先週の続きとなります。

いい気持ちで飲み、時間に合わせて高山駅に向かいます。
18:46発のワイドビューひだに乗れば21時過ぎには名古屋駅に到着です。
ここまでは計画通り。健全に帰る予定でした。

きれいになった駅も僕たちを温かく見送ってくれます。
ところがです。
改札を抜けようとしたその瞬間、アナウンスが流れます。

「18:26発のワイドビューひだは事故のため、30分ほど到着が遅れます。」
駅員さんに確認すると30分以上となる可能性もあれば、
もっと早く到着する可能性もあるということです。

ここで30分の時間ができたわけです。
軽く酔った頭でどうすべきか考えます。
ご一緒した方がお昼に食べた地元の有名な焼きそばやさんが頭に浮かびます。

「●●さん、30分で戻ってこられますかね?」
「山田さん、大丈夫でしょう~。サクッと行きますか?」
できるビジネスマンは1分1秒を無駄にはしません。
余った30分を有効に使うのみです。

そして、できるビジネスマンはすぐ計算します。
店まで徒歩5分、往復10分、注文して5分、食べるのに10分、合わせて25分。
30分もあれば余裕です。
頭の中で完璧な計算をして、お店に向かいました。

地元の繁盛店「ちとせ」さんに入りました。

店の前ではこの余裕のポーズ。
とはいえ、本人の名誉のため写真はボカします(笑)。

ここから計算が狂い始めます。
お店は繁盛店。お店に入ったのは19時前の食事時。
満席。順番待ちの状態です。
ここで10分の時間を要します。

店内はこんな感じでメニューが並びます。

このレトロ感に感動を覚えつつ、ほんの少し焦りを感じます。
「すいません、ビールと餃子2人前、大盛肉玉子入り焼きそばと中華そばをください。」
看板メニューを瞬間的に注文します。
「え~っと」なんて言ってる時間はありません。
すぐにビールと餃子が運ばれてきました。

餃子 350円×2

「これは美味そうだ。」
と普段とは違うセリフを吐き、乾杯後、餃子を頂きます。
その後が続きません。
焼きそばと中華そばがなかなか出てこないのです。

少し考えれば当たり前の話です。
店内は満席。
オーダーされた料理は多く、順番に提供されます。
できるビジネスマンの表情は徐々に暗くなっていきます。
10分後、「おまちどうさまでした。」
と焼きそばと中華そばが運ばれてきました。

大盛肉玉子入り焼きそば 610円

既に25分が経過しています。
あと5分で焼きそばを食べ、駅まで向かうというあり得ない時間が残されているだけです。

思い出せば、前の炉端焼き屋さんで焼きおにぎりも食べています。
お腹は減っていません。
なんで大盛?
できるビジネスマンの面影はもはやありません。

少し食べたところで「ニシダ、パックをもらえ!」と指示し、焼きそばを詰めます。
時間がないのを理由に持ち帰りにさせてらったのです。
中華そばも中途半端な状態。
お店には大変失礼なことをしました。
慌てて会計をし、店を出て、走って駅に向かいます。

「30分遅れるということは、実際は40分遅れだな。」
と同行者に不安を与えないよう、できそこないのビジネスマンはリーダーシップを発揮します。

駅に到着し、改札を抜けようとした瞬間、電車が発車する音が聞こえてきました。

「あああ~。」

駅員さんは笑顔を振りまいています。
この笑顔にどんな意味があるのでしょうか?

都合のいい計算は全てを台無しにします。
皮算用で経営をしてはいけないよ!と天から声が聞こえています。

この後、名古屋までは鈍行を乗り継いで帰るしか方法はありません。
鈍行に乗りながら、一人反省のカップ酒です。
さるぼぼが笑っています。

横並びの席でお酒を飲むのは結構恥ずかしい行為ですが、
そこは飲まずにいられません。

反省中に眠ってしまいました。
起きた時に電車は止まっていました。
駅に着いたのではなく、鹿とぶつかり止まったようです。
4時間ほどかけ、名古屋に帰ることができました。

飛騨高山の珍道中・・・。

一口食べた中華そばは絶品でした。
ごちそうさまでした。