠いですね・・・(笑)。

本書のいろんな箇所に赤線を引いた。その一部を公開すると
・社員の意識を変えるために「意識改革をしよう」と叫ぶ経営者は、経営力が足りないのである。
・会社は2年で大きく変わることができるのだ。逆に、
 2年のつもりでやらなければ10年経っても変われない。
・組織が疲れてくると、組織内の抵抗派が力を増す。
・「末端やたら元気」を実現する出発点は、<スモール・イズ・ビューティフル>の組織論である。
・経営者の技量は、過去に経験した「死の谷」の回数で決まる。

他にも沢山あるが、ここまで。
納得感は高いと共に、う~ん、反省・・・である。

1万人の会社を作ろうとは思わないし、そんな能力もない。
ただ会社が成長し続けるためには常に改革していくことは大切。
改めてその必要性を学ばせてもらった。

映画「海賊とよばれた男」

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原作を読んだのは3年前。当時のブログにも書いた。
普段、あまり読まない小説でかなりの感動を覚えた。
何度も映画館で予告編を観るうちに当たり前ように劇場に足を運んだ。
予告編を観る限り、いい出来栄えじゃないかと期待させてくれた。

と同時に不安に思うこともいくつかあった。
優れた原作の映画化は失敗するケースが多い。
あの上下2巻の超大作を145分にどうやってまとめるのか。
岡田准一はいい男すぎる(笑)。
などなど・・・。

期待半分、不安半分で観たことになる。
友人の評価も様々。賛否両論、入り混じっていた。
では、実際、観終わった後の感想はどうだったか。
面白かった。
厳密にいえば、かなり凝縮しすぎて欠落している点も多いとは思うが、見応えがある映画だった。

何よりも企業のトップが見せるべき姿を明確に描いていた。
これは自分勝手な見方だが、経営者と一般の方とでは
感動したシーンやセリフは微妙に異なるのではないだろうか。
それだけ理想的なリーダーシップが描かれていた。
現代社会にそぐわない点は多数あるが、その本質は変わることはない。
経営者や目指す人には勉強になるんじゃないのかな・・・。
ちょっと言いすぎか(笑)。

本作は出光興産創業者の出光佐三をモデルにしている。
昨今、出光興産と昭和シェル石油の合併問題が話題になっている。
この映画の公開は偶然にすぎないと思うが、
映画や小説を読む限り出光興産の創業家が合併に反対するのは当然のこと。
ファミリービジネス的にいえば、創業の精神、文化を大切にしているとも言える。
大手しか生き残れない時代には、とても難しい判断だと思うけど・・・。

僕としてちょっと寂しかった点。
岡田准一扮する主人公国岡鐡造と綾瀬はるか扮する妻サキの描き方。
ここに時間を割けないのはやむを得ないと思う。
でも、中途半端さは否めない。
他にもいくつかあったかな。恩師との関係性とか(笑)。

それにしても時代考証は見事。
このあたりは山崎貴監督の才能がいかんなく発揮されている。
こんな仕事が得意技なんだろう。

僕は映画は最後の最後まで観るようにしている。
エンドロールもしっかりと観ている。
そこに登場していた。
制作主任 山田哲也。

僕の名前が流れていた。
もしかしたら友人は勘違いしているかもしれない。
「あっ、山田さん、制作に絡んでたんだ」と・・・。

実際は関係ありません。
制作に一切タッチはしていません。
そんなこと言わなくてもわかるか。
そもそも誰も気づいていないか。

これも映画を楽しむ一つなのかもしれない。