予告編を何度も見て、正直、救いようのない作品だと感じていた。
瞬間的に身体が拒否反応を示したが、
怖いもの見たさのような感情に抗えず、結局映画館へ足を運んでしまった。
タイトルになっているシャドウワークを直訳すれば「影の仕事」。
観終わってみれば、まさにそのまんまの映画。
ただ、その本当の意味を理解できたのは、すべてのスクリーン映像が消えたあと。
鑑賞前までは、まったく別の意味として捉えていた。
作中で描かれるのは、配偶者や恋人から凄惨なDVを受ける女性たちの姿。
個人的には到底信じられない行為なのだが、ニュースを開けば現実に起きている社会問題。
本作では、それを吉岡里帆と奈緒のダブル主演で真っ向から演じ切っている。
「このふたりに暴力を振るうなんて、オレがそいつを制裁してやる!」と憤った。
もちろん、あくまで映画の中の話ではあるんだけど。
特に吉岡里帆の旦那。
どんな役者かも知らんが、オレはオマエを許さん!
すいません、つい感情的になってしまった。
吉岡里帆の演技の幅広さは以前から感じていたが、
奈緒も最近の出演作でその凄みが増しているひとり。
ここまで可愛さを封印した彼女を初めて見た気がする。
「死ねばいいのに」もそれに近いけど。
刑事である薫役を淡々と演じるのだが、劇中でほぼ笑顔を見せない。
徹底した佇まいに、彼女の並々ならぬ女優魂を感じた。
俳優陣でいえば、薫の夫でエリート警察官を演じた北村匠海も素晴らしかった。
少し前までは「冷めた演技をする役者」くらいの印象しかなかったのだが、
突如として豹変する人間の危うさを見事に演じ分けていた。
物静かな会社員から中途半端なワル、救いようのない若者まで演技の幅が広い。
現在公開中の「しびれ」は多分観ないと思うが、
(すみません・・・)
今後の活躍には大いに期待したい。
本作のジャンルはクライムサスペンス。
同時に、現代社会への批判を込めた社会派ドラマとしても観ることができる。
観終えたあと、これがハッピーエンドなのかどうかは観客に委ねられる。
捉え方によっては、救いようのない世界を描いた作品だともいえるだろう。
それでも僕はかすかな希望を込めて、ハッピーエンドとして受け止めたい。


