本作はカンヌ国際映画祭で上映された際、
スタンディングオベーションを受けたという。
なんとなくその理由がわかる気がした。
カンヌという場所は明確な答えを用意する作品よりも、
「答えがありそうでない作品」が好まれる傾向があるように思う。
(あくまでも持論です・・・)
実際に本作には、これといったわかりやすい答えが存在しない。
観客がそれぞれ置かれた状況や人生経験によって、導き出される解はいくらでも変わる。
そのため観終わったあとにスッキリとせず、どこかモヤモヤとした気持ちを抱く人は多いはず。
それがレビューなどの映画の評価にも反映されているように感じる。
だが、僕はそれでいいと思うのだ。
エンディングロールをぼんやり眺めていて、岡山県に奈義町という町があることを初めて知った。
ナギという架空の町ではなかったのだ。
スクリーンに映し出されていた風景と後で調べた町の写真とほぼ同じ。
ロケに行っているのだから当然か(笑)。
しかし、のどかな田舎の風景こそが、作中の人々を素直で正直にさせている。
そもそも現実の人生において明確な答えがある場合など滅多にない。
多くの場合、答えなんてものは存在せず、
自分が求め選んだものこそが自分にとっての解になるのだから。
深田晃司監督といえば、おだやかな見かけによらず、感情を激しく揺さぶる作品が多い。
僕が好きな「淵に立つ」や「よこがお」も、ヒリヒリとした緊張感が漂う激しい作品。
だが本作は珍しく見かけどおりというか、
ほわっとした柔らかな感覚が作品全体を優しく包み込んでいる。
主演は松たか子となっているが、
実際の感覚としては石橋静河の方が主演といっていいだろう。
それにしても最近の彼女は本当にいい。
デビュー当初、親の七光りと思っていたのは失礼な話。
すみませんでした・・・。
8月に観た「八月の声を運ぶ男」でも脇役ながら魅力的な存在感を放っていたが、
今作でも芯がなさそうでありそうな演技がいい。
多くの人に大きな評価を得るには難しい品かもしれない。
それでも個人的には、ぐっと心に残る映画だった。


