今年5本目の韓国映画。
その中では一番爽やかで気持ちがいい作品。
本作も韓国ならではの歪んだ事情はあるものの、今までのような辛辣さはない。
これまでも面白い作品は多いが、どこか国を皮肉る要素があったりと。

僕はこの年齢になり青春映画はほぼ観ないし、共感度も薄くなってきた。
しかし、本作における男女間の友情は素直に受け入れ感情も持っていかれた。
舞台が日本でもいいと思うが、それだと違和感を感じてしまうのかもしれない。
バイアスが掛かっているのかな。
先月の韓国旅行したこともプラスに作用。
知っている街並みが登場するわけではないが身近に感じた。

本作は自由奔放でエネルギッシュな女子ジェヒと
ゲイであることを隠す寡黙な男子フンスの大学時代から社会人までを描く。
日本以上に韓国は男女格差があるのは映画からも容易に想像できる。
ジェンダーに対しての意識も同様。
日本もまだまだだが、韓国はより生きづらさを感じるのだろう。

そんな環境下で自分をストレートに押し出すジェヒとコンプレックスを抱えるフンス。
対照的な2人が生活を共にし友情を分かち合うことで恋愛とは異なる愛情が芽生える。
お互いにとってかけがえのないこと。

一見理解しがたい関係だが、なぜか観る側も不思議に思わない。
2人の個性と発する言葉に共感する。
否定する人もいるだろうが、本作においては少数派。
素直に応援したくなる。

学生生活は贅沢すぎるし、酒の飲み方も尋常じゃないが許してしまう。
やっぱりいつもチャミスルを飲んでいるわけね。
若者の不満を上手く発散させていた。

主役ジェヒを演じるのはキム・ゴウン。
正直な感想としてイマドキの韓国女優と比較すると可愛くない。
予告編や映画の途中までそう感じていた。
しかし、ストーリーが進み、彼女が大笑いし泣きわめきにつれ魅力的になる。
最後はとてつもなく愛らしく可愛らしい女性。
こんな青春映画なら60歳手前のオッサンでも楽しむことができる。

ただ、個人的な不満としてひとつ。
最後のフンスのシーンは必要だろうか。
トーンが変わったと感じてしまった。
感動的なシーンと捉える人もいるだろうけど。

昨年の「パスト ライブス 再会」は大人の恋愛映画だったが、本作はちょい大人の青春映画。
たまにはそんな作品もいい。