タイトルを見て沢木耕太郎氏の名著「敗れざる者たち」を思い出した。
本書のあとがきにもそのことに触れられているが、
著者はそれを意識したわけでもなく、結果的に同じタイトルになっただけ。

沢木氏の著書は敗者が取り上げられているが、本書は必ずしもそうではない。
むしろここに登場する起業家や経営者は敗れた瞬間はあるものの、
見事に復活している場合がほとんど。
本書の「敗れざる者たち」は登場人物の背後でのたうち回っていた者だろう。

本書を読むきっかけとなったのはテレビ愛知「モーニングサテライト」。
その流れで5月に「ネット興亡記トークLIVE」も視聴。
内容もある程度は理解しているので、敢えて手に取る必要もなかったが、つい(笑)。

本書では藤田晋、堀江貴文、孫正義、三木谷浩史、
宇野康秀ら12名を中心にネットベンチャー起業家を描いている。
彼らの書籍もまあまあ読んでいるので、敢えて読む必要もないと思うのだが・・・。
なんで読んじゃったのかな、こんなに分厚いのを・・・。
kindleじゃ分からないけどね(笑)。

これはやはり勉強。
”人の振り見て我が振り直せ”でしかない。

ここで描かれる世界を僕は同時進行で歩いてきた。
もちろん違う業界でエリアも異なり接点はないが、
当時の状況は一人のビジネスマンとして時に羨望し、特に落胆し、
無責任に喜んだり悲しんだりしていた。

当時は一介のサラリーマンだが、今は同じ経営者。
スケールの違いや能力に違いは棚に上げても、彼らの心境は理解できる。
その判断が正しかったかどうかは、何年後しか分からないが、ピリピリした環境下での決断の連続。
そんな経験が経営者としての面の皮を厚くし、判断能力を高めていく。
今のホリエモンを見てれば、何も怖いものはないと感じるし・・・。

それにしても感じるのは全てが繋がっているということ。
ソフトバンクであろうと楽天であろうとLINEであろうとメルカリであろうと
関係者はどこかで必ず接点があり、状況次第で味方になり敵になっている。
お金の動きを含めその駆け引きは実に面白い。
正直、当事者にはなりたくないが・・・。

どんなに成功した経営者でも多くの失敗を経験し、孤独に重圧と戦っている。
本書に登場するのは現役の代表選手。
そう考えると日本にはそんな人が200万人も300万人もいるわけね。
僕なんてまだまだなんだろうね・・・。

一人の壮大な想いや創造力やワガママが企業を大きくし、業界を育てていく。
この20年で時代が大きく変化したのもこの人たちが生み出したサービスのおかげ。
どんな環境に身を置くかも重要な要素。

理解している世界とはいえ、改めて学ぶ点も多かった。
また、自分を戒めるいい機会にもなった。