結構、評価が高いので観ることにした。
同様に評価の高い「夜明けのすべて」とは真反対の作品。

片方は日常で、片方は非日常。
僕にはそう映った。
どちらに感動するかは観る人によるが、感動させやすいのは非日常。
あり得ない世界の方が人の心は動かしやすい。

畳みかける展開が痛みや驚きや喜びを生み、心を動かす。
最終的に感動を呼び込む。
そんな点で本作は成功だろう。

物語は相当、辛い。
今も過去も虐待が一貫している。
そんな時に必要ないだろう暴力も。
それが映画を引っ張るのだから、日常を描く「夜明けのすべて」とは大きく異なる。
どちらが好みかは大きく分かれそう。

2021年本屋大賞を受賞したベストセラー小説の映画化。
ストーリーの面白さは映画でもそれを反映している。
のめり込んで鑑賞できる作品であるのは間違いない。

監督は成島出氏。
こんなテーマの作品は得意領域。
僕は特にファンではないが、ここ数年の作品はすべて観ている。

2020年の「グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇」
2021年の「いのちの停車場」
2023年の「ファミリア」「銀河鉄道の父」
こうして作品を並べてみると監督のカラーが理解できる。
日本映画界で安定度抜群の監督。

主演は杉咲花。
何もいうことはない。
「市子」でも凄かったが本作も見事。
らしさが伝わってきた。

僕が驚いたのが志尊淳。
ちょっとかわいい男優くらいに思っていたが、そうじゃなかった。
本作における役どころは神秘性や抱える闇、それを超える優しさを含め素晴らしかった。
難しい葛藤を演じていた。

タイトルである「52ヘルツのクジラたち」は何度となく象徴するシーンで腑に落ちる。
目にしたクジラはどうなんだと思ったり(笑)。
いい演出なんだよね・・・。

正直な感想でいえば、こんなテーマの作品はそろそろ終わっていいんじゃないかと思う。
それは日本映画に限らず外国映画も。
しかし、見渡せば同様のテーマは絶えることがない。

悲しいかな、どの時代でもついて回る。
その度ごとに子供を不幸にするのは親だと悲しくなる。
啓蒙活動として必要なら大いに受け入れるが。

ハッピーエンドだが、こんな世界はあってはならない。
そんなことを感じた作品だった。