毎年秋になると小粒だが愛おしく思える日本映画が公開される。
昨年なら「ふつうの子ども」、一昨年なら「ぼくが生きてる、ふたつの世界」。
そして今年は本作。
秋はこんな日本映画が多く本当に観るのに困る。

本作は、3人の「さとこ」を巡る物語。
ポスターを見ると、いかにもこの3人が絡み合いそうな印象を受けるが、
実際はほぼそうじゃない。
「ほぼそうじゃない」というのは、見方によっては「そうだ」とも言える。
このあたりの詳細はネタバレになるので止めておこう。

物語に登場するのは、3人の「さとこ」。
中学3年生で鼻炎持ちである中井聡子。
35歳で映画配給会社に勤める西田沙都子。
そして、子育てがひと段落した55歳の飯島里子。
映画はこの3人の日常がオムニバスのように並行して進んでいく。
それぞれの置かれた状況や立場が、やたらと面白い。
初恋であったり、不倫であったり、子供のころからの夢であったり。

中でも際立って素晴らしいのが姫野花春演じる中3の聡子。
35歳の沙都子を有村架純が、55歳の里子を石田ひかりが演じており、
大御所ふたりの存在感も流石だが、この映画の中心は間違いなく15歳の彼女。

姫野花春は決して「とびきりの美人」というわけではない。
どちらかと言えばどこにでもいそうな普通の少女。
王道のアイドル路線を歩んできた先輩女優ふたりとは趣が異なるが、
スクリーンで放つ存在感に強く魅了されてしまった。

一見するとバラバラに見えるこの3人には、実は共通の目的がある。
互いに意識しないまま、知らず知らずのうちに「キッカケ」を与え合っている姿も愛おしい。
それが巡り巡って、最終的にポスターに繋がっていくのだが、
そこに至るまでの展開には何度もクスリと笑わせられた。

観終わったあと、胸の奥がなんだかとても温かい気持ちで満たされた。
「僕ももっと、自分自身のことを自分の言葉で書いてみようか」
なんてちょっとした意欲すら湧いてくる。

やはり、秋に公開される日本映画には愛すべき秀作が多い。