年末は話題作の公開が多い。
日本映画だけでも「ラーゲリより愛を込めて」「TFE FIRST SLAM DUNK」
「Dr. コトー診療所」等、大ヒットを予感させる作品は数々。
普段あまり映画を観ない友人もこのあたりの感想をアップしたり・・・。

もちろんこのあたりも観たいが、優先してしまうのは本作のような地味で小粒な映画。
どうしても体が先に反応してしまう。
結果、話題作より先にこちらを鑑賞。
上映期間が短い分、早く観なきゃという危機感もあるが、内容的にも惹かれたし・・・。

本作は実話をベースに作られたフィクション。
描かれるのはまさにコロナ禍の今の時代。
聴覚障害で両耳とも聞こえないボクサー ケイコを岸井ゆきのが演じる。

まずここは讃えておこう。
岸井ゆきのが素晴らしい。
柴咲コウと並んで、いや、それ以上、今年、最も映画界で活躍した女優。

今年公開された作品は5本。
僕が観たのは「大河への道」「神は見返りを求める」
「神は見返りを求める」は主人公に翻弄されるYouTuberを見事に演じていた。
それを上回るのが本作。

鍛え抜いたであろうボクシング、
闘う時の感情むき出しの表情、
葛藤しながらも真っすぐ生きようとする姿勢、
見事にケイコに当てはまる。
こちらは彼女の一挙手一投足に簡単に引き込まれる。

それは巧みな演出があってのこと。
セピア基調で綴る16mmフィルム。
ケイコが耳が聞こえないからこそ敏感に感じる息づかいや空気の音、周辺の雑音。
手話での会話の際に映し出される字幕。

何気ないケイコの行動がいい緊張感を生み出す。
それを支えるジムの会長、コーチ、家族の存在の距離感もいい。
甘やかすわけでもなければ、変な同情もないが、愛は十分に感じる。
一人の人間として向き合う。

それを象徴するかのような三浦友和演じる会長のインタビュー。
このセリフは秀逸だった。
そこは映画で確認いただきたい。

改めて日本映画の良さを感じた一本。
これだけ可愛くない岸井ゆきのが愛しく思えるのも不思議(笑)。
こちらもおススメ。