何度も予告編を観ながら「この映画は観ないな」と自分で決めていた。
予告編がつまらなかったわけではない。
ありふれたラブストーリーと勝手に解釈したのだ。
本作はミリオン座で「我来たり、我見たり、我勝利せり」と同じ時間帯で上映。
当初は「我来たり~」にするつもりだった。
何となくキューブリックの「時計じかけのオレンジ」を思い起こさせた。
しかし、いかにも後味が悪そうなので本作を選択。
まあ、評価が高かったのも理由の一つだけど。
テーマとしては不変。
夫婦愛、家族愛がテーマでそこに最愛の人の死が押し寄せる。
先日の「ただ、愛を選ぶこと」と同じ。
愛する人を失くす辛さを描く。
ただどうだろう。
本作に悲壮感はない。
とても清々しい気持ちになる。
前向きに生きる勇気を与えてくれる。
そんなラブストーリー。
ネタバレしない程度にストーリーを説明しよう。
新進気鋭のシェフであるアルムートと、
離婚して失意の底にいたトビアスが偶然の出会いから物語は始まる。
僕は学生らに偶然の出会いの大切さを教えているが、この2人は交通事故。
アルムートの車にトビアスは轢かれる。
大怪我をしたトビアスと加害者のアルムート。
こんな偶然な出会いはおススメしないが、2人にとっては運命的な出会い。
そこから2人の生活がスタートし、いくつかの災難が襲い掛かる。
感情的なアルムートと冷静なトビアス。
時に激しいバトルもするが、そこさえも心地いい。
こんな状態で一緒に生活できるのならシアワセ。
シェフであるアムルートは世界を目指すが・・・。
といったところか。
解説にはもっとネタバレ的なことは書かれているが、ここで留めるのが大人。
映画でいえば夫役のトビアスかな。
どこかで観たことがある俳優だと思ったら、スパイダーマンだった。
積極的なのか消極的なのか、
恥ずかしがり屋なのか分からないのがむしろいい。
それはフローレンス・ピュー演じるアムルートが真っすぐだから。
迷いはするが自分の信念を貫く。
惹かれる理由でもあるだろう。
僕は初めて知った女優で最初はあまり興味が湧かなかったが、
徐々に魅力的になってきた。
彼女の愛らしくもたくましい生き方に魅了された。
タイトル通りだね。
ストーリーの派手さはないが、
現在と過去を行き来しお互いの関係性を交り合わせるのは巧みな演出。
大切な過去があるから今がある。
そんなことも感じた映画。
誰にとっても好まれるかもね。