本書は、
「生産性とは、罠なのだ」
「人類の歴史上、いわゆる「ワークライフバランス」を実現した人なんか誰もいない」
と正しいと思われてきたことの完全否定からスタートする。

時間の効率化を最優先に進めてきた者にはいきなりハンマーで殴られた感じ。
それは僕も同じかもしれない。
いつもボーっとしていると思われがちだが、僕は結構、時間にうるさい。
ヒマでよだれを垂らしながらも、効率を常に求めていたりする。

エスカレーターでじっと立っているのも我慢できない。
その時間が勿体なく右側を歩く。
そんな行為こそが正しいと思っていた。

しかし、それは完全な独りよがり。
名古屋市は条例でエスカレーターは立ち止まって利用することを義務付ける。
事故防止が目的だが、それも時代の流れ。
車の運転でも家人によく叱られる。
スピードを出し過ぎだと・・・。
少しでも早く到達したい気持ちがこれまでは強かった。

だが、僕自身も少しずつ変わってきていると感じる。
5年前なら本書の内容を受け入れることはできなかった。

それが今は概ね理解できるようになった。
今でも生き急ぐ面はなくはないが、時間に対しては穏やかになってきた。
歳を取ったせいもあるが、立場がそうさせたともいえる。
いくらもがいたところで自分の思うようにいかないことがほとんど。

本書はこれまで抱えていた価値観に対して、グイグイと迫る。
それは脅迫ではなく寛容が迫ってくるイメージ。
僕と同じ感覚に包まれているビジネスマンは多いんじゃないかな。

仕事だけでなく休みも充実させなきゃと貧乏性の僕は自分に言い聞かせてきた。
いかに無駄な時間を作らないか・・・。

しかし、著者は180度異なることをいう。
余暇を「無駄に」過ごすことこそ、余暇を無駄に過ごさない唯一の方法。
何の役にも立たないことに時間を使い、その体験を純粋に楽しむこと。
将来に備えて自分を高めるのではなく、ただ何もしないで休むこと。

そんなことを強調している。
頭では理解出来ても、体がついていかない面はあるが、徐々にそうしていくのも間違いではない。
自分の中では、これまで結構なスピードで走ってきたので、
(えっ、全然、遅い?)
そんな時間もいいのかなと思ってしまう。

自分を許してあげることも必要かもね。
本書を読むことで時間に対する考え方が徐々に変化するが分かってきた。
まだ古い価値観に囚われる自分はいるんだけど・・・。