これからも前向きに 名大社会長ブログ

「就職氷河期世代論」のウソ

この業界に入り、すでに36年目を迎える。
入社当時はバブル経済のド真ん中で売り手市場。
名大社がイベント事業に力を入れ、伸び始めた時期。
時代背景が大きく影響し波に乗ることができた。

僕は右も左も分からないハナタレ営業だったが、それなりに契約を頂くことができた。
入社4年目で新卒イベントの売上が全営業中2位というのは今でも記憶にある。

バブルが崩壊し採用市場も悪化。
東海地区の影響は少なかったとはいえダメージを受けた。
目の前は調子こいて就活する学生から必死に就職先を探す学生へと移っていった。
少し回復し、また下がる。
就職環境は1990年代半ばから2000年代前半にかけて小さな変化を繰り返した。

僕がサポートしていたのは東海地区の中小企業がほとんど。
就職氷河期といわれる時代でも決して人材採用はラクではなかった。
確かに大手企業を目指す学生は苦戦したが、角度を変えれば就職先に悩むことは少なかった。
しかし、それは本人にとっては不本意ということ。

いい時代であれば大手に入社でき、悪い時代だから中小にしか入れない。
言い分も分からなくもないが、僕の立場からすれば寂しいことであり腹立たしいこと。
中小企業を下に見ているようにしか思えない。

実際、僕は中小企業の経営者の立場でもある。
誇りをもって仕事をしているし、働く社員も誇りである。
否定されるのは許しがたい。
就職氷河期で苦労した世代が全てというつもりはないが、時代のせいにするのは違和感を覚える。
中小企業で活躍すればいいし、スキルを積めば大手企業へ転職もできる。

本書はいつもの海老原さんの著書に比べデータが多い。
個人的には海老原さんのモノの見方が好きだが、データが説得力を示してくれる。
今、この時代になっても同じ議論が繰り返される違和感は僕も同じ。

国の支援事業の協力を依頼されることもあるが、計画段階から疑問視することも多い。
まず上手くいかない。
実際、結果を見ても効果が得られるケースは少ない。
実施することが目的ではないかと思ったり・・・。

名大社の主催する転職フェアにはいろんな方が参加する。
氷河期の方もそうでない方も。
結果はそれぞれで世代に偏ることはない。
そんな経験からも本書には共感。

低レベルな僕では具体的な提案はできないが、著者の提案は新しい方法ではないだろうか。
メディア業界の視点、リスキリングのムダ、女性の結婚観の変化も面白かった。
このあたりは大学の授業で紹介しても響くだろう。

今回も勉強させてもらいました。
1回読んだだけではデータは把握しきれないけどね(笑)。

万博は行くことに意味がある

9月某日、大阪・関西万博に行ってきた。
開幕当初、さほど興味も沸かず行く予定はなかった。
周りの評判を聞くようになり、少し興味を持ち始めた。
ただ自分だけなら行くことはない。
家人が気持ちが大きく動き、7月に入り行くことを決めた。

7月、8月は暑い。
10月は閉幕ギリギリで大混雑の予測。
予定のない9月の日程を押さえた。
すでに2ヶ月前を切っており、最初のパビリオン予約は申し込みできず。
「7日前抽選」も「空き枠先着予約」も全く引っ掛からず。

何もない状態で当日を迎えた。
朝9時に予約をしていたが、21時からのドローンショーを見たいという。
さすがに12時間場内いるのは厳しい。
午後の時間帯に向かうことにした。

夢洲駅はかなりの人だったが、入場はスムーズ。
待ち時間はほとんどなく入場できた。

「やはり平日は空いているか」と一瞬期待したが、とんでもない。
会場内は人、人、人。
歩くのさえ困難な状態。

まずは北欧館へ。

比較的空いているパビリオンで40分程度の待ち時間。
空いている理由もよく分かった。

そこから場内を周遊。
大屋根リングからの眺めもいい。

それにしても人が多い。
どこのパビリオンも90分程度の待ち時間。
生ビールでのどを潤す。

東ゲートから西ゲートへ向かう。
ガンダムやミャクミャクくんを撮影。

これが万博に来た証。
オフィシャルストアに行きたいというので列に並ぶ。
お土産屋さんに入るだけで50分待つ。
トホホ・・・の世界。
ここじゃなくても新大阪駅で買えたかもしれない(汗)。

すでに太陽が沈む頃。

夕方、涼しくなってこともあり大屋根リングを歩くのは気持ちよかった。
しばらく芝生の上のまったりと過ごす。

これで万博を堪能したとしよう。
クウエート館が早く入館できる割に楽しめるというウワサ。
なんてことはない。
長蛇の列。
すでに受付も終了。

仕方ないので隣の中国館に並ぶ。

2時間待ちだというが、もうあれこれ言っている場合でもない。
結果的に2時間は待たなかったが、立ちっ放しの時間を過ごす。

中国館は迫力ある見世物。
宣伝要素は強かったが楽しむことはできた。
外に出ると20時前。

ドローンショーまで1時間。
さて、どうするか。
疲れもピーク。
あと怖いのは帰りの混雑ぶり。
地下鉄はとんでもないことになりそう。
待つ気力も体力も失くし会場を出ることに。

大屋根リングにサヨナラして駅に向かう。
中途半端な時間でも凄い人。

ドローンショーを諦めたのは正解だったか・・・。
ヘトヘトでホテルに戻り、近くのイタリアンで食事。
生ビールが最高に美味しかった。

この日は約2万歩歩いたことに。

更に立っている時間が長いので疲労は増す。
僕はまだ走っているからいいが、家人は相当キツかったのではないか。
ホテルに戻ると瞬間で寝てしまった。

まあ、これもいい思い出。
万博に行ったことに意味があるんだ。
と自分に言い聞かしながら、当日を振り返った。

自分に買ったお土産はこれだけ。

これから万博に行く人はどんな状態だろうか。
想像しない方がいいかもね。

もっと計画的に行動しないと。
そこは素直に反省。
お疲れ様でした。

食べ物のはなし 番外編 珉珉

10月に入りました。
どうやら名大社でも今日は内定式です。
僕自身は内定学生と初めて会うので楽しみな一日になりそうです。
新しい仲間が増えるのはどんな時でも嬉しいですね。

瞬間的に伏見を離れます。
向かったのは大阪。
今年の大阪といえばEXPO 2025 大阪・関西万博。
行かないわけにはいきません。
多分、明日のブログにアップされるでしょう。

今回は食べ物ブログ。
大阪名物をアップしなければなりません。
名物といえばたこ焼き、お好み焼き、串カツ。
かすうどんなんていうのもいいかもしれません。
しかし、それではありきたり。
人気ブロガーとして芸がありません。

今回向かったのは京橋。
何気に初めて訪れる場所。
体が勝手に反応し京橋商店街に向かいました。

こちらは呑兵衛には天国のような場所。
昼からごく当たり前のように誰もが飲んでいます。
それもいろんな業態がお値打ちにお酒を提供。
2軒、3軒と飲み続ける輩が多いのではないでしょうか。

ビール199円やハイボール99円にも惹かれますが、ここは正統に攻めましょう。
こちらも大阪名物。
「餃子舗 珉珉 京橋店」さんに行ってきました。

焼き餃子を初めて売り出したのが珉珉さんのようです。
なんといってもランチメニューがお値打ちです。
日替わりセットが570円。
伏見界隈ではあり得ない値段です。
しかし、そんなところに目は行きません。

京橋は酒飲みの聖地。
定食の必要はありません。

お得なビールセット 1180円

生ビールと手羽唐揚げ、餃子一人前がセットになります。
名古屋にあれば毎日通いたいセットメニュー。

お昼時といえども、これで終わるわけにはいきません。
やはりここはサッポロ黒ラベル大瓶。

昔から黒ラベルは大瓶と決まっています。
となるとツマミが必要。
家人の注文した麻婆豆腐を頂きます。

野菜も摂取せねばなりません。
「面倒なことを言うな!」と一喝しながらも注文したのはレバニラ炒め。
栄養的にも最強のメニュー。

ここまできたら餃子を追加して紹興酒に移りたい気持ちですが、
あとの予定があり許されませんでした。
珉珉の餃子ならいくらでも食べれそうな気がします。

後ろ髪を引かれながらお店を出ました。
京橋商店街は魅力的。
次回はどのお店に立ち寄りましょうか。

ごちそうさまでした。

釘崎さん、28年間お疲れさまでした!

僕の知り合いには釘崎さんを知っている人と知らない人がいる。
(当たり前の話です・・・)
知らない人でもfacebookで繋がっている人はどこかで見たことがあるはず。

僕がブログをアップすると必ずツッコミを入れるのが釘崎さん。
2020年までは釘崎さんも毎日のようにブログをアップしていたので、
お互いツッコミ合うのが朝のルーティン。
それが会長になった途端にブログをサボり始め、今では一方通行になった。

今さらだが釘崎さんとは僕が社外取締役を務める株式会社パフの創業者。
パフ界隈の人たちは否が応でも毎日お互いのツッコミを見せられ迷惑していたと聞く。
もしく妙に仲がいい変な関係と思われている。

そんな釘崎さんが先週26日の株主総会を持って代表取締役会長を退任。
第一線を退くことになった。
いつもはほとんど出席者のいない株主総会も今年は従業員持ち株会のメンバーに埋め尽くされ、
温かい雰囲気の中で開催され、無事に終了。

僕は取締役に再任されパフの経営陣として参画。
総会終了後の記念の一枚。

通常であれば「お疲れ様でした!」と終わるが、これで済まないのがパフらしさ。
臨時取締役会後、開催されたのが「釘崎さん、追い出しコンパ」。
社員が一堂に集まりイベントが行われた。

多分、詳細はパフのスタッフコラムで公開されるだろうから、僕はかいつまんで紹介。
ノンアルスパークリングで乾杯後、ランチをしながらチーム対抗作文合戦。
我がチームが見事優勝。

そこから感動の寄せ書き披露や映像、スピーチ。
前Jリーグチェアマン村井さん、執行役員大岡さんの手紙、保坂さんの卒業証書。

オオオカもホサカもさすがの演出だね。
そして吉川社長の手紙。

読む前から泣いていた。
釘崎さんの挨拶。

最後は専門役員の平原さん、田代さんからの花束贈呈。

笑いあり涙ありの追い出しコンパ。

こんなふうに追い出された釘崎さんは間違いなくシアワセ。
最高のパフ人生を送れた。

とここまでは当日の風景。
ここからはちょっと真面目に僕からの感謝。

僕が釘崎さんに初めて会ったのは2010年2月。
Fネットの例会にゲスト参加したのが最初。
当時はリーマンショックの影響で人材業界はどん底の状態。
そんな環境で社長に就任した僕は業界の先輩に頼らざるを得なかった。

その一人が釘崎さんで最も影響を受けたのが釘崎さん。
取り組みを伺うために東銀座のオフィスの押しかけた時も親切に対応してくれた。
その後、パフのイベントにやFネットで懇意な関係に。

何か教えを乞うたというわけではない。
その背中を見ていただけ。
それが僕にとっては大きな学びになった。
同じ業界とはいえ事業特性が異なり営業スタイルや社員育成は違うが、
そんなことは関係なく経営者として追いかけてきた。

今、名大社とパフは切っても切れないパートナーだが、ここで築いた信頼関係があったからこそ。
業界内では有名で幅広いネットワークを持つ釘崎さんが僕に気を掛けてくれた理由は不明だが、
それはとてもありがたいこと。
2018年の社外取締役への打診も光栄であり嬉しかった。
最近は大先輩という見方もなくなりタメのような扱いだが、尊敬する想いは変わらない。
(説得力ないか・・・)。

あまりツラツラ書いても、しんみりするのでここまでにする。
28年間、本当にお疲れ様でした。
そしてありがとうございました。

これからはパフの一員としてハナリー島で好き勝手に飲ませてもらいます。
次回お会いするのは引退記念ライブかな。

そうはいっても今後ともよろしくお願いします。

映画「六つの顔」

この作品を語るのは難しい。
映画「国宝」は歌舞伎に詳しくなくても、
世襲制の難しさや人間模様、舞台の美しさで語ることができた。

本作はそうはいなかい。
追いかけるのは人間国宝の狂言師・野村万作。
彼の特別な一日を追ったドキュメンタリー。
そもそも日本の伝統芸能・狂言を観たことがない。
名大社のメンバーが演じた能の舞台しか経験がない。
正直なところ、ハンパな僕は理解が足りない。

本作は野村万作氏がライフワークとして磨き上げてきた狂言「川上」を映す。
夫役が野村万作で奥方役が息子の野村萬斎。
上演された2人の舞台をそのまま映し出す。
一つ一つの身のこなしや言い回し。
狂言らしい独特の表現。

確かにのめり込んで見入ってしまう。
しかし、僕なんかは単純にそんな見方でいいのかと自分を疑う。
素人だから当然だが、もっと深い知識が必要なんじゃないかと・・・。

ただこれも経験値。
今後、伝統芸能に触れることで少しずつ理解を深めていけばいい。
そんなことを「川上」の舞台を観ながら感じた。

本作で重要なのは野村万作氏の狂言もあるが、その生き様。
むしろ人となり。
90歳を迎えた年齢でありながら、芸に対する探求心は絶えることはない。
そして第一人者としての自負よりも自分の足りなさを語る謙虚さ。
普段の生活を見る限り元気のいいお爺ちゃんという感じ。
いつも通り道を歩く姿を人間国宝なんて思わないだろう。

650年も伝統芸能が維持されるのはそんな真摯な姿勢なのかもしれない。
ファミリービジネスも同様で長く繫栄する企業は堅実で謙虚な経営。
200年、300年続く企業には明確な理由がある。

そんな第一人者の存在が息子の萬斎氏や孫の裕基氏に継がれていく。
裕基氏へのインタビューを聞くと全うな継承が行われていると感じる。
伝統芸能を継ぐプレッシャーはあるだろうが、
気負い過ぎることなく向き合ってもらいたい。

本作のようなドキュメンタリーを観る機会は少ない。
まだまだ理解できない面もあるが、
定期的に観ることで自分の観る力も養いたい。

食べ物のはなし 伏見シリーズ その323

やってきました。
月末大好評のラーメンブログ。
「えっ、もう月末?」
そんな声も聞こえてきますが、9月の水曜日は今日が最後。

来週はもう10月になるのです。
ラーメンも夏らしい辛い系や冷たい系から移っていく時期。
少し秋を感じさせるラーメンを食べたいですね。

三蔵通りを名古屋駅方面に向かいます。
納屋橋の手前にお店を構える「飛騨牛骨高山ラーメン 祭」さんに行ってきました。

オープンして間もなく1年を迎えます。
来週水曜でちょうど1年じゃないでしょうか。

以前もこちらの場所はラーメン屋さん。
食べ物ブログにアップしようと思っていた矢先に休店になり、
いつの間にか閉店になっていました。
やはり伏見エリアは激戦区。

店内のデザインは以前と同じ。
確か黄色いカウンターでした。
高山ラーメンのお店なので醬油ベースが中心かと思いましたが、
一番の売りは白湯スープのようです。
そしてラーメン店には珍しく飛騨牛握りもあります。

オーダーするお客さんはどこまでいるのでしょうか?
どう攻めるべきか悩みましたが、ここは正統派でいきましょう。

とろける味玉ラーメン(醤油) 1050円

祭と印字された味玉が自慢でしょうか。
箸で割ってみると予想通りのとろける感じ。

偽りはないようです。
あっさりとしたスープに大きめのチャーシューがマッチし食が進みます。
高山ラーメンでも牛骨を使っているのが拘りで、
あっさりとした中にも飛騨牛の旨味を感じることができました。

では、この1ヶ月のラーメンをアップしていきましょう。

カレーラーメン

冷やし中華

金ことぶきラーメン
ちなみにスガキヤの新業態。ブログネタでもよかったですね。

ラーメン横綱

しょうゆラーメン

冷やし中華

五目麺

珍しく同じお店の高級冷やし中華も並びました。
9月中旬までは暑かった証でしょう。

今週に入り、日中はともかく朝晩は急に涼しくなってきました。
そうなると温かい汁物が食べたくなります。
これからがラーメンの季節になるということでしょう。
まだまだこのシリーズも続ける必要がありますね。

ごちそうさまでした。

ファミリービジネスの強みを活かした働きがい向上

先週16日(火)は第9回名古屋ファミリービジネス研究会Day4。
早くも後半戦。
毎年恒例のゲスト講演会はDay5だが、今年はスケジュールの関係で今回。

受講者同士の関係性も高まり、開始前からいろんな話題で花が咲く。
とてもいいこと。
こういった何気ない時間が大切。

冒頭はいつもの通り僕のアイスブレイク。

話題の某会長辞任をネタに同族企業の動向を持論を交えての話。
トップ交代のタイミングは難しい。
その流れでこの一年で劇的に会社が変化した受講者に現状を報告してもらう。
詳細を明かせないが、現場で起きているリアルな話は自分たちにとって大いに参考になる。

そしてDay1の振り返りを櫻山さん。
ちょっとした新ネタも。

Day3の振り返りを丸山さん。

丸山さんには前回話しきれなかったパートを詳しく説明。
改めてスリーサークルモデルの重要性を認識した。
これで第1部が終了。

第2部はメインの講演会。
ゲストは株式会社バーテックの末松仁彦社長。

テーマは「ファミリービジネスの強みを活かした働きがい向上」。
末松社長は60年以上続く企業の3代目経営者。
4年前にはこの会の親子対談でも登壇してもらった。
その時のブログがこちら

末松社長は大学卒業後、バーテックに入社し28歳で社長となった。
僕と同じファミリービジネスアドバイザー資格保有者でもある。
まさにザ・同族企業で「強み」をいかんなく発揮している。

今回はその取り組みについて、参加者を巻き込みながらの講演。
幼少の頃から継ぐのは当然の認識で入社したが、全てが上手くいくわけではない。
リーマンショック時でのバトンタッチのため、その取り組みには反発も多かった。

それを乗り越え今に至るが、その過程を伺えたことは受講者には大きな価値。
2018年から7年連続でPTW主催「働きがいのある会社」ランキングのベストカンパニーに選出。
ただ試行錯誤の繰り返しだという。

話を伺いながら僕は末松社長は勝手にM的な人間と判断(笑)。
トライアスロンやマラソンが趣味というのも納得できるが、自ら自分を追い込んでいるように思える。
そして、それに苦しむのではなく楽しんでいるように思えるのだ。

ここも受講者特典で内容に触れることができないが、
従業員はファミリービジネスの価値を全員が理解し賛同。
積極的にイベントに取り組む姿勢に参加者は感動しながら聞いていた。

バーテックフィロソフィや末松家の家訓も想いが詰まっていた。
質疑応答では普段質問をすることのない受講者も体を乗り出して聞いていた。

恒例の懇親会は「ワンランク上の山ちゃん」。
遠方からゲストを招く場合、大体こちらを使わせて頂く。
手羽先もワンランク上のように映る。

ここでも話は尽きることなく有意義な時間を共有することができた。
今回も満足度の高い場を提供でき、主催者冥利に尽きる。

末松社長、ありがとうございました。
そして、みなさん、お疲れ様でした。

映画「風のマジム」

伊藤沙莉が可愛い。
彼女は背も低いし、ダミ声だし、特別美人というわけでもない。
しかし、本作の彼女は本当に可愛らしい。

それはふと笑顔になる瞬間や困ったり悲しんだりする表情、ヤル気を見せる姿がいい。
派手な演技ではなく自然体に近い。
それが演技の上手さ。
伊藤沙莉が演じるマジム人物そのものが伝わってきた。

本作はジャパニーズドリームといっていい。
原田マハの小説だが実話をベースにしているという。
パッとしない契約社員が社内ベンチャーコンクールに応募し通過。
沖縄のサトウキビでラム酒作りにチャレンジするストーリー。

とてもシンプルで真っすぐな展開。
それがむしろ清々しく映り、観ているうちに応援したくなる。
一挙手一投足に観る側も引っ張られ、ウルっときたり、あ~とため息をついたり。
感情移入ができるのも映画の魅力。
シンプルだからこそ余計な思考を取り除くことができるのだ。

小さな小さな日本映画でナントカ映画祭とは無縁だと思うが、これはこれでOK。
個人的には好きな作品。
こういった作品に勇気づけられる人も多いだろう。
キャリアの授業にも使えるかな。
プランド・ハプンスタンスだしね。

舞台は沖縄・那覇。
豆腐店を営む祖母カマル(高畑順子)と母サヨ子(富田靖子)と暮す。
頻繁に琉球言葉が発せられるので意味が分からないことも多い。
ただ雰囲気で理解できる。

そして登場する南大東島。
この風景もいい。
沖縄の緩やかな感じがたまらない。
11月に沖縄に行く予定があるが楽しみになってきた。

マジムの報告によれば居酒屋の数は沖縄が日本一だという。
確かに那覇周辺を思い浮かべると居酒屋は多い。
沖縄といえばオリオンビールや泡盛だがそれだけではない。
訪問時には沖縄産のラム酒を飲んでみたい。

脇を固める俳優陣もいい。
高畑順子や富田靖子はもちろんだが、バー店主役の染谷将太がいい味を出していた。
彼は「麒麟がくる」の織田信長役でとても気になった俳優。
大河ドラマ「べらぼう」の喜多川歌麿といい役作りがとても上手い。

なぜ「風のマジム」か。
それは映画を観てのお楽しみといったところ。

秋は映画の季節だね。

映画「遠い山なみの光」

とても文学チックな作品というのが鑑賞後の印象。
ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロ氏の小説を映画化するとそんな香りになるんだ。

描かれるのは1952年の長崎とその30年後のイギリス。
1952年は長崎原爆投下から7年後。
先月観た「長崎 閃光の影で」はまだ記憶に新しい。
この作品は1945年8月直後の長崎が舞台。

7年経過すると街並みも生活も大きく変わるが、その時の傷は癒えることはない。
記憶は薄らいでいくが、30年後も同じ。
文学的な表現で戦争の悲惨さは角度を変えているだけのこと。
ダイレクトに戦争の愚かさを訴える「長崎 閃光の影で」と間接的に訴える本作との違い。
そもそも比較するものでもないが・・・。

1952年の長崎はいい意味でアメリカの影響を受けファッションも食事も体現。
因みのこの時代の悦子を演じるのが広瀬すずで30年後の悦子が吉田羊。
ネタバレの範囲にはならないはずが、この2人が同人物であるのに少々驚いた。
なくはないか・・・。

本作はイギリスに住む悦子の娘・ニキが母親の長崎時代の話を聞くことから物語は始まる。
広瀬すず演じる悦子は回想シーンになるが、あたかも現実のように映る。
そこも文学チックな香りだが、そこに絡む謎多き女性・佐知子がより際立てる。

演じるのは二階堂ふみ。
悦子は長崎弁なのに対し、佐知子は標準語。
その標準語は僕からすると昭和30年代の映画の言葉。
2人の会話は神秘的で現実のようにも思えるが異次元の世界にも感じる。
果たしてそれがどうかというのが映画が進むにつれ明らかにされる。

本作の紹介はここまでにしておこう。
僕は映画を観ている段階では「遠い山なみの光」というタイトルの意味が分からなかった。
鑑賞後、しばらくしてから、「なるほど」と解釈。
とても重要なシーンが本作のタイトルだったんだ・・・。

さすがノーベル文学賞作家。
いや、さすが石川慶監督。
監督は愛知県出身ということもあるが、注目している映画監督の一人。
デビュー作「愚行録」は出演者が酷い連中ばっかり今でも頭にこべりついている。
3年前の「ある男」は2022年の日本映画ベスト5にも入れた作品。

最近では珍しく正統派な映画監督のように思う。
本作も期待を裏切らない作品だった。
これからの作品も楽しみにしたい。

実のところ二階堂ふみは誰なのか。
これから観る方は注意しながら観てもらいたい。

破れ星、燃えた

このところ書評ブログを全く書いていない。
別に本を読んでいないわけではない。
ピーク時に比べれば(それも大したことはないが)減っているのは事実だが。
それでも本を読まなければバカになると思い、継続的に読んでいる。
ブログは「人生の経営戦略」以来なので4か月ぶりということか。
ちょっと少なすぎるね。

最近はビジネス書の機会が随分と減った。
今回、選んだのも倉本聰の自伝。
興味の範囲が変わってきたのか。

本書は会社を辞めて独立してから最近までを描く。
僕は正直なところ著者のドラマをほとんど観ていない。
同世代なら必ず通ったであろう「北の国から」もほぼ観ていない。
映画にしても同様で昨年観た「海の沈黙」が珍しいくらい。

特に理由はない。
独特の風貌が入ってこなかったのかな(笑)。
その分、本書は新鮮で著者の生き様が面白おかしく感じ取ることができた。

独特の風貌という表現は正しくないが、そこから人格も汲み取ることができる。
それが拘りや執念であり、TV局との確執だったりするのだろう。
本書から人となりは理解できるが、表面的には簡単ではなく敵を作ることも多い。

NHK大河ドラマの脚本を途中で降りたことも、
局とのすったもんだも、北海道に移り住んだ理由も初めて知った。
ここまで大胆な行動はある人にとっては忌み嫌うが、ある人にとっては魅力的に映る。
それが高倉健はじめ大物俳優らを惹きつけたのかもしれない。

映画でもドラマでも脚本は生命線。
その出来次第で作品の評価が決まるといっても過言ではない。
それを選ぶプロデューサーの力量や監督の能力もあるが、名前だけでは通らない。
若い時期の「速く!安く!うまく!」の経験が後のクオリティが高い作品を生み出した。

優秀な営業と一緒だね。
まずは量で勝負しないと。
誰に言ってる?(笑)。

とりとめなく書いているが、著者が嘆いているのはテレビ局の現状。
確かにネットやスマホにシェアを奪われているが、
民放四局の混乱と堕落には目をそむけたくなるという。
見方によっては過去の栄光に捉われているといえるが、
それが長年業界に関わった方の辛辣な想い。
言い分はあるだろうけどね。

今年で著者は卒寿。
今も現役の脚本家。
著者がご健在なうちに「北の国から」くらいは見ておく必要はあるかもしれない。