原題は『Absolution』。
日本語に訳せば「赦し」や「罪の許し」といった意味になる。
映画の内容を考えれば、明らかに原題の方がニュアンス的にしっくりくる。
なぜ配給会社は「ハードボイルド」なんて大雑把なタイトルをつけてしまったのだろうか。
宣伝の都合かもしれないが、少し首をかしげたくなる。
「ハードボイルド」と聞くと、どこか硬派でストイックなイメージを抱く。
最近のアメリカ映画ではあまり聞かなくなったが、
昔ならハンフリー・ボガートの主演作や「ダーティハリー」
「チャイナタウン」といった70年代の作品でよく語られていたジャンル。
寡黙でタフな男が言い寄ってくる魅力的な女性にも目をくれず、
自らの信念とその道だけを進んでいく。
かつての映画はそんな男の生き様を指していたと思う。
20代の頃は僕もそんな男を目指していた。
違うか(笑)。
そう考えると、本作はどうだろうか。
主演のリーアム・ニーソンが演じるのは半分痴呆症になりかけた老ギャング。
作中では普通に女性にうつつを抜かすし、自らの弱さや老いを隠すことなくさらけ出していく。
だが、これこそが真のハードボイルドなのかもしれない。
あるいは、現代における「イマドキのハードボイルド」の形なのかもしれない。
格好良いばかりが男の美学ではないということだ。
そういえば、3年前に観た「MEMORY メモリー」でも、
リーアム・ニーソンはアルツハイマー病に侵された老いぼれ殺し屋を演じていた。
こういう記憶が途切れがちな男の哀愁を演じるのが、
すっかり彼の得意分野になっている気がする。
他の作品を知らないだけだけど。
正直に言えば、これから先長く記憶に残り続けるような大作ではないと思う。
年末の映画ベストテンなんかに選ばれることもきっとないだろう。
それでも、観終わったあとに「手元にひっそりと置いておきたいな」と思わせてくれる。
どこか捨てがたい魅力を持った作品だった。


