あまり期待せずに映画館へ足を運んだ。
しかし、スクリーンを観ながら予想以上のショックを受けた。
あまり良い例えではないが、昨年観た『サブスタンス』の男性版といった感じ。

ちなみに『サブスタンス』は、僕が昨年のベストテン1位にした作品。
肉体的なグロさと、追い詰められて変貌していく人間の機微を絶妙に描いている点において、
このふたつは共通していると思う。

映画の舞台となるのは架空の街、ゴッサム・シティ。
「バットマンシリーズ」や「ジョーカー」でお馴染みの街なので、
あの独特のダークな世界観をイメージする人も多いはず。

確かに似ている面は多い。
人間の心の闇やひとりの人間が壊れていく姿はそのまま通じている。
僕の勝手な想像で言えば、いずれジョーカーとの直接対決があるかもしれない。
なんて期待してしまうが、さすがにそれはないか(笑)。

簡単に解説すると、人気絶頂だったハリウッドスターが事故か事件に巻き込まれ、
自慢の美しい顔が傷だらけになって地位も名誉も奪われてしまう。
元の顔を取り戻したい一心で禁断の治療に手を出したことから、
やがて巨大な復讐劇へと発展していく物語。
その後の彼の行動が、半端ではない緊張感でこちらに迫ってくる。

ホラー映画と呼べなくはないが、僕はあえて否定したい。
確かに目を覆いたくなるような残虐なシーンはある。
僕自身、館内で思わず声が出たり、体がビクッと動いたのも事実だ。
それでも本作が描いているのは、あくまで人間の本質。
そのあたりも「ジョーカー」と重なるのかもしれない。

似たような題材を扱った作品は他にあるだろう。
だが、本作にはそれらを凌駕する迫力と新鮮さがあった。

主演のトム・リス・ハリスは全く知らない俳優。
ハリウッドスターを演じるくらいだから確かにいい男。
顔がグニャグニャと崩れて変わり果てていく中でも、
揺れ動く感情を上手く表現していて素晴らしい演技だった。

ハードな描写が多くR15+指定の作品なので、全ての人におススメできる映画ではない。
それでも、観る価値のある一本なのは間違いない。