畳み掛ける展開で面白く観ることができた。
映画が終わって、しばらくして思った。
スズキタゴサクって、一体何者?
頭脳犯なのか、愉快犯なのか、道連れなのか、都合のいい存在なのか、
結局、解明できないまま終わった。
もしかしらそれが最後のセリフに繋がっていたりして・・・。
本作は予告編を何度となく観た。
個人的には予告編は失敗だと思う。
本編の魅力を消している気がしてならない。
予告編ではスズキタゴサク演じる佐藤二朗は間抜けに思えるし、
刑事・類家役の山田裕貴も傲慢にしか思えない。
スルーしようと感じさせる予告編。
しかし、レビューや友人の評判が予想以上に良く観ることにした。
周りの評価は裏切らない。
期待に沿う作品であった。
あれだけ次から次へと事件が起きれば盛り上がらないわけはない。
映画を面白くしようとすれば、ド派手な事件が数多く起き、
多くの人が泣いたり嘆いたりすればいい。
大きな刺激を与えることになる。
それだけ作品は成功。
サイコパス的なタゴサクと賢すぎて嫌味な類家の絡みだけでも堪能できる。
敢えて取調室は暗い。
ついでに刑事らが仕事をするオフィス?も暗い。
普通、あんなに暗くはない。
それが却って事件の重さを生み、しどろもどろになる人間を描く。
大爆破を描くシーンもありながら、密室劇で全体を通すのが肝。
一つ一つのセリフが持つ意味を徐々に考えさせる優れた演出も魅力。
2人の駆け引きが想像力を働かせ、現実と非現実の合間を彷徨う。
みんな、まんまとやられてしまうわけね。
本筋とは関係ないと思えた加藤雅也(役柄は長谷部有孔)が肝心だったり・・・。
あんな性癖もなくはないんだろう。
ネタバレになっているようでなっていないよね。
一見、ストーリーと関係ないように思えるが本作は組織論の在り方も匂わせる。
野方署の上司・鶴久(正名僕蔵)と部下・等々力(染谷将太)の関係性と
警視庁の上司・清宮(渡部篤郎)と部下・類家(山田裕貴)の関係性。
方や自分の過ちを認めず一方的に部下に命令する。
方や自分の力量を認め、高い能力の部下に任せる。
今の時代、自ずと結果ははっきりする。
裏テーマというつもりもないが旧態依然とした組織が晒される実態を知れた。
誰も感じていない?(笑)
そんな感じで本作はいろんな角度から楽しませてくれる。
楽しさを爆発させちゃいけないけどね。


