これからも前向きに 名大社会長ブログ

大阪でファミリービジネスを学ぶ

今月16日(日)は大阪でファミリービジネスのイベントが開催された。
題して「FBAAフェスタ2025 」。

家業の「シンカ」を関西からをテーマに丸っと一日のイベント。
僕もFBAA(日本ファミリービジネスアドバイザー協会)執行役員の端くれとして終日参加。

「シンカ」には「真価」「深化」「進化」の意味があり、
それぞれをテーマに講演やパネルディスカッションが行われた。
関西地区で活躍する仲間が1年前から準備をしたため内容は充実。
これまでで一番多い約100名の方が集まった。

ブログで詳細をお伝えするのは難しいので、さらりと部分的に公開しよう。
表に出せない内容も多いし・・・。

FBAAでは同期でありながら大先輩でもある末松実行委員長の挨拶からスタート。

いきなり熱い。
このイベントに掛ける想いが伝わってきた。

セッション1はFBAAファウンダーで名誉理事でもある西川盛朗氏のインスピレーショントーク。

何度も話を伺っているが、いつも学びは多い。
新たに加わった「真価」もなるほどと感心。

事例紹介は大阪を中心にホテル業を経営する株式会社王宮の橋本専務。
その取り組みを語って頂いた。

初めてお会いする方でどんな経歴かも知らなかったが、途中で涙が出そうになった。
2代目の姿を見て「父のようにはならない」と継がないことを決めたが、
あることをキッカケに入社。
そこから苦労を積み重ね海外旅行者には人気のホテルを作られた。
あることが重要だが、ここは敢えて内緒にしておこう。

大阪らしくファミリービジネスをテーマにシン喜劇。
さすが大阪人ですね。

セッション2は武井理事長のインスピレーショントーク。
自らの経験を基に創業家の「思い」を支える家業の「仕組み」作りを話して頂く。
これが「深化」。

事例紹介は名古屋ファミリービジネス研究会でもお世話になったバーテックの末松社長。

会場には奥さん、娘さん、ご両親も出席。
まさにファミリービジネス。
いきなり指名された奥さんのコメントが素晴らしかった。

セッション3はパネルディスカッション。

ファミリービジネスアドバイザーでありながら、
事業承継された後継者3名がこれからの「家業」について語る場。
ここからが「進化」。

モデレーターは名古屋ファミリービジネス研究会の事務局でもある丸山さん。
抜群の質問力でこれまでの苦労やこれからの方向性を引き出す。
こういった場はいかに本音で話せるかが重要。
あっという間にその時間は過ぎていった。

一日会場に拘束状態だったが、眠くなることもなく充実した時間。
肝心な内容にはほぼ触れていないので、満足度は伝わらないかもね(笑)。

全員で記念撮影の後は場所を変え懇親会。

多くの方と情報交換をさせてもらった。
初めて会う方ともすぐに打ち解けられるのは向かう方向が同じだからか。
楽しい時間を共有させてもらった。
ありがとうございました。

毎年開催されるFBAAフェスタ。
いずれ名古屋開催があるだろう。
今は逃げることしか考えていないが(笑)、
名古屋からその魅力を発信出来たらいいだろうね。

そして今日は半年間行われた名古屋ファミリービジネス研究会の最終日。
こちらもいい締めくくりができるといい。
素晴らしい日にしていきましょう。

映画「港のひかり」

映画を観ながら思った。
本作は藤井道人監督の日本映画に対してのリスペクト。
多くの日本映画を観てきた藤井監督の想いをそのまま映画化したと。
監督に影響を与えたヤクザ映画や高倉健作品らの要素を詰め込んだようにも思える。

撮影は木村大作氏。
冬の富山の風景が実にそれらしく35ミリフィルムでの撮影。
今年86歳の大御所はまだ第一線での活躍。
ここにもリスペクトが存在していると感じてしまった。

エンディングの字幕もかつての日本映画。
今どき文字が左から右に流れる作品はないと思う。
そんな点で本作は完成した時点で目標を達成。
評価や興行収入はどうでもいいのではないか。
それは言いすぎかな(笑)。

出演者も藤井監督に共感する役者が集まった気がしてならない。
元ヤクザを演じた舘ひろしは「ヤクザと家族 The Family」で親分役。
ピエール瀧や一ノ瀬ワタルらも藤井作品の出演は多い。
それもはまり役で。
横浜流星は出ていないが、さすがに忙しすぎるかな。
岡田准一は友情出演でチラッと出てはいるが・・・。

ストーリーに目新しさはない。
昔観たことあるようなテーマ。
元ヤクザの漁師が盲目の少年と絆を深め、自ら犠牲になりながら少年を救う。
周りには親切な人とろくでなしが存在し、その中で関係性を築いていく。
そこにヤクザが絡んできて・・・。

昭和でも平成でも令和でも成り立つ展開。
どんでん返しもなければ、予想を裏切ることもなく、驚く要素はない。
感動させるシーンも泣かせるシーンも筋書き通りのヒューマンドラマ。

僕はそれで十分。
きっとそれが藤井監督がやりたかったことだろうから。
と藤井監督ファンとして勝手に想像。
古くさいとか評価は分かれると思うが、僕は張りつめる空気感を含め見応えがあった。

ヤクザの世界はクスリから詐欺に移っているようだが、
親分とその子分のキレ方もハンパない。
親分の椎名桔平の非情さもよかったが、輪をかけて舎弟の斎藤工がよかった。
剃り込みを入れ眉毛も剃ってしまう役作りには感心。
キャリアを積んでもやることはやるんだね。
それも監督への想いか。

藤井監督にはこれからも期待したい。
日本映画らしい作品をコンスタントに作ってもらいたい。

映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」

つくづく歴史を知らないと改めて感じた。
舞台は第2次世界大戦下のドイツ。
当時のドイツといえば独裁者ヒトラーのナチス政権でイメージはホロコースト。
ユダヤ人を中心に外国人に対して敵対関係が頭に浮かぶ。
当然、同じドイツ人は味方と思うのが普通の捉え方。

戦時中の日本を見ればわかるが、政府に反抗する者は非国民扱い。
本作も同様。
ヒトラーに反抗する者はアウシュビッツ並みの迫害を受ける。
独裁政権の恐ろしさを映画は教えてくれる。

タイトルにあるボンヘッファーは20世紀を代表するキリスト教神学者。
自らの信念を貫くためにナチス政権を敵に回す。
その態度はブレることはなく、どんな制裁にも正面から向き合う。
どちらが正義なのかは一目瞭然。

しかし、それは戦後何十年が経過してわかること。
当時の正義は圧倒的にナチス政権でありヒトラー。
反対意見を示した時点で逮捕されるし、場合によっては処刑される。
感情的な配慮はなく、感情的な憎悪が生まれるだけ。
そんな姿をリアルな映像を通し僕らに訴えかける。
相手を潰すことなんていとも簡単。

描かれるのはナチス政権の強圧的な政策。
観る側は間違いなく否定的に捉える。
昨今のドイツ映画はそこを言い訳することなく、
自国の非道な行為を認める作品が多い。

本作はそれとも微妙に違う。
映画が始まり、すぐに違和感を感じた。
舞台がドイツでドイツ人が出演しているのに言葉は英語。
外国語に疎い僕でもそれくらいは分かる。
大学時代の第二外国語の選択はドイツ語だったし。
それは関係ないか(笑)。

ボンヘッファーが留学したアメリカで英語を操り、ジャズに感化されるシーンは納得できる。
しかし、すべてが英語だとなんとなく違和感を感じてしまう。
それは日本人の僕が思うだけか。
「キングダム」でも日本人が演じ日本語を喋っているわけで・・・。

ドイツ映画と思っていたが、あとで確認するとアメリカ・ベルギー・アイルランド合作。
自国を批判する映画は他国の方がやはり作りやすいのか。
今年観た「ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男」
忠実に当時に描き否定も肯定もしていなかった。
本作はドイツでも公開されているのかな・・・。

自らを信じ「ヒトラー暗殺計画」を立てた行動は時代と共に評価も変わる。
それを知っておくのも大切なんだろう。

食べ物のはなし 伏見シリーズ その328

少し肌寒い日中ですが、外を歩くにはまだまだいい季節。
余裕のあるランチ時には少し離れた場所まで行きたくなります。
伏見シリーズのネタも枯渇しているので探す目的もあります。

三蔵通りを名古屋駅方面に向かい、中ノ町通りを南に歩きます。
お世話になっているつばめタクシーさんのビルが見えてきます。
向かいのライオンズ名古屋ビルにはいくつかの飲食店が入店。
そのビルは以前、ホテルでしたが今は貸テナントなんでしょうか。
30年以上前に営業にお邪魔したことを思い出しました。

1階にお店を構える「名代きしめん げんき庵 伏見店」さんに行ってきました。

きしめんは名古屋飯の代表格ですが、普段食べる機会はあまりありません。
名古屋駅のホームが一番多いくらい。
寒さを感じる日には温かい汁物を食べたくなります。

表の看板をみて注文は一択。
カウンターに座り店主の動きを見ながらしばらく待ちます。

老夫婦で切り盛りしているのでしょうか。
役割がはっきりし、忙しい中、テキパキと動いています。
思った以上に時間は掛かりましたが、カウンターの上に出して頂きました。

本日のランチ(きしめん、ミニミックス天丼) 800円

名古屋らしい雰囲気を醸し出しています。
思った以上に時間が掛かったのは理由がありました。
天ぷらは注文が入ってから衣をつけ揚げるため時間を要します。

アップにしてみましょう。

えび、イカ、なす、さつまいもが所狭しと盛り付けられています。
「えっ、これで800円・・・」
まずは値段の安さに驚いてしまいました。
そして、揚げたてを出すこだわり。
ミニ天丼といっても結構なボリュームはあります。
メインは鰹だしの効いたきしめん。
このクオリティには驚きです。

周りを見渡すと満席。
外には順番待ちのお客さんが並んでいます。
当然のことと納得しました。
早い時間に入店し正解。
会計は現金のみですが、何かを言うつもりはありません。

知らないだけで名古屋にはいいお店が沢山あります。
やはりブラブラと歩き、偶然の出会いを大切にしなければなりません。

ごちそうさまでした。

映画「旅と日々」

ここ最近で僕が最も好きな監督が三宅唱監督。
「夜明けのすべて」は2024年日本映画の1位にしているし、
「ケイコ 目を澄ませて」は2022年のベスト5の中の1本。
この年は順位をつけなかったが、順位をつけたとすれば1位にしていた。

空気感というか微妙な人間関係を描くのが上手いというのが僕の印象。
派手さはない、ドンパチもない、お涙頂戴というわけでもない。
息づかいがこちらまで届く感覚が素晴らしかった。

本作もそんな作品。
ただ先の2作とは異なり、観る者を選ぶのが本作じゃなかろうか。
元々、大きな盛り上がりを作る監督じゃないと思うが、
本作ほど淡々と進行する作品はない。
つげ義春の作品を読んだことはないが、暗い作品が多いイメージ。

ロカルノ国際映画祭最高賞の金豹賞を受賞したからと期待しすぎてはいけない。
大体、ヨーロッパの映画祭は地味な映画が選ばれることが多いと思うし。

簡単に説明すると、
作品に行き詰まった脚本家が旅先での出会いをきっかけに人生と向き合う姿を描く。
主役はシム・ウンギョン。
すぐに「新聞記者」を思い出す。

彼女は日本中心の活動なんだろうか。
日本語と韓国語の操り方が上手いので重宝されるかもしれない。
そうでもない?。
韓国語の手書きを見る機会はないが、実際に直筆だとあんな感じ。
きっと上手い字とどうでもいいことを感じた。

旅先で出会うのは堤真一演じる旅館の主人。
あんな旅館が成立するとは思えないが、東北の田舎だと納得してしまうのが不思議。
この2人のズレたやりとりがコミカルでもあり愛らしくもある。
「おいおい、それはないだろ!」と思うようなことも軽く流してしまう。
誰もが許してしまう。

そんなふわ~っとした空間が本作の魅力。
強烈なメッセージがあるわけじゃない。
エンディングもなんとなく。
人が何か変わる場合、大きなショックを与えられるよりも徐々に変わるのが本当の姿。
さじ加減が絶妙な映画。

そうそう、本作にも河合優実が出演。
少し前にAmazonプライムで「悪い夏」を鑑賞し、彼女の多才ぶりには改めて驚かされた。
本作は何をしたかったのかな(笑)。

89分という短い映画だが、いい意味で長さを感じた。
ゆっくりと時間が流れるのもいいんだろうね。

映画「爆弾」

畳み掛ける展開で面白く観ることができた。
映画が終わって、しばらくして思った。
スズキタゴサクって、一体何者?
頭脳犯なのか、愉快犯なのか、道連れなのか、都合のいい存在なのか、
結局、解明できないまま終わった。
もしかしらそれが最後のセリフに繋がっていたりして・・・。

本作は予告編を何度となく観た。
個人的には予告編は失敗だと思う。
本編の魅力を消している気がしてならない。

予告編ではスズキタゴサク演じる佐藤二朗は間抜けに思えるし、
刑事・類家役の山田裕貴も傲慢にしか思えない。
スルーしようと感じさせる予告編。
しかし、レビューや友人の評判が予想以上に良く観ることにした。
周りの評価は裏切らない。
期待に沿う作品であった。

あれだけ次から次へと事件が起きれば盛り上がらないわけはない。
映画を面白くしようとすれば、ド派手な事件が数多く起き、
多くの人が泣いたり嘆いたりすればいい。
大きな刺激を与えることになる。

それだけ作品は成功。
サイコパス的なタゴサクと賢すぎて嫌味な類家の絡みだけでも堪能できる。
敢えて取調室は暗い。
ついでに刑事らが仕事をするオフィス?も暗い。
普通、あんなに暗くはない。
それが却って事件の重さを生み、しどろもどろになる人間を描く。

大爆破を描くシーンもありながら、密室劇で全体を通すのが肝。
一つ一つのセリフが持つ意味を徐々に考えさせる優れた演出も魅力。
2人の駆け引きが想像力を働かせ、現実と非現実の合間を彷徨う。
みんな、まんまとやられてしまうわけね。

本筋とは関係ないと思えた加藤雅也(役柄は長谷部有孔)が肝心だったり・・・。
あんな性癖もなくはないんだろう。
ネタバレになっているようでなっていないよね。

一見、ストーリーと関係ないように思えるが本作は組織論の在り方も匂わせる。
野方署の上司・鶴久(正名僕蔵)と部下・等々力(染谷将太)の関係性と
警視庁の上司・清宮(渡部篤郎)と部下・類家(山田裕貴)の関係性。
方や自分の過ちを認めず一方的に部下に命令する。
方や自分の力量を認め、高い能力の部下に任せる。

今の時代、自ずと結果ははっきりする。
裏テーマというつもりもないが旧態依然とした組織が晒される実態を知れた。
誰も感じていない?(笑)
そんな感じで本作はいろんな角度から楽しませてくれる。
楽しさを爆発させちゃいけないけどね。

映画「盤上の向日葵」

毎年、秋になると話題作が増える。
本作もそう。
今年前半は不作が多く日本映画が不安だったが、
「国宝」あたりからいい作品が上映されるようになった。

盛り上がったタイミングで日本映画らしい本作の公開は効果的。
単なるお涙頂戴ではない。
綺麗ごとでは済まされない重厚な人間ドラマ。
123分の上映時間が短く感じられた。

舞台は1970年代から1990年代まで。
昭和から平成に移る時代。
坂口健太郎演じる上条桂介は僕よりも少し年上。
同時代を生きてきたので自然に体に入っていく。

僕は高校時代、将棋を覚えたが、ほぼ未経験。
圭介が憑りつかれたように吸い込まれる姿は想像できない。
ただ魅力はヒシヒシと伝わった。
好きな者にとっては最高の勝負事。
こんな作品を観るとにわか知識でも持ち合わせた方が楽しめる。

身元不明の白骨死体が発見からストーリーは進み、
天才棋士・上条桂介の名が浮かび上がる。
その事件を追いかけるのが2人の刑事。

その流れで思い出すのは映画「砂の器」
紹介サイトやレビューにもその比較が書かれている。
上条桂介は天才音楽家を演じた加藤剛。
佐々木蔵之介と高杉真宙が演じた2人の刑事は丹波哲郎と森田健作。
事件の捜査と共に隠したい過去が解明される。
似た点は多い。

本作は「令和の砂の器」なんて評されることもある。
しかし、個人的な感想でいえば、その比較は酷。
本作を否定するつもりはない。
2025年の映画では上位に入る。
だが、「砂の器」と肩を並べるかといえばそうではない。

画面から伝わる緊迫感は比べものにはならない。
あの寒々しい風景を超えることは難しい。
僕自身も並べた側だが、その観方は止めた方がいい。
純粋に本作を楽しんだ方がいい。
なんだか変なコラムになってしまった。

優れた日本映画には優れた俳優が欠かせない。
主役坂口健太郎の葛藤も良かったが、やはりここは渡辺謙。
「国宝」を含め助演男優賞をかっさらうだろう。
柄本明や小日向文世のベテラン勢もよかった。
大泉洋のお友達はあんな役が最高に合う。
結末はいつも同じ気がして気の毒だけど。

エンディングに流れるのはサザンオールスターズ。
ついに演歌かと思ったのは僕だけか。

本来、向日葵は周りを明るくする。
悲しい向日葵の存在も受け止めておくべきかな。

過疎ビジネス

書籍広告が気になってAmazonでポチると、結構な時間、入荷待ち。
今どきそんな売れている本があるのかとワクワクしながら待った。

僕は地方の自治体が次々にコンサルの餌食となり、
いいように吸い上げられるケースがいくつも紹介されるのかと思っていた。
ライトな展開を想像していたので、それを遥かに超えた。

久々に読んだ骨太のノンフィクション。
通常、こういった作品はノンフィクションライターが取材を積み重ね書き上げるが、
それとは似て非なる。
取材を積み重ねているが、この事件に絡む当事者でもある。
取材しながら自らの体験を綴っていく。
ジャンルは異なるが沢木耕太郎を思い描いてしまった。

著書の横山勲氏は河北新報の記者。
不可解な自治体の請負事業を追いかけ新聞記者魂を貫く。
特にスクープを狙っていたわけではない。
自分の信念に基づいて実態を解明したに過ぎない。
その姿に感動し、地方新聞もまだまだやれるんだと期待感を抱いた。

今、新聞社はどこも経営環境は厳しいはず。
発行部数は減り続け、知り合いの新聞記者はあと15年で新聞紙は消えるとも言った。
しかし、本書を読むと新聞社が根本的に持つ力は維持しなきゃいけない。

本作のメインの舞台となるのは福島県国見町。
正直、どこに位置するかも知らない。
だから狙い目なんだろう。

過疎にあえぐ小さな自治体をターゲットに、
そこに近づき公金を食い物にする「過疎ビジネス」が成り立つ。
地方創生と美しい言葉を並べ、結局は誰のためにもなっていない。
請け負ったコンサルが栄えるだけ。
そんな事実があちこちであるという。

もちろん大真面目に取り組み目指すべき姿が創られることもあるだろう。
だが、多くは予算を掛けた割には成果を見出せず自己満足的に終わることも多いようだ。
もしかしてほとんど?
その分野に関心がなく注視してこなかったが、
東海地域を見渡しても同じような失敗は存在しているかも。

著者は自戒を込めて発している。
予算がない場合、何も考えず行政の担当部署に電話し記事にすることもあると。
そう考えると読み手の力も問われる。
サ~ッと流すだけでなく読み込まないと。
普通に新聞を読むだけでは難しいが、本書からその必要性を感じた。

毎日、地方紙を読んでいる身としては一層、そう思う。
そして、地方新聞社にも頑張ってもらいたい。

読み応えのある書籍だった。

暑いながらも秋も日本酒を愉しんだ

2ヶ月に一度アップすると決めた家飲み日本酒備忘録。
今年は例年以上に暑い日が続き、家で日本酒を飲む機会は少なかった。
とはいえ10月初旬あたりから、朝晩は秋らしくなってきたので、少しずつペースも回復。
健全な?日々を送れるようになった。

時間がある時に日本酒を仕入れる。
毎年この時期はふるさと納税返礼品が賑わしてくれる。
地域貢献のため、せっせと飲まなきゃいけない。

それでは9月、10月の日本酒を紹介しよう。

仙禽 線香花火
今年の夏は暑かったから余計に美味しい。

七賢 絹の味 純米大吟醸
息子が山梨旅行で買ってきてくれたお土産。好みも分かってきたかな。

みむろ杉 純米吟醸雄町ひやおろし
奈良のお酒はやはり美味しい。

天美 特別純米
ふるさと納税返礼品にあったんだね。来年も頼もうかな。

剣愛山 無濾過一度火入原酒 純米大吟醸
初めて頂きました。この酒蔵もいいね。

天美 純米吟醸
こちらもふるさと納税返礼品。
2本セットが嬉しい。

仙禽 赤とんぼ
線香花火の次はこちらだよね。
毎年秋の定番。

紀土 純米吟醸
こちらはふるさと納税返礼品の定番。安定した美味さ。
もうこれで何年注文しているだろうか。

紀土 純米大吟醸
純米吟醸の次は純米大吟醸。

紀土 純米酒
そして純米酒に移る。燗でもいけるね。

シン・タカチヨ【逸】
このシリーズにスパークリングがあったとは。
劇的に美味い。ヤバい。

高千代高龍
初めて頂いた。本来の名称は変換では出てこない。

奈良萬 純米酒
10月の終わりから燗酒も始まった。

こう並べてみると好みの傾向が明確。
頂きものより自分で購入したのがほとんどなので、そんな傾向も。

11月に入り急に寒くなってきたので、これからは燗酒が増えるかもしれない。
外飲みの機会は減らし、しっぽりと家飲みの生活を中心とするか。
週1回くらいは休肝日も作って・・・。

個人的には今年もシン・タカチヨシリーズに期待したい。
意外と手に入りやすかったりして。
これからの季節も気持ちよく酔っていきたいね。

映画「サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー」

冒頭のシーン。
昼間のカフェでビールを飲む美しい女性をロングショットで映す。
徐々にカメラが近づいてきて、そこに一人中年女性が現れ話しかける。
会社をリストラされた美しい女性の相談に乗るような場面。
てっきり美しい女性が主役かと思ったが逆だった。

その後、中年女性をカメラが追いかけていく。
なんだか普通のオバサン。
それだけでも不思議な感覚。
どんな展開が待っているのか全く予想できない。

本作は中年女性の妄想と葛藤と復讐を描く。
R15+作品だが、あと少し過激ならR18+作品になっていた。
「えっ、修正なし?」と瞬間的に思ったり・・・。

中年女性ルシアは20年務めた企業が倒産し、タクシー運転手に転身。
倒産した企業ではIT担当というが、あのパソコンの扱いでIT担当とは思えない。
ひょっとしてこれはコメディかと錯覚に陥る。
他にもそんなシーンがあり本国ではコメディ扱いかと思ったが、それにしては恐ろしすぎる展開。

タクシー運転手としてありそうでなさそうなことがいくつも起きる。
危うい事件に巻き込まれそうにもなるが、ルシアはそれも愉しんでいる。
そして事件も起きる。いや、起こす。

黒い鳥(カラス)と結った髪に刺されたかんざし。
ポスターが映画を象徴している。
作品を物語っている。
ネタバレにならないが、鑑賞後、その恐ろしさに気づく。
となると本作はホラー映画?と思ったり。

解説を読むと「異色のサスペンス」と紹介。
確かにその通り。
異色であるのは間違いない。

ルシアを演じるのはマレーナ・アルテリオというスペインの人気女優。
50歳過ぎて堂々と全裸を披露。ハードなシーンも。
本作ではスペイン版アカデミー賞ともいわれるゴヤ賞で主演女優賞を受賞。
スペイン映画は対象作品の許容範囲が広いのか、これがメジャーなのか。
日本でも公開されるくらいだから話題性はあるのだろう。

原題は「Que nadie duerma」。
日本では英訳され「サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー」。
和訳すると「私に何かが起こる」。
和訳タイトルじゃダメなのかな?
配給会社に聞いてみたいが、何らかの意図はあるのだろう。

スペイン映画って縁がないなと思っていたが、最近では「入国審査」「太陽と桃の歌」を観ていた。
どちらも興味深い作品。
本作の感じ方は観る者の感性によってかなり変わる。
そのあたりを考慮してご覧いただきたい。