いかん、いかん、秋の夜長。
ついAmazonプライムをチェックすると気になる映画が・・・。
外には忙しい、忙しいとほざいているくせに、
映画を観る時間はあるんだと呆れられてしまう。
いかん、Amazonプライム地獄に堕ちていきそう。
まるでこの映画の主役宮沢りえさんのように・・・。

この作品は前回書いた「百円の恋」と同じ年に公開された映画。
今思うと2014年は日本映画の秀作が多かった年かもしれない。
宮沢りえさんと言えば少し前に観た「湯を沸かすほどの熱い愛」の演技で
ホロホロになるくらい感動したが、本作の演技も負けず劣らず。
役柄は180度異なる。
強くて正しい日本のお母さんと日本一愚かな奥さんを演じ分けている。
両方とも魅力に感じるから不思議な話だ。

話題になった映画なのでご覧になった方も多いだろうし、
今更ネタバレもないと思うので、感じたことを感じたままに書いてみたい。

簡単に言えば銀行の顧客のお金を横領した女子行員が
若い男に貢ぎ使い込んだというとんでもない話。
素直に共感することはない。

明らかに犯罪でその心理描写や駆け引きはゾクッとするのだが、
弱い人間がしでかすこと。
映画途中までは「熔ける」的なスパイラルが人間を貶めていくと感じていたが、
ラストを迎えるのあたり印象が大きく変わっていった。

主人公は最終的には何ら罪の意識はなく楽しんでいたのではないか。
銀行のガラスを割り逃げだす宮沢りえの表情は満足に満ちているように見える。
捉え方は様々だが、罪悪感は一瞬のものでしかなく、
根源的に抱く感情は、後ろめたさと対極になるのではないかと思ってしまう。

その点では「熔ける」とは大きく違う。
寂しさなんてほんのキッカケでしかなく、
それがいいタイミングで訪れただけのこと。
一般的には人の寂しさや孤独が事件を起こす理由になるとは思うが、
これは偶然の事故。
そんなふうに思えてならない。

それを感じさせる恐ろしい映画だった。