観終わった後、怒りと虚しさが混ざり合い、
「一体、何をやってるんだ!」
と心の中で叫ばずにはいられなかった。
もちろん、映画の出演者や作品にクレームをつけているわけではない。
こんな理不尽な悲劇を起こした国家の責任者に激しい怒りが込み上げただけのこと。
本作は2024年1月、パレスチナのガザ地区で実際に起きた事件を描いた作品。
たった2年前に起きた現実。
日々のニュースで惨状を目にはしていたものの、
スクリーンを通して「事実」として突きつけられると、
悲しみを通り越して怒りに変わる。
演出された映画であるのは間違いないが、
実際に使われるのは助けを求めて通報してきたヒンド・ラジャブという少女の生の声。
本物の肉声を映画に使用するのは、作り手にとっても勇気のいる行為だと思う。
しかし、この出来事をリアルを伝えるには、これ以上の方法はなかったのだろう。
本作には戦争映画によくあるような惨劇のシーンは登場しない。
物語のほとんどは通報を受ける緊急コールセンターでの電話や会話だけで進行。
にもかかわらず、戦争がもたらす悲劇をその会話から伝えてくる。
僕たちは幼いヒンド・ラジャブが必死に助けを求める声と、
その奥から聞こえる爆音や銃撃音から、現場の恐怖を想像するしかない。
その「想像させられる」時間が観る者の心を追い詰めていく。
この手の作品を観るたびに痛感させられるのは、
戦争の犠牲になるのはいつだって何の罪もない子供や親、
そして一般の市民たちだということ
その理不尽な現実を突きつけられるたびに、
「一体、何をやってるんだ!」と思わずにはいられない。
本作はブラッド・ピットやホアキン・フェニックスといった、
そうそうたる映画人たちが製作陣に名を連ねている。
彼らもきっと同じ憤りと問題意識を持ち、作品を世界に送り出したのだろう。
世の中からこんな作品がなくなることを願いたい。
そのためには今はこんな作品は必要。
矛盾しているように聞こえるかもしれないが、そう。
だからこそ今、観るべき一本といえる。


