前回に続きドキュメンタリー作品。
本作はTBSのアナウンサーだった佐古忠彦氏の監督作品。
僕は知らなかったが今は番組制作を中心に活躍されているよう。
描かれるのは沖縄本土復帰後の沖縄県知事を通して映し出す沖縄。
第4代大田昌秀知事と第7代翁長雄志知事の言動を中心に年密な取材を重ねる。
普天間基地移設や辺野古新基地建設のニュースは今も頻繁に流れるが、
僕らは表面的なことしか知らない。
マスコミが流すニュースに疑問を抱くことなく受け入れる。
政府の正論と沖縄県の正論はかみ合うことはない。
お互いの正しさは理解できる。
僕は僕なりの解はあるが、それが正しいとも思わない。
それぞれ反論する意見はあり、自分たちの正しさを主張する。
どちらの立場で判断するかで求めるものは180度異なる。
本作を観て沖縄の主張を素直に受け止める人も、国家批判と捉える人もいるだろう。
あまり偏った解釈は危険だが、自分なりの考えを持つことは大切。
そのためにも本作で沖縄の歴史を学ぶのも重要。
大田知事や翁長知事がどんな想いで当時の総理大臣と対峙したかは、
ニュースだけでは分からないし。
沖縄県の知事が全国の知事で一番難しいんじゃないかと思ってしまう。
全国的な公開ではないので、どこで本作を観ることができるのか。
いえるのは骨太のドキュメンタリーであるということ。
僕は沖縄が好きだ。
昨年も行ったし、今年も行く予定。
一時期は沖縄に移住したいという妄想もあった。
ただ悲しいかなそれは表面的な世界しか見ていない証。
ほんわかとのんびりした雰囲気で人も街も明るい。
オリオンビールも泡盛も美味い。
海もきれい。
そんな場所で暮らすのもいいと思ったが、それは浅はかな旅行者の発想。
現地の人たちが抱える永遠の苦悩を直接聞くわけではない。
むやみやたらに話すことでもないし。
だからこそこんな作品に触れる必要がある。
沖縄好きな人も日本好きな人も両方嫌いな人も観た方がいい。
自分のアイデンティティが問われると思うし。