これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

高卒採用は宝の山

先日、日経トップリーダーのプラチナ会員に送られた書籍。
CDと他の書籍と一緒に届けられたのだが、どんな意味があるのだろうか?
といってもタイミングとしては絶妙。

高卒採用のことをもっと学ばねばと思っていた時期なので、そのプレゼントに感謝。
従来、僕への講演依頼は大卒の新卒採用戦略がほとんどだったが、
最近は環境の影響もあるとは思うがその幅が広がってきた。
中途採用だけであればいいが、高卒の採用手法についても求められるようになってきた。

先日もある自治体から高校生の保護者に対して話をして欲しいという依頼を頂いた。
「専門分野ではないので責任取れませんよ。どうなっても知りませんよ。」
と話すのだが、謙虚な姿勢ぐらいで受け取られしまう。
正直に話してるんですよ・・・。
いい機会でもあるので、お引き受けはするんだけど・・・。

来週には板金加工を中心とする製造業の団体で講演も行う。
事前の打ち合わせでは、やはり採用の中心は現場の高卒がほとんど。
そうなってくるとこれまでの内容だけでは片手落ち。
採用に対する基本的な心構えや考え方は同じだが、その採用手法や求める人物像は異なる。

それを学ぶに本書は参考になった。
本書には高卒を積極的に採用する企業21社とそこに働く人が取り上げられている。
成功事例が並べられているので、何かのガイドブックみたい(笑)。
それはそれとして、各社は取り組みは真剣で、
大卒の補完やブルーカラー職の採用ではなく、コアな業務を任せるために採用しているケースが多い。

また、取材対象の若手も働く意欲は旺盛。
お手本になる社員さんを登場させているのだから、まあまあ当たり前。
それでも好感が持てる。
高卒で活躍する方の話をまとめると総じて目的意識が高い。
経済的な自立をしたいとか、手に職をつけたいとか、
社会に早く出たいという理由がほとんど。
経済的な理由で就職しなければならない場合もあるが、明確な目標を持って就職している。
そこが大きな違い。

なんとなくとか、進学に失敗したので・・・という理由だともっと離職に繋がっているだろう。
進学率が高くなり、高校卒業者105万人のうち、専門校・職業能力開発施設含め進学するのは81万人
(2016年3月文部科学省学校基本調査)
就職するのは19万名弱。
高卒採用数の方が圧倒的に少ない。

それが今の現状。
企業選びも学校から勧められたとか先輩がいるからと理由が多く、大卒とは大きく異なる。
その中で企業を差別化していかねばならない。
キャリアパスやキャリアアップのプランをどう提示できるかで成否も変わる。
だとしたら、高卒採用よりも大卒採用の方が容易な気もするが・・・。

どちらにせよ大卒だから企業の中心とは言い切れなくなったのは事実。
相当な二極化、いやもっとえげつない2:6:2の法則が成り立っているのかもしれない。
そんな大卒よりも伸びしろが大きい高卒の方が期待できるというのは否定できない。
大卒も高卒も大差ないといえるだろう。

大切なのはきちんとした目的を見つけること。
それさえあれば可能性は限りなく広がる。
本書で参考にできる情報は引っ張り抜いて、今後の登壇の場にも役立てていきたい(笑)。

映画「ダンケルク」

昨年話題になったが見逃した作品。
最近、Amazonプライムにアップされたので299円を支払って観た。
最新作はタダではない。
しかし、この価格ならメチャ魅力的ではないだろうか。
Amazon恐るべし・・・。

戦争映画だと知ってはいるが、それ以外の知識はない。
監督は「ダークナイト」のクリストファー・ノーランとは知っていたが、
何を得意とする監督なのかは何も知らない。

映画によっては予備知識。すなわち予習が必要。
特に歴史ものはそう。
少なくとも本作はある程度予習をしていた方が、楽しめる作品だと思う。

ダンケルクとはフランスの海岸のこと。
そんなことも全然知らなかった。
世界史ももっと勉強しないと・・・。

ドンパチと激しい戦闘シーンがメインの映画だと思っていたが、その欠片もない。
確かに闘うシーンはあるが、燃え上がる炎や自らを省みず闘う姿は少ない。
一人ひとりの葛藤や逃げ惑う姿がこの映画の象徴。
国目線でもなく、勝利を導く強烈なリーダーシップが存在するわけではない。
一人ひとりは弱くてネガティブで、それでも立ち向かう姿を描く。
前線に立つ連中も使命感は強い。
そのためか一人ひとりは黙々と自分の任務をこなす。
必要以外な会話はない。
主役であるフィオン・ホワイトヘッドも台詞はあまりなかった。

戦争映画ではあるが静かに流れるシーンも多いので、
デスクトップパソコンで観るには少し厳しい。
いい緊張感を持たせるにもでかいスクリーンで観るのが最適。
時々、寝落ちしそうになったのは作品の出来の良し悪しではなく、
僕の置かれた環境であろう。
いい映画は体調も万全に臨まねばならない(笑)。

映画を通して歴史を学ぶことは可能。
僕は知らない世界が多すぎる。
無知を露呈するつもりはないが、書籍だけでなく映画を通して歴史、
文化を知ることはもっと行うべき。
そんな点も含め、もっと歴史や文化を学ぶために映画を観ていこう。

映画「祈りの幕が下りる時」

「新参者」シリーズはドラマ、映画を含め一度も観たことがなかった。
本作も予告編には惹かれたものの、
本シリーズを観ていない理由で観るつもりはなかった。

しかし、映画評論仲間のBush解説員がベタ褒めをしていた。
そして、彼もこれまでの作品は観ていないという。
以前の作品を知らなくても影響がないと言われるので、
その言葉を素直に受け止め観ることにした。

結論から言おう。
その言葉は本当だった。
犯罪ミステリーというよりは上質な人間ドラマ。
号泣した観客も多いだろう。

予告編で流れるシーンに名作「砂の器」をダブらせていたが、
あながち間違いではないようだ。
僕の感性もまだまだいけるということ(笑)。

80年代半ばにあの田んぼ道を歩くのは正直違和感を感じたが、
演出的には気持ちを盛り上げてくれる。
ちょうど僕が大学に進学する頃なので、
もう少し時代は進んでいたはずだと・・・。
まあ、そんな話はどうでもいい。
感情が重なり合う時に生まれる行動は誰もが共通するのかもしれない。

僕は阿部寛氏扮する加賀恭一郎という人物を知らない。
どんな事件を解決し、どんな性格かも分からない。
だが、これを観ただけで人間的な魅力とその明晰さは理解できる。

高揚した今の気分でいけば、全シリーズを観てしまうかもしれない。
それだけ引き込まれた。

それと同時に思うのは、「最近、作品多過ぎじゃね?」ということ。
本作を観ていた時に流れた予告編「空海」にも「北の桜守」にも出演している。
毎年のように主演作が上映されている。
日本映画界はこの人に頼りすぎじゃないかと思ってしまう。
もちろん映画映えするタイプではあるんだろうけど、
もっと他の男優さんにも活躍して欲しいものだ(笑)。

本作は東京・日本橋がカギ。その周辺の橋がたくさん登場する。
きっと僕もいくつかの橋は渡っているはず。
茅場町のあの橋もそうなのかな?とふと考えてみたり・・・。

日本映画のいい点はいろんなロケ地が自分とオーバーラップさせられるところ。
そんな意識をしながら映画を観るのもいい。

親子の大切さを感じる感動する作品だった。

もっと映画を観ないと・・・。

自称「映画コラムニスト」であるワタクシ。
自称は自傷という話も・・・(笑)。
映画コラムニストを名乗っていながら、
それに相応しい本数を観ているかというとそうでもない。

2017年、映画館で観たのは26本。
そのうち日本映画は17本。
圧倒的に日本映画の割合が高いわけだが、優秀作品は見逃しているケースが多い。

先日、発売されたキネマ旬報の日本映画ベストテンは、
1位 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
2位 花筐/HANAGATAMI
3位 あゝ、荒野(前篇)(後篇)
4位 幼な子われらに生まれ
5位 散歩する侵略者
6位 バンコクナイツ
7位 彼女の人生は間違いじゃない
8位 三度目の殺人
9位 彼女がその名を知らない鳥たち
10位 彼らが本気で編むときは、

結構、小粒で男女関係を描いた映画が多い。
そのうち僕が観たのは「幼な子われらに生まれ」「彼女の人生は間違いじゃない」
「三度目の殺人」の3作品のみ。
これでは映画コラムニストとして失格。
読者選出ベストテンにおいてはたった2作品のみ。
中には名古屋で上映されていない作品もあるが、これでは何も語ることができない。

外国映画もベストテンに入った作品は「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と
「ムーンライト」を観ただけ。

それにしても知らない作品が多い。
予告編が気になったとか、話題性が高いとかだけで観ているので、
肝心な作品を見落としてしまう。
もっと情報を仕入れて映画館に向かわないといけない。

将来を考えるとこれではダメだ。
映画コラムニストととしてのポジションを確保するためにも気合を入れ直す。
1月は2本しか観れなかったが、気持ちも新たにこのブログでも紹介していきたい。
最低でも月に3本は観ておくべきか。
こちらの仕事をメインにする覚悟が必要。
よしっ、映画を観てから出勤するぞ(笑)。

あっ、そうそう、昨年の作品では「あゝ、荒野」を今すぐにでも観たい。
早くAmazonプライムに追加されないかな・・・。

アマゾンが描く2022年の世界

初めて電子書籍で読んだ。
これまでも何度かkindleに落としたものの、その行為に満足し未読のままで終わっていた。
マンガは何冊か読んだが、書籍としては今回が初めて。

まだまだ印刷された書籍の方が頭に残る感じはするのはアナログ人間だからだろうか。
もっと積み重ねることが必要か。
線の引き方とかそれの出し方とかイマイチ要領を得ないし・・・。

本書を読み、自分自身がアマゾンに取り込まれているのが再確認できた。
はっきりいってこれは危険な兆候。
簡単に巻き込まれてはいけないと思いつつ、思うツボ状態。
アマゾンは利益を薄くすることで参入障壁を高くする戦略。
ある意味、徹底的な安売り戦略。
ポーター的に言えば圧倒的なコストリーダーシップ戦略。

Amazonプライムなんてみれば一目瞭然。
一年間で3900円の料金で映画が見放題。
一年前の公開作品が続々と追加される。
これではレンタルビデオのビジネスモデルが成り立つわけはない。
電子書籍も同様。
宅配の必要がない分、コンテンツを揃えれば圧倒的な競争優位に立つ。
そして、アマゾンエコーやアマゾンゴーの存在。
ビックデータを基に世界を牛耳ってしまう。

ソフトバンクとヤフー、イオンの3社が共同でインターネット通販事業を始めると
昨日のニュースで流れていたが、本当に対抗できるのだろうか。
もう少し早ければ市場を取ることはできたと思うが、
今の状況の中で強敵な存在としてなり得るのだろうか。
日本企業として応援したいと思いつつも、
自らの行動を変えることができるかは何とも言えない。
Amazonはその先を行っているようにも思えてくる。

ベゾス氏が常に口にしているのは
「顧客第一主義」「超長期思考」「イノベーションへの情熱」という3つのバリュー。
生半可なこだわりではなく、その徹底ぶりをみるとちょっと恐ろしくもなったり。
カスタマーエクスペリエンスという耳障りのいい言葉に振り回されないようにしないと・・・。
すでに手遅れかもしれないけど(笑)。

本書でアリババの脅威を初めて知った。
Amazonとは全く違う戦略で中国全土を制覇している。
こんなに力がある企業とは知らなかった。
無知は罪ですね・・・。

マーケティングの知識はある程度持っていたつもりだが、
4CとかP2Pとか新しい概念に追いついていなかったり・・・。
こういった書籍を読むと自分の頭の古さを痛感してしまう。
気をつけないと・・・。

それでも電子書籍ばかりに頼ることなく、
紙の質感や匂いを忘れない感性も持っていたい。

映画「息もできない」

公開されたのは今から10年前。
ずっと気になる作品だったが観る機会がなかった。
TSUTAYAに行っても本数が少なく貸出中ばっかりだったし・・・。
今回、Amazonプライムに加わりようやく観ることができた。
やっぱりAmazonの回し者?(笑)。

これは当時の韓国の社会を描いているのか、
万国共通の家庭間の闇なのか、それは分からない。
平凡な生活を送る者としては避けて通りたい世界の話である。

本作は冒頭からグイグイ引き込まれ、
体も心もグダグタになったところで映画は終わる。
本作の紹介によっては純愛ストーリーとあるが、そう捉えるのは結構酷だ。
確かにその要素は多い。
2人だけのシーンはその要素はあるし、言葉にならない言葉に愛を感じるのは事実。
当然、キスシーンもなければ、手をつなぐシーンもない。
あくまでも暴言を吐き、その乱暴な言葉から愛情を推測するしかない。

この作品もそうだが、昨年観た「愚行録」でも「ムーンライト」でも
いかに子供の頃の生活環境がその将来に影響を及ぼすか、
生き方を大きく変えてしまうか、共通するところ。
健全な環境でないと健全な育て方はできない。

この暴力的な主人公も被害者であり、実際、それは自分自身も理解しているが、
自分ではどうすこともできず、暴力に頼るしかない。
それがとてもせつなく、観る者を動揺させる。
それが映画の最大の魅力だ。

僕は韓国映画に詳しくない。
今まで観た映画は暗い作品ばかり。
それが特徴なのか?。

本作は主役のヤン・イクチュンが監督も手掛ける。
こんな野蛮な顔をした役者が、こんな繊細な映画を作ることができるのか。
それだけでも観る価値はある。
それ以外にも観る価値もあると思うが、それは一体なんだろうか・・・。
観ていない方は、ぜひ、確かめてもらいたい。

君たちはどう生きるか

ただのミーハーなのかもしれない。
最近、僕の周りでもこのマンガを読んだ方が多く、
いい評判も聞くので、つい手に取ってしまった。
それも電子書籍で・・・。

年末にアマゾンでタブレット「Fire HD」を購入した。
今年はkindleをメインに読書をしようと考えていたのだ。
しかし、なかなか体が反応しない。

まずはお手軽さを求め、本書のkindle版からスタートすることに。
さすがに電車に乗りながらこのマンガを手に読んでいるのは恥ずかしい。
それがタブレットを持ち、難しい顔をしながら読むとなんだかいい感じ。
結構、浅はかな行動だが、そんなふうにしてこのマンガを読み終えた。

大人が読んでも感動するし、初心に返ることができる。
コペルくんとおじさんとの手紙のやりとりをこちらにググッと迫ってくる。
恥ずかしながら話題になるまで僕はこの書籍の存在を知らなかった。

もし、小学生や中学生の時に読んでいたら、
ほんの少しだけ視線が上に向いていたのかもしれない。
今となってはどうにもならないことだけど・・・。
どんなに時代が変わっても伝えることは伝えなきゃいけないし、
守らなければならないことは守らないといけない。

ちょうど読み終えたタイミングでTV番組「サンデーモーニング」を観ていると特集を組んでいた。
たまたま高1の息子も一緒に観ていたので、本書を勧めてみた。
普段なら面倒くさそうな態度を示すだけだが、なぜか今回は食いついてきた。
kindle版に興味を示したこともあるだろうが、なんと読み始めた。
親の穿った見方かもしれないが、自分の将来に期待と不安を抱き、
このマンガの存在に響いたのかもしれない。

読み終えた後に感想を求めても「別に」とか「まあまあ」としか答えないだろう。
それでいいと思う。
自分の頭で何かを考える機会があればいいし、そのきっかけが少しでもできればいい。

僕はこれまでマンガはほとんど読んでこなかった。
しかし、昨年から「三国志」を読み始めたことで、マンガでも学べることが理解できてきた。
このタブレットで歴史ものあたりを読むのはいい息抜きかも。
気づいた時にタブレットの中はマンガばかりの可能性もあるけど・・・。
気をつけながらタブレットにも向かっていこう。

モチベーション革命

随分と本棚に寝かせていたが、ようやく読み終えることができた(笑)。
読了後、
「なるほど~!」と感心したと同時に、
「これは講演ネタとしても使えるな。ヒヒヒ・・・」
と越後屋のような笑みを浮かべてしまった。

それは何か。
最近、ありがたいことに新卒採用の手法について講演依頼を頂くことが多い。
その際に今どきの若者像について話をするのだが、
ここ最近は「つくし世代」の話をするケースが多かった。

本書を読んで、その今どきの若者像を明確に表しており、
それを紹介することで若者の気質をはっきりと認識させることができると感じたのだ。
凄く的を得たいい表現だと思う。

本書では今の若い世代をこう表現している。

「乾けない世代」

僕のようなバブル世代を含め、上や下の世代も物欲が旺盛な「乾いている世代」。
常に何かを渇望している。
それが今の若者は違う。
生まれた時から必要なものは何でも揃っていて、物や地位を欲して頑張ることはないという。
埋めるべき空白がそもそもないと言うのだ。

だから、頑張らせるためには明確な目的が必要になる。
著者は「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」だと言っている。
詳しくは本書を読んでもらえれば理解できるが、
昨今の若者とあてはめると十分納得できる面が多い。

僕の学生時代はバイト代で、車を買い女の子を乗せ、ちょっとお洒落なお店にいく。
それが稼ぐ目的だった。
それをガムシャラにやっていた。
仲間と競っていたような面もある。

しかし、今はそうではない。
車はなくてもいいし、あっても軽自動車で十分。
お店もサイゼリアでOKという。
「そんなオトコでどうする!ダメじゃないか!!」
と憤るのは既に古い世代。
そういった価値観を持つ若者をうまく活用する企業が今後成長していくと考えられるのだ。

僕は偉そうにそんな実態をいろんな場で話すわけだが、
すべて理解しているかと言えばそうではない。
自らがその価値観とせめぎ合っている状態。
分かりやすく言えば、頭では理解しているが、体は拒否反応を示している状態。
それでは自分がイケていないので、無理矢理、体をこっちに向けようとしている。
そんな感じだ。
ある意味、自分がそれだけ年を取ってきたわけ。

高校生の息子は気付いた時にはスマホを当たり前のように触っているわけだから、
固定電話が掛かってきてもレアなケースとしか思っていない。
平凡な日常は20年前と大きく様変わりしている。
毎日1ミリずつの変化で気づかないだけだ。

それを相手に求めるだけでなく、いかに自分自身が向き合えるかが重要だろう。
本書でも「VUCA」の時代に突入したと・・・。

今どきの若いヤツは・・・と思っている方は読むべき1冊である。

映画「嘘を愛する女」

いい意味で裏切られた映画。
僕が想像していた展開とは異なり、結果的にそれがよかった。
予告編にうまく騙された。

ネタバレになるので多くは語らないが、とてもステキな恋愛映画。
今年に入って何故か恋愛ものばかり観ているな。
ロマンチックを求める年頃なのだろうか(笑)。

先日観た「勝手にふるえてろ」を松岡茉優100%の映画と書いたが、
本作は長澤まさみ100%の映画。
全てが彼女中心に回っている。
最初から最後までずっとだ。

決して可愛らしいヒロインではない。
キャリアウーマンだが自分勝手で自己中心的。
人を傷つける言葉を平気で言う。
申し訳ないと思っても素直に謝らない。
酔ってくだを巻く。
美人じゃなければかなり嫌われる存在だろう。

そんな書き方をすると長澤ファンを敵に回してしまいそうだが、そうではない。
そんな役柄だからこそ彼女の魅力が高まるし、味方にもなりたくなる。
その純粋な気持ちを応援したくなるのだ。
ラストシーンに近い長回しはその象徴。
あれでやれらてしまった男性諸氏は多いだろう。

といっても、この作品が公開されて今日で2日目。
僕は初日の朝一番の上映で観たのだから、
試写を除けば日本でこの映画を最も早く観た一人。
お客さんは数人しかいなかったし・・・。

この素敵なブログのおかげで観客動員がグーンと伸びる匂いがする。
そろそろ東宝さんからお礼を言われてもいいと思うが、
残念ながらそんな予感はしない(笑)。

本作には時々マジンガーZが登場する。
映画を観ながら、
「東宝は上手いな。映画マジンガーZへ誘導しているな・・・。」とニタニタしていた。
こんな宣伝手法もあるのかと・・・。
しかし、それはどうやら偶然。
映画マジンガーZの配給会社は東映さんだった。
深読みも禁物(笑)。

そして、相手役は最近やたらと出演している高橋一生氏。
僕が彼の存在を知ったのは大河ドラマ「軍師 官兵衛」。
官兵衛の家臣九郎右衛門を演じていた。
家臣の中では知的でクール。
はまり役だった。
僕が思うには彼が多くの番組に出るようになったのはここからじゃないだろうか?
えっ、周知の事実?
今回の役もいいが、一番似合っているのはあんなちょっと冷めた役柄だと思う。

先日、2017年のキネマ旬報年間ベストテンが発表された。
日本映画のベストテンのうち僕が観たのはたったの3本。
これでは映画コラムニストとして失格である。
最低2/3は観ておきたい。
となると今年は日本映画を観るペースをもっと上げなければならない。

これも大事な仕事。
もっと頑張らねば・・・。
違うか(笑)。

悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?

何ともブラックなタイトルである。
著者の曽和さんは『就活「後ろ倒し」の衝撃』をきっかけに知り、
その後、お会いする機会を頂いた。
講演ネタでも使用させてもらった(笑)。

本書も含め過激なタイトルの書籍が多いので、
人物的にも毒舌を吐く方かと思っていたが、実際は温和で紳士的。
採用に対する考え方も理に適った説得ある話をされる。
インパクトあるタイトルで人物が誤解されることはないだろうが、
あえて話題性を作るための戦略なんだろう。

こんな表現をすると自分がいかにもできる人間みたいで恥ずかしいが、
本書には僕が普段、思っていることがズバズバと書かれている。
僕は気が弱い人間だし、炎上もさせたくないので、
オブラートに包んだ表現で誤魔化しているが、
実際はここに書かれていることに大いに賛同する。
まあ、会社を守る立場としてはあまり敵を作るのはよろしくないので、
気は弱くなくてはならないのだ(笑)。

ただ社内を見渡せば、いい意味で同じ解釈が浸透している。
パワハラ発言なんて日常茶飯事なような気もするが、
(ウソです)
それを受け止めるメンタリティは各自が持ち合わせている。
「良いダメ出し」も「はっきりストレートに話す」こともうちの文化だとも思う。
それが健全性を生み、逆にギスギスした関係性はなくなる。
それは「悪人」を各々が理解し、自らも少なからず「利他的な悪人」として存在しているからこそ。
まだまだ「部下の相談をスルーする」厳しさは持ち合わせていないので、
真の悪人にはなりきれていない。
だから離職率も低いのだろう。

本書は逆説的に表現されていることが多い。
しかし、そこに愛を感じるし、組織の全う性も感じるので嫌悪感は一切感じない。
表向きに美しい制度や職場を作るだけでなく、
本音でぶつかり合う環境がいい職場になっていくはず。
本書を読んで、自分の考え方に自信を持ったのと同時に未熟な点にも気づかされた。

帯にあるようなハゲちゃびん社長になるつもりはないが、
もっともっと「利他的な悪人」になるべきかもしれない。

おススメの一冊である。