
今でもお会いすると緊張する方が何名か存在する。
その一人が著者である谷会長。
多くの経営者とお付き合いさせてもらい、ほとんど緊張することが無くなった昨今だが、
谷会長は今でも挨拶する時は身構え緊張してしまう。
業界の重鎮で貫禄も迫力もある。
フレンドリーな方だが、谷会長の前ではまだまだ自分が小僧に思えてしまうのだ。
本書は6月下旬に発行。
最初に中日新聞の書籍広告で見つけた時には「お~っ」と唸ってしまった。
表紙の写真が目の中に飛び込んできた。
瞬間的に「これは読まないとヤバいな・・・」と脳が勝手に反応。
何がヤバいかは不明だが、読むことが必然のように思えた。
本書は自伝でもあり、経営論でもある。
エッセイ的な要素も強い。
幼少時代から80歳を超えた今までの生き様を何も隠すことなく披露されている。
僕はご子息であり共同PR社長の谷鉄也氏と懇意にさせてもらっているので、
ある程度、会社のことは知っているつもり。
新東通信さんの精力的な活動も理解はしているが、それはうわべに過ぎないことを痛感。
もちろん谷会長のことも・・・。
それにしても豪快。
誰もそれについては違和感は感じないはずだが、その豪快さは想像以上。
酔っ払い運転で事故を起こしたり、逮捕されたり(これは誤解で不起訴)、
そんな事実を面白おかしく表現。
「何かおもろいことないか」という経営理念は自己表現においても貫かれている。
だからこそファンも多く、各業界に幅広い人脈を持っておられる。
本書冒頭の解説は岸田首相だし・・・。
頼まれると断れないんだろうね。
信頼の証なのは間違いない。
本書には僕がお世話になった方もちょくちょく紹介されている。
ユニー創業者の故西川俊男氏も谷会長の手腕を認めていた一人。
そこから「名古屋ナモ締め」も生まれた。
その一番の推進役が谷会長になられるわけだが、
少なからず僕もあちこちで披露していることは評価してもらいたい。
まだまだ足りんと叱られそうだけど・・・。
こういった方の存在が地方を強くする。
10年後も20年後も現役である気がしてならない。
不可能だが、少しでも近づく努力はしないといけない。
いい機会を頂き、ありがとうございました。

20年後、本作は歴史に残る傑作といわれるかもしれない。
もしくは存在すら忘れ去られる作品になるかもしれない。
そんなことを感じた映画。
それはYouTuberという時代を象徴する職業を描くこともあるが、
人間の感情がYouTubeという媒体を通して上手く表現されているから。
時代性を見事に反映させた作品ではないだろうか。
本作のテーマだけみればそれほど惹かれる要素はなかったが、
最近の吉田恵輔監督の活躍をみると観たくなってしまう。
昨年の「BLUE ブルー」も「空白」も個性溢れる映画。
作品の共通性はないが、2作品とも好きな映画。
これから注目する映画監督なのは間違いない。
そして本作も期待を裏切ることはなかった。
恋愛映画、青春映画のジャンルに入るが、ホラー映画と捉えても違和感はない。
決して気持ちのいい作品ではない。
むしろイヤな気分に陥る。
しかし、それを持っても観るべき作品じゃないだろうか。
主役は最初は心優しい男を演じるムロツヨシとYouTuber役の岸井ゆきの。
この2人の表情が素晴らしい。
心優しい男は豹変するけどね。
ムロツヨシは以前から達者な役者だと思っていたが、まさにその通り。
岸井ゆきのはどこが可愛いの?と思っていたが、
(大変スイマセン)
人気と共に変わっていく表情が抜群。
努力して売れようという姿はすこぶる可愛かったし、
その後、ムロツヨシを避けようとする姿はとても憎たらしい。
それがYouTubeを通した表情と普段の生活の表情のコントラストが凄い。
それだけで観る価値はある。
本作を起伏の激しい男女の話で収めるには勿体ない。
僕の見方に過ぎないが、今の時代への警鐘に思えてならない。
面白ければ何でも許されるという時代の流れに対して、
吉田監督は危機感を持ってメッセージを送っているのではないだろうか。
えっ、それは読みすぎ?
そんなふうに思ったり・・・。
ただ、やはり人は人。
最後は大切な場面が残されている。
そこは素直に感じよう。
爽やかな気分で終わるとは言い難いが、観ておきたい映画である。

この書籍を手にした時は、一部の人が映画を早送りで観るのだろう。
わずかな割合だろうと高をくくっていた。
それが本書を読み進めるうちに実態が分かり愕然とした。
しかし、同時に時代がもたらした事実として納得せざるを得なかった。
これが今の標準なんだと・・・。
自称映画コラムニストとして映画は基本映画館で観ることが前提。
そのためには予め予定を組み、
少なくとも2時間は全ての連絡をシャットアウトする必要がある。
メールもLINEも電話も何もかも遮断する必要があるのだ。
暗闇の2時間を確保するのはかなり難しい時代になった。
この時勢において映画館で映画を観ることは最大の贅沢なのかもしれない。
本書を読んでそんなことも感じた。
今の20代全体で49.1%が倍速視聴経験者だという。
大学2~4年生を対象とすれば87.6%がその経験者。
10秒飛ばしを行う学生もほぼ近い数字。
もちろん見る動画コンテンツによってその利用度は異なる。
まだ映画の割合は小さいが、いずれにせよそれが当たり前の時代。
映画を倍速で観るなんてあり得んと嘆くのは僕らのような世代で、
若者からすればそんな嘆き世代は時間の使い方がヘタクソとしか思われない。
拘束される映画館はともかく、
YouTubeでも、ネットフリックスでも、Amazonプライムでも
その倍速機能が標準装備ということは推奨していると捉えても仕方ない。
僕は知らなかったが若者たちは「タイパ」「タムパ」という言葉を使う。
「タイムパフォーマンス」の略で時間のコスパを表す言葉。
これだけ情報が溢れている昨今、どの情報を選ぶかは彼らの中では重要な行為。
少しでも無駄を省きたいと思う。
ファスト映画が象徴するように映画はあらすじが分かればいいし、
観てつまらなければ最大の後悔になるという。
僕もつまらない映画を観た時は時間の勿体なさを感じる時はあるが、
それは作品側に問題があるのではなく、
その作品を選んだ自分に問題があるという認識。
逆にこの作品はどこがつまらなかったかが論点にもなり得る。
いい評価対象にもなるが、そんな話は倍速する連中には通用しない。
僕もVoicyやYouTubeは1.2倍くらいで聞くので大きなことは言えないが・・・。
これもネット中心の世界がもたらした新たなメリットであるのかもしれない。
世代論や時代論としてこの行動は理解できた。
やむを得ないとも思えてきた。
しかし、大切な要素がなくなっていくような寂しさを感じる。
セリフとセリフとの間や空気感、そこに存在する大きな意味。
そんなものが全て無駄として捉えられるのは寂しいし、
大切な何かを失っていくようでならない。
本書を読みながら昨年観た「サマーフィルムにのって」を思い出した。
未来は2時間の作品は消滅しているという内容を含んでいる。
せいぜい5分の作品が中心の世の中になっている。
もしかしたら現実になるかもしれない。
そんな世界は勘弁して欲しいが・・・。
映画館に通える贅沢。
改めて知れたのは良かったが、ツラさを感じた書籍でもあった。

これが日本で制作されたなら、もっとチープに感じたかもしれない。
韓国内でここに描かれる世界が現実なのかどうかは分からないが、
妙にリアルに感じてしまう。
その街並み、その格差、家族の抱える闇がぐっとこちらに迫ってくる。
是枝監督がなぜ韓国で映画を作ったかが理解できたような気がした。
これは僕の勝手な想いだろうか・・・。
最近の韓国映画は日本映画よりも一歩先を捉えているようにも思える。
それは作品のクオリティという面だけでなく、興行的な要素でもそれを感じる。
2018年にカンヌ映画祭を獲った「万引き家族」の監督と、
翌年、「パラサイト 半地下の家族」でカンヌ映画祭を獲った主演男優。
この2人を並べるだけで話題性は高まり、勝手に拡散されていく。
その話題性で映画館に足を運ぶ人も多いと思う。
今でこそ濱口監督の「ドライブ・マイ・カー」は話題だが、
作品が公開された当初はそうでもなかった。
公開から半年で、3.5億円の興行収入。
しかし、それから100日程で10億円の興行収入を上げている。
アカデミー賞作品賞にノミネートされたことも大きいが、
話題が話題を呼び広がった要素も大きいはず。
作品の質でみればもっと早く盛り上がってもよさそうなものだと思うが・・・。
濱口監督の名が一気に世界に広がり、是枝監督のお株を奪ったとすればこれがいい挽回。
お互いにそんな意識はしていないと思うが、そんなことも感じたり・・・。
ブログが作品とは関係ない方向に向かってしまったが、
本作も是枝監督らしい家族の在り方を上手く描いた映画。
本当の幸せはどこにあるのか、非現実な世界から考えさせられることは多い。
どんどん切なくなってくる。
本作でカギとなるのが若い母親役のイ・ジウン。
とてもいい表情をしている。
と同時に僕は彼女が松岡茉優に思えてきた。
かなりダメダメだが、可愛くて憎めない表情がとても似ている。
これが是枝監督の好みと思ってしまうが、穿った見方か・・・。
いや、間違いないな(笑)。
とても許される世界ではない。
しかし、そこでしか大切なものを感じられないとすればそれも大切。
そんなことを思わせてくれる映画だった。

予告編を観た回数なら歴代ベスト5に入るじゃないだろうか。
それも2年間にも亘って・・・。
コロナの影響で公開が遅れたということだが、
だとしたら2020年だけでよかったんじゃないか。
少なくとも昨年は映画館は通常営業していたので問題ないと思うが、それは素人の考え?
配給会社、劇場の間で難しい問題でもあるのかな?
その分、期待感を抱いた観客は多いかも。
興行成績を上げるためのいい戦略だったりして(笑)。
実際、撮影は4年前程になると思うが、
役所広司も松たか子も年齢を感じさせないのはさすが。
感動するポイントがズレているが、役者魂を知るのはいい機会。
本作は歴史好き、司馬遼太郎好きには堪らないはず。
その分、原作と比較され出来具合に不満があったり、
描き方が物足りないと非難の対象にもなる。
人気原作の映画化は一定の観客を担保するメリットもあれば、
叩かれる対象にもなりやすい。
むしろリスクの方が大きい。
小泉監督は過去の実績でそんなプレッシャーを吹き飛ばしているのか。
本作も周りの視線を気にすることなく、
我が道を歩む演出をしているように思える。
それは主役である河井継之助の生き方にもダブらせる。
時代に翻弄されながらも自らの生き方を貫き通す。
予告編でよく観たセリフが生き様を語っている。
カッコいいよね。
武士としての美学を感じる。
作品が何を伝えたいかはともかく、
河井継之助の生き様が僕らに与える影響は大きい。
時代の変化が激しい中で僕らに求められるスキルも大きく変わる。
しかし、根本的に変わらない本質があるとすれば、作品から学ぶ面は大きい。
自分の命を落としても守らなきゃいけないものがある。
保身とは180度異なる。
本質的な正しさ、正義を伝えようとしているのではないかと・・・。
昨年観た「燃えよ剣」と比べればエンターテイメント性や盛り上りには欠けるが、
これはこれで今の時代には必要なのかと。
日本のあるべき歴史は承継したほうがいい。
それを感じる作品だった。

いやあ~、なんかいい。
うんうん、こんな映画はなんかいい。
そんな表現で映画コラムニストのブログを終えてしまいたい。
そんな映画だった。
単純にいってしまえば、75歳の老人と女子高生が仲良くなって、
同じ目標に向かい励んでいくというだけのストーリー。
奇想天外な展開があるわけもなく、どこかで観たような感覚が体を覆う。
だが、一度も味わったことのない不思議な幸福感。
何気ないシーンに何度もグッときてしまった。
それは感動を呼ぶシーンではない、日常的な会話や行動。
そんなシーンに何度もグッときた。
一年を通して何度かそんな作品に出会う。
とても小さな映画だが、とても愛おしく感じる。
昨年だと「浜の朝日の嘘つきども」。
一昨年だと「アルプススタンドのはしの方」。
きっと分かる人には分かるんだろうなあ~、僕の感性が(笑)。
そんなふうに僕を揺り動かしてくれた存在はやはり主演の2人。
宮本信子さんと芦田愛菜ちゃん。
この2人の表情が抜群。
僕の宮本信子さんの印象といえば伊丹十三監督の作品。
「お葬式」から始まって「マンボーの女」「あげまん」「ミンボーの女」など。
僕が学生から社会人になった頃に一番活躍をされていた。
当時は40代半ば。
結構、強い女性のイメージが強かった。
芦田愛菜ちゃんといえば、子供と一緒に観ていた「マルモのおきて」が印象的。
当時6歳。
まだ子供らしさは残っているが、立派な女優。
彼女が一喜一憂する姿はセリフがなくても十分伝わってきた。
この2人の絡みが可愛らしく、こちらまでつい微笑んでしまう。
そして一緒に悲しんでしまう。
寄り添う映画といえばいいのだろうか。
そんな作品だった。
映画の鍵となるんはBL漫画という存在。
そんなジャンルの存在を知らなかった。
実際に流行っているんだよね?
本屋さんにはそんなコーナーもあるんだよね?
その世界に恋焦がれるのではなく応援する姿が微笑ましい。
漫画はそんな読み方をするんだね・・・。
いい勉強になりました。
本作はアンテナを張り巡らせないと気づかない可能性もある。
上映される映画館も限定的だし。
先日観た「トップガン マーヴェリック」のような超大作もいいが、
こんなほっこりとする小さな作品もいい。
もっと映画を観ないとね。

今、世界で最も有名の日本人じゃないかな。
それは映画監督の濱口竜介氏。
本作はその濱口監督の2018年公開のデビュー作。
公開時は名古屋で上映されていたのかも知らなかった。
知らないついででいえば、
本作が東出昌大と唐田えりかの不倫問題の原因みたいだが、
そんな話はどうでもいい。
あくまでも映画コラムニストとしては映画を語るのみ。
周辺情報に惑わされてはいけない。
4年近く前の作品なので、ネタバレも許されるだろう。
運命的な恋に落ちた2人(東出演じる麦と唐田演じる朝子)が、
麦が突然消えたことで自然消滅に・・・。
その後、麦に瓜二つの亮平(これも東出ね)と出会い愛を育むも、
また問題が起きてというような恋愛映画としてはありがちな展開。
原作は芥川賞作家・柴崎友香氏らしいが、その存在も知らず。
この類の小説はもう何十年と読んでいないが、感性を豊かにするには読んだ方がいいかもね。
劇場公開時もこのストーリーだけならきっと観なかったと思う。
それが誰が監督するかで映画自体のクオリティは変わり興味深いものになる。
単なるミーハーかもしれないが、濱口監督の手にかかると何とも不思議な感覚に陥る。
静かにドライブするシーンは「ドライブ・マイ・カー」を思い出させる。
何も喋らず静かな表情が映画を物語る。
ぎこちなさも不安も愛情もお互いの表情が語ってくれているのだ。
以前もブログに東出昌大の演技がかなり上手くなったと書いたが、
きっとこの作品がキッカケじゃないかな。
と勝手に思ったり。
さりげない喜怒哀楽がとてもよかった。
ハッピーエンドに終わったと思う人は多い。
しかし、その先に待っているのは地獄かもしれない。
映画の先行きは観る者に任せられるが、概ね期待した展開。
誰もが胸を撫で下ろすだろう。
しかしだ。
冷静に考えれば、ヒロイン朝子はとんでもない女。
純粋で真っすぐな一途な女性だが、いやいや、かわいい顔をしたわがまま女。
そう書くとバッシングを受けそうだが、冷静に考えればそう。
でも、僕が亮平だったら同じ結末かもね。
セリフの言い回しできっとやられちゃう。
見方を変えればピュアな恋愛映画だが、大体、そんな映画は残酷に仕上がっている。
だからこちらにぐっと迫ってくる。
「偶然と想像」や「ドライブ・マイ・カー」にハマった人は観るべきだね。
あ~、とっくに観てるか・・・。

タイトルに惹かれ手に取ったのも理由のひとつだが、
大きな理由は三浦瑠璃さんが著者だということ。
11月に開催される母校同窓会の70周年記念事業でご登壇頂くことになったのだ。
著書は読んでおかなくちゃと思い、最新作の本書を選んだ。
専門分野の書籍を選べよ!とお叱りの声も聞こえそうなので、それはまた・・・。
僕は中野信子さんも三浦瑠璃さんも著書は一度も読んだことがない。
TV番組もほとんど見たことがない。
ちらっと拝見した程度。
そのためどんな類のコメントを発し、
何を得意としているのか、
どんなタイプなのかも何も知らない。
勝手に強い女性の象徴と思い込んでいただけのこと。
男性の行為に対してかなり手厳しい方でないかと・・・。
「不倫」に対して「正義」を振りかざし、
断罪するパワーが溢れているんじゃないかと・・・。
人を勝手にイメージしちゃいけないね。
想像とはまるで違う内容。
そうでもないな。
多分、本書に書いてある内容を密かに期待していたのだろう。
ある意味、寛容であり、ある意味、自然な行為として受け止めている。
むしろ、不倫は絶対悪とそのターゲットを叩きまくるマスコミやSNSを非難。
それを学者らしく専門分野にも照らしながら発言されている。
あくまでも対談集なので、サ~ッと流れていく感じなので、
奥深いところまでは分からないけど。
それは女性同士に井戸端トークのようにも思える。
その軽さがタイトルとのギャップで読者を取り込んでいるのだろう。
次回はちゃんとした著書を読みます!
対談物で最近、読んだのはこちら。

隈研吾氏は67歳だが、養老孟司氏は84歳。
そろそろ死への向き合い方を語り合っているかと思ったら、そうではなかった。
これまた専門分野の知識を活かしながら、
これからも元気に生きましょうというような話。
今の時代は参勤交代型の働き方がいいという考え方は面白かった。
直近でいえば、NTTの新たな制度もそれにあたるのかな。
超高層ビルという箱に閉じ込められているのがエリートだ
という言葉には妙に納得してしまった。
最近は意図的に興味のない分野を読むようにしている。
これからの自分に必要なことだと思うし・・・。
多くの考えを吸収する事は続けていきたいね。
とあまり中身のない書評ブログになってしまった。

映画が始まり、いきなり鳥肌が立つ。
流れる曲はケニーロギンスの「デンジャー・ゾーン」。
飛行シーンと共に瞬間的に映画の中に吸い込まれていく。
多分、前作を観た世のオジサン、オバサンはほぼ同じ現象のはず。
先日たまたまワイン会でご一緒した同世代の女性は号泣しっぱなしだったという。
その伏線にいとも簡単にやられてしまったようだ。
前作の公開は1986年。
もう36年もの時間が経過している。僕もそのほとんどを忘れている。
ただバックに流れる名曲と大迫力の飛行シーンは体に染み込んでいる。
そこが映画が始まりわずか数分で覚醒された。
あとは映画にズルズルと引き込まれるだけ。
これだけ見事な続編は滅多にない。
それもしっかりと前作の流れを引き継ぐ構成。
続編までの時間は映画の中で消化されている。
その年数はさすがに36年ではないと思うが・・・。
トムクルーズ扮するマーヴェリックは一体いくつなんだろう。
少なくとも50代半ばのはず。
いやいや、これが現実ならあり得ない世界。
きっと老眼も始まっているし、あんな完璧なオヤジはいない。
あのハイレベルな技術を駆使するなんてできない。
トムクルーズさん、ちょっとカッコ良すぎない?
しかし、そんな話はどうでもいい。
ただ素直に映画を楽しめばいい。
架空の敵国がどこかなんて深く考える必要もない。
余計なことは全部吹っ飛ばしてしまえ。
超エンターテイメントと呼ぶに相応しい。
僕はエンターテイメント性の強い映画はもう卒業したと思っていた。
もっと大人の世界に向き合う映画コラムニストになったと・・・。
ただの思い上がりだった。
卒業どころか、映画のど真ん中にいる自分がいた。
まだまだ子供じゃないか・・・。
それにダメ押しするのがジェニファーコネリー。
こんな登場のさせ方なんてズルいとしかいいようがない。
そして、あのラストシーン。
う~ん、参りました。
最初から最後まで。
端から端まで超エンターテイメント。
見事にやられましたね。
できれば前作をもう一度観てから、現場に出向いてもらいたい。

周りの評判がよく、それに導かれて観た一本。
とても身近さを感じた映画だった。
映画の中心的な存在である伊能忠敬や主演の中井貴一が身近なのではない。
4月にお邪魔した香取市が舞台だったのが、大きな理由。
その時のブログがこちら。
「フィールドワーク? いやいや、単なる男旅」
映画で描かれている世界がまさにここ。
お邪魔した伊能忠敬記念館も重要伝統的建造物が並ぶ小田川沿いも映画に登場。
つい2か月前に見た風景がまざまざと映し出される。
身近に感じないわけがない。
本作は中井貴一扮する市役所職員が伊能忠敬をモデルに大河ドラマの制作を仕掛けるもの。
香取市内ではチュウケイさんと呼ばれ、とても親しまれている伊能忠敬。
初めて日本地図を作った実績をもっと世に知らしめるべき行動を起こすが、
そこには今まで知られていない事実が発覚してしまう。
事実を知れば知るほど別の感動が生まれてくる。
そのドラマは確かに感動的。
それを大河ドラマにしても違和感はない。
しかし、それでは主役伊能忠敬が成り立たない。
そんなことを現代と江戸時代をシンクロさせながら描く。
それが観ていて心地いい。
涙あり、笑いあり。
正しい日本映画を鑑賞する感覚。
現代も江戸時代も出演する俳優陣は同じ。
中井貴一も松山ケンイチも北川景子も平田満も近い役どころ。
中でも上司部下の関係である中井貴一と松山ケンイチは絶妙。
どちらの時代もその苦労を上手に笑いに変える。
あんなすっ呆けた松山ケンイチも肩の力が抜けていい。
上質なコメディに繋がる。
ただの軽薄な兄ちゃんじゃないか。
日本の歴史を調べてみると3年ほどの時間なんて些細に思える。
長い歴史でいえば1~2年なんて大した話じゃない。
そんなふうに考えてしまう。
だがその些細な事実が歴史上とても重要で、過去を180度変えてしまう可能性もある。
まさに本作はその些細な事実を見逃さず、歴史を根本から変える。
となるとその当事者の評価も・・・。
忠実に歴史を描く映画も大切だが、こんな視点で作られる映画もいい。
様々な角度から歴史を描いてもらいたい。
日本映画ファンとしては・・・。
純粋に楽しめる作品でした。