191分という時間は僕らに与えられた問い。
日本人としてどう捉えていくか。
いや、その括りでは曖昧な解にしかならない。
「うちなーんちゅ(沖縄の人)」と「やまとんちゅ(本島の人)」とでは解は異なる。
本島の人は合理的に考え日本全体として何が正しいかという判断。
一方で沖縄の方は感情面を避けることはできず自分たちの生活を一番に考えるだろう。
どちらが正しいというわけではない。
永遠に続く議論。
ただ合理的に考える僕らは歴史を知り背負った傷を理解しなければならない。
戦後の沖縄をニュースで見る機会は多い。
しかし、それは表面的に過ぎず生の声が届く機会は少ない。
届いたとしても政治的な要素が中心。
実態とかけ離れている面は多い。
本作が実態かどうかは分からない。
社会派作品でありながらエンタメ性も備えているので、
一本の映画としてどう評価するかも大事。
だが、それだけでは191分を費やした意味はない。
その問いに向き合わないと・・・。
最初に描かれるのは1952年のコザ。
思い出したのは「遠い山なみの光」。
こちらは1952年の長崎。
戦禍に被った土地と原爆が落とされた土地。
戦争の被害者であるのは間違いないが、その景色は違う。
長崎の方が穏やかに映る。
日本であって日本でない。
守られることと守られないこと。
やはり「うちなーんちゅ」と「やまとんちゅ」とでは解は異なる。
この2本はできるだけ多くの方に観てもらいたい。
賛否両論ある作品だからこそ、そんなことを感じた。
本作は2度の延期を含め制作に6年要したという。
延期がなく撮影も一気に進んでいれば、
より魂が籠った作品になったと思うが訴えるべき力強さは変わらない。
時代背景やエキストラを含めここまでスケールの大きい日本映画が
このジャンルであるのも嬉しい。
莫大な予算をかけた作品は超娯楽作になりがち。
その方面に進まなかった東映にはあっぱれかな。
東宝ばかり目立つ日本映画だが意地を見せてもらった。
(そんなことは思っていないか・・・笑)。
大友啓史監督はもっと社会を深掘りする作品を撮った方がいい。
テレビドラマの傑作で僕の中では一番好きな「ハゲタカ」もそう。
「るろうに剣心」や「レジェンド&バタフライ」もいいが、
日本を抉る社会派ドラマを作って欲しい。
そうすれば鋭く遠慮のない韓国映画にも対抗できる。
本作は俳優陣も見事。
妻夫木聡も窪田正孝も永山瑛太も迫力があった。
1952年の広瀬すずは「遠い山なみの光」と比較すべき。
もはや日本を代表する女優かな。
書きたいことはまだあるが、
「国宝」といい本作といい長時間の日本映画がここまでやれるのは喜ばしい。
そんな作品が更に増えることを期待したい。