書店でふらふらと眺めながら手に取った一冊。
たまにはこんな選び方も必要。
目的外の書籍から有効的な情報を得られることも多い。
やはり街に出ないとね・・・。

先日まで大学で授業をしていた事もあり、タイトルや帯のコピーが気になった。
毎回、学生のリアクションペーパーを読みながら、
(学生はリアぺと呼ぶ)
僕がそう感じることもあった。

僕が教えていた大学は愛知県の私学ではトップ。
勝手に優秀な学生ばかりだろうと思い込んでいる。
しかし、現時点ではそうとはいえない。

僕の感覚知でしかないが、レベルは年々広がっているように感じる。
優秀な学生は本当に優秀。
一方でそうじゃないと思うことも・・・。

授業に魅力を感じないとか、つまらないとか、そもそも寝ている。
そんな学生もいるだろう。
自分の授業をしっかり聞け!という驕った考えはない。
その点でいえば、リアぺを1行、2行で提出する学生も理解はできる。

しかしだ。
簡単な漢字もひらがな。
文章は幼稚。
言い方は失礼だが、小学校2.3年レベルと感じることも。
それがワザとなら大物。
あえて自分の評価を落とすような書き方をするなら、むしろ頼もしい。
残念だが、そこまでは思わない。

本書の第3章にあるように、
二極化する「入試」、形骸化する「偏差値」
がまさに当てはまると感じる。

総合型や推薦型の入試が悪いとは思わない。
一定のハードルを越えた者が利用するのは適切。
一人の親としてスムーズに志望校に入ってくれれば、余計な心配もなくなる。
子供は2人とも一般入試で進学したが、親もハラハラするのは事実だし、
思い通りにいかないこともあった。

ただ思うのは、その守るべきハードルは壊れていないか。
もちろん全入時代なので、生き残りをかける大学の言い分もあるだろう。
僕が教えていた大学はそこまで高くないはずだが、
私学は60%(21年度)が総合型と推薦型。

知らなかったが、志望理由書の書き方講座を提供する塾や予備校が急増しているという。
一般受験のためではない塾の存在・・・。
ニーズがあるのなら仕方のないことか。
それで本当に実力が身につけばいいが、単なるテクニックだけなら、ちょっと怖い。
こんな手法で今後のキャリアを描いていこうとするなら、もっと怖い。
これは僕の拡大解釈に過ぎないが、学生の質問内容からそれをイメージさせる。

他にも知らなかったことは多数。
”教育ムラ”のルールだったり、
教員不足の実態だったり、
「ギフテッド」の割合だったり・・・。
本書を読み、軽いショックを受けた。

そんな環境の中で僕らは若者を育て、活かす必要がある。
もちろん、僕らにはない能力の持ち主も多い。

まずは実態を理解することが大切。
こちらを意識して真摯に向き合っていきたいね。