これからも前向きに 名大社会長ブログ

映画「アナログ」

本来、僕の鑑賞リストには入っていなかった。
この年齢になるとラブストーリーにはさほど興味を示さない。

しかし、周りのざわつきが僕を映画館に向かわせた。
一つは映画情報サイトの評価の高さ。
ただ、それだけでは動じない。

決定的になったのは映画評論仲間の声。
50代後半のオッサン達が胸ときめかせ絶賛していた。
もう、これは自分の眼で確かめるしかない。
この年齢で「胸キュン」なんていう現実があるのかと・・・。

やられてしまった。
映画評論仲間のオッサン同様、胸ときめかせてしまった。
このピュアなラブストーリーに汚れたオッサンが見事にハマってしまった。

なんかいい。
自分にもまだ純粋な心が残っていたことに少しホッとした。
いつまでもこんな気持ちを持ち続けたい。

原作はビートたけし。
やはり彼は天才なのかも。
次作「首」も観ないとね。

といってもストーリーに複雑さはなく、真っすぐに進んでいく。
今どき、携帯電話を持っていないこともあり得ないが、
持っていなければ自宅に電話すればいいと思うが、それもしない。

ただそれに違和感を感じない。
毎週木曜日に同じ場所で会う約束しかない。
かつてそんな時代もあったかと思わせてくれる。

その展開にときめきを覚える。
キスもしない、
その先も当然ない。
手をつなぐのがせいぜい。

それが美しい。
中学生でなく、いい大人だから美しい。

ヒロインは波瑠。
彼女の凛とした美しさと謎めいた雰囲気に惹かれる。
本作は彼女以外は考えられない。

好きな女優はたくさんいるが、僕がいざ付き合うとなれば、きっと彼女。
あり得ない話だが、そんな気がしてならない。
すいません・・・。

主役の二宮和也は泣いてばっかりだが、
同じように泣いていたオッサンも多いと思う。
こんなラブストーリーもたまには観た方がいい。

そして、ここにも登場するのがリリーフランキー。
「アンダーカレント」では饒舌だったが、本作では寡黙。
黙々とコーヒーを淹れ、笑顔で接するだけ。
舞台となる珈琲店「ピアノ」に絶妙なバランス。
助演男優賞かな・・・。

せつないし、悲しいし、嬉しい。
こんな映画も大切にしたい。
そう感じた一本。
スルーしなくてよかった。

酒場へ

ほぼ雑誌を読まなくなった。
楽天マガジンや日経ビジネスはWebで読んではいるが、
紙の雑誌を購入することはまれ。

その中で2か月に一度送られてる「VISA」は数少ない定期購読の雑誌。
沢木耕太郎ファンとしては「感じる写真館」の連載は楽しみの一つ。
沢木氏のあんな生活に憧れる。

そして、今回は嬉しい特集「酒場」。

居酒屋探訪家の太田和彦氏のエッセイと訪れたお店が紹介されている。
いい、これがいい。
こんな生活を目指していくのだ。

昨年に役職が変わり、以前より時間に余裕を持てるようになった。
しかし、僕のイメージとは異なり、余裕の持て方が違った。
夕方には時間が空き、ブラブラと伏見から名駅にかけて「酒場」に顔を出す。
一人チビチビと酒を飲む。
そんな生活の予定だった。

それが僕の考える余裕。
現実は違った。
日中に予定がなくても意外と夜が忙しい。
飲みの場はありがたいことに多いが、一人ふらっと行ける環境ではない。
(結構、マジメな会合も多いのです・・・。)
この1年で一人飲みなんて1~2回だと思う。

理想は週1回。
日が明るいうちから飲み始め、2~3軒ハシゴして、それでも20時には家路に着く。
「あら、今日は早いのね」
「まあ、こんなもんだよ」
「飲みすぎ禁止だからね」
「合点承知の助だよ」
と家人と昭和的な会話をして風呂に入り、22時には就寝。

そんな生活を目指していたが、今のところほど遠い。
いつそんな日がやってくるかな・・・。

本特集では僕の妄想を掻き立ててくれそうな「酒場」が紹介されている。
湯島の「シンスケ」は昨年、副本部長に連れてってもらった。

名酒場の条件である「いい酒、いい人、いい肴」が揃ったお店。
他にも秋葉原、月島、門前仲町のお店も紹介されていた。
東京出張は夜の予定は入れず、そんな店に顔を出そうと妄想は続く。

また、ニッポン酒場ガイドとして国内の名スポットが紹介されていた。
なんと我が伏見も・・・。
「伏見地下街(長者町横丁)」や「柳橋中央市場界隈」が取り上げられていた。
ここ最近の流れだね。

やはり伏見の酒場といえば「大甚」。
そうそう今週土曜日、経営者仲間と久々に顔を出す。
これも楽しみ。

何度もお邪魔している名古屋を代表する酒場だが、まだ一人で行ったことはない。
それでは一人前の酒飲みとはいえない。
来年は「大甚」に一人で行く。
2024年の目標としよう。

酒場へ。
ステキな特集をありがとうございました。

食べ物のはなし 伏見シリーズ その267

やってまいりました。
大好評、月末のラーメンブログ。
「えっ、もう月末?」と思われる方も多いでしょうが、水曜日は今日がラスト。

今月は伏見シリーズで完結します。
会社を出て広小路通を名古屋駅方面に向かいます。
この通りには飲食店が並びまずが、他の店には目もくれず、ドンドンと歩いていきます。
ヒルトンホテルに差し掛かる交差点で立ち止まり、左手に構えるお店に入ります。

「三代目晴レル屋 名古屋伏見店」に行ってきました。

以前は晴レル屋さんとぎんやさん、フジヤマ55さんのコラボ店でしたが、
鶏白湯専門店に生まれ変わりました。

メニューが並んでいましたが、店内で考えればいいと中に入るといきなり現れた自販機。

こういった自販機の前では意外と何を選ぶか迷うもの。
それも後ろに人が並ぶと焦ってしまいます。
一般的にラーメン店の自販機は現金飲みの場合が多いです。
しかし、こちらは現金以外にも使えるので、そのステップが複雑でそこでも迷ってしまいます。
後ろのお客さんが親切に教えてくれたので助かりました。
少々、恥ずかしかったですね・・・。

オープン間もない店内は奇麗ですね。
いろんなメニューの中から選んだのがこちら。

鶏soba brown 990円

パッと見、ラーメンには見えません。
丼にもこだわりを感じます。
真上から写してみてもラーメンと思えないのは同様。

これからは見た目も勝負なんでしょう。
基本は鶏白湯鶏soba、他には鶏黒湯坦々soba、桜島純鶏つけsobaとあまり馴染みのない名称が並びます。
まずは基本に近いところから攻めるのが王道。
かなり濃厚なスープですが、こちらの選択で正解でした。

ラーメンには珍しくレンコンも入っています。
これがマッチするので不思議な感覚。
気づくとスープも飲み干してしまいました。

スープの量がほどほどなのが、よかったのかもしれません。

そして、恒例の先月から頂いたラーメンをアップしていきましょう。

卵とじラーメン

塩ラーメン

濃いスガキヤラーメン

叉焼麺

担々麺

鶏白湯そば

濃厚鶏白湯担々麺
なんだか担々麺と鶏白湯そばを混ぜたようですね。

チャーシューベトコンラーメン

この1ヶ月もいろんなラーメンを頂きました。
これから寒くなってくると更に回数が増えるかもしれません。
くれぐれも飲み会の締めに食べるのは気を付けたいですね。

ごちそうさまでした。

映画「アンダーカレント」

今泉力哉監督は日常を描くのが得意な監督と思っていた。
ごく平凡な人の普通の生活にドラマを生み出す。
そんな監督と思っていた。

本作もその流れを組んでいる面はあるものの、独特の世界。
オープニングで紹介される「アンダーカレント」とは、
1.底流、下層流 
2.(感情・意見などの)底流、暗流
という意味。もっと長い文章だったけど・・・。

映画で意味を紹介されるとストーリーとの関連性を読み込みたくなる。
コミックの読者ならその必要性はないが、
その存在すら知らない者にとっては、
このタイトルは主役の真木よう子を指すのか、
それとも井浦新なのか、永山瑛太なのかと勘ぐってしまう。
まあ、複雑に絡み合ってはいるので、本作を観て感じ取ってほしい。

映画はゆっくりと流れていく。
淡々と描かれる毎日と些細な会話。
そこには表面と内面が介在する。

なんとなくお互いに何かあると感じながらも打ち明けることはない。
本当は打ち明ければラクになれるし、
互いに理解できるのは分かっているが、それができない。

それは銭湯の経営者かなえと住み込みで働く堀の関係性であり、
かなえと失踪した旦那との関係性。
あっ、住み込みで働く堀が井浦新で、失踪した旦那が永山瑛太ね。
結局は自分で話をしない限り相手のことは分からない。
いや、いくら話をしたところで相手のことは完全に理解できない。

それは映画の中だけでない。
自分自身もそう。
30年近く連れ添っている家人のことを僕はどこまで知っているのか。
映画を観ると自信をなくす。

言わなくていいことを言わないのは気遣いだが、本当にそれでいいのか。
すべて明かしたからこそ、あんなラストシーンとなる。
ハッピーエンドなのか、そうじゃないのかは観る人に委ねられている。

そもそも答えなんてない。
本当は答えなんて必要ないのかもしれない。
と感じた作品。

多分、これでは映画コラムニストの役割を果たしていない。
映画については意味不明。

それでいい。
心の中にある何かを言葉にするのは難しい。
言葉にしたところで正しく伝わるかは別。
ただその姿勢が気持ちを動かす。

本作ではリリーフランキーと康すおん(全然知らず…汗)がいいアクセント。
静かに流れる川に優しく石を投げこむように。
そこから広がる何かはあるよね。

今泉監督にはこれからも期待したい。
きっと彼しか撮れない作品は増えていくんだろうね。

映画「月」

144分の上映時間、ピーンと張り詰めた時間を過ごした。
観終わった後は疲れが残った。
それが心地よい疲れならいいが、そうではない。

自らを問いに向かわせる。
果たして自分はどっちの方向を向いているのか・・・。
自分の中で正解は出ている。
至極まっとうな判断。

しかし、それは偽善じゃないかと聞かれれば答えに窮する。
偽善じゃないとは言い切れない。
自分自身があらねばならないという気持ちがそうさせている。

僕だけの問題であれば、特に悩むことはない。
きっと多くの方が同じ感情を抱く。
答えのない映画を見せつけられた。
それも作品に疲れた理由の一つ。

本作は実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにした小説の映画化。
ネタバレしない程度に解説すれば、
宮沢りえ演じる元有名作家の洋子が働く障がい者施設での出来事。

一般的な障がい者施設よりも重度の方が多い。
働く側はどうしても感情的になる。
仮に僕が当事者として常に冷静にいられるかは分からない。
ついカーッとなってしまうこともあるだろう。
そう考えればここで働く人を簡単に非難できない。

自分も加害者になり得る可能性はなくはない。
そこでせめぎ合いながら気持ちを整えていく。
そこで許せない気持ちが強くなってくると・・・。

4月に観た「ロストケア」は介護を描いた作品。
ここでも人を殺める行為が描かれ近しいが、根本的に考えは異なる。
人として扱うか、そうでないか。
客観的に冷静に考えれば誰しも答えは同じなはず。

しかし、そうじゃないよね?というのが石井裕也監督の問いだろう。
この年齢でこんな作品を撮ってしまうとは・・・。
すでに熟年監督の領域じゃないか。

また、本作はなんといっても宮沢りえと磯村勇斗。
これだけ美しくない宮沢りえも初めてじゃないか。
ほぼすっぴん。
この作品に賭ける想いがその表情から伝わってくる。

ここ最近の映画界の若手では磯村勇斗が一番かと思う。
個人的には「ヤクザと家族 The Family」が好きだが、
今年の出演作「最後まで行く」「波紋」も印象的だった。
更に期待が高まるだろう。

観る側が辛くなる作品。
しかし、目を背けることなく観る必要がある作品ともいえるだろう。

たまには学生と戯れてみる

最近、いろんな場に駆り出されるというか、引っ張り出されることが多い。
よほどヒマと思われているのか、貴重な存在なのかは不明。
声が掛かるうちは有難いことと思い、時間の都合がつく限り出席している。

先週14日(土)はバーベキューに駆り出された。
自分がお客さんとして何一つ働かず参加することはあったが、今回は自ら炭をおこしおもてなし。
自分で動くなんて10年以上振り。
ほぼ記憶にない。

なぜこんなことをしているのか。
今回は大学の同窓会の役員として学生との親睦を図るため。
母校の学生が授業の一環で稲刈りをするので、終了後、一緒にバーベキューを楽しむというもの。

大きな目的は現役学生に同窓会活動に興味をもってもらうこと。
堅苦しい場よりも、この方が学生も気軽に参加できるだろう。
会場となる戸田川緑地公園は自宅から自転車で10分程度。
休日のランニングコースでもある。

この日は朝9時に役員仲間と一緒にせっせと準備。

これが稲刈り風景
学生の合流は稲刈りが終わる11時過ぎなので、
それまでは仕込みと試食で先輩らと場を温めておいた。

朝一、市場で仕入れたサザエやエビ、ハマグリを頂きながら、ビールを飲む。
この季節に外で飲むのは気持ちがいい。
あくまでも炭に火が通っているのか、
段取り良く焼けるか確認するため、やむを得ず飲んだり、食べたり・・・。
学生らが参加した時はすっかりいい気持ちになっていた。

最初に挨拶をさせてもらい記念撮影のあとは学生に肉や海鮮を振舞う。

やはりこんな場だと緊張感もほぐれるのか、
今のこと、これからのことなど気兼ねなく会話は広がっていった。

中には僕らよりずっと若い卒業生も参加。
なんと17、18年前に名大社のモニターをやってくれていた子も・・・。
当時、僕が学生モニターの責任者だったこともあり、久々の再会。

活躍している姿は嬉しいもの。
ステーキも出し、腹ペコ連中には焼きそばを大盛で提供。

今の学生は思ったほどアルコールは飲まない。
余るのもいけないので、オジサンが頑張って飲む。
あっという間に時間は過ぎていった。

なんてことはない。
みんなで楽しくバーベキューをやりました!
というだけのイベントだが、こうして学生と交流することも大切。

普段、授業やガイダンスで絡むことがほとんど。
学生はどうしても硬くなってしまう。
たまにはこうして学生や若い連中と戯れるのもいい。
いたずらをしたわけじゃないぞ(笑)。

また、こんな企画を立てていきましょう。
みなさん、お疲れ様でした。

食べ物のはなし 伏見シリーズ その266

伏見シリーズが続きます。
会社エリアの貢献度が高いです。
真面目に会社に行っている証でもありますが、その分、他のエリアには行けていません。
そろそろ違う食べ物のはなしも提供したいですね。
人気ブロガーも体がうずうずしています。

会社から北に向かいます。
広小路通を越え、錦通を越え、長者町に入ります。
このあたりも飲食店は多く存在します。

それも焼鳥系のお店が多いです。
競合がひしめく中、ランチタイムで集約し夜に繋げるお店の戦略は窺えます。
「割烹串焼き 鳥笑」さんに行ってきました。

お店の前にはおススメのランチが飾られています。
極上出汁の親子丼です。

これに惹かれて入店するお客さんも多いでしょう。
カウンターはこんな感じ。

正統派の焼鳥屋さんですね。
「ご注文は?」
「え~っと、親子丼でお願いします。」
その時、瞬間的に頭に浮かびました。

先週も丼物。
2週連続の丼物は人気食べ物ブロガーとしてプライドが許しません。
どうでもいいように思われますが、そこはこだわっていきます。
「すいません、やっぱり出汁巻御膳でお願いします。」

出汁巻御膳 900円

誰にも見られていない環境でしたので、立って上から写真を撮ります。
美しく品が並んでいます。
出汁巻卵を中心にサラダ、みそ豆腐、じゃこの佃煮、明太子、こんぶ、ご飯、漬物、みそ汁。
温泉旅館であれば豪華な朝食になるのかもしれません。

出汁巻からは温かさが漂ってきます。
食べ盛りの頃はとうに過ぎていますので、肉っけがなくても問題ありません。
たまにはこんなヘルシーなランチを頂くことで体を整えていく必要もあります。
どのおかずも個性があり、美味しく頂くことができました。
程よい満足感が体を包んでくれました。

というものの、やはり少し物足りなさを感じたりします。
食べ盛りの頃はとうに過ぎたとはいえ、健康な50代後半男子です。
昆布の代わりに唐揚げ一つでもあると更に満足度は増すでしょう。

ごちそうさまでした。
さて、次回はどこに向かっていきましょうか。

天日干し経営

発売日早々に購入。
著者は元リクルートエージェントの社長であり、
前Jリーグチェアマンであり、
現日本バトミントン協会の会長である村井満氏。

村井さんの著書となれば、迷うとか、書評を読むとか、
誰かに感想を聞くとか、そんな必要はない。
手に取るだけのこと。

僕が尊敬する経営者の一人。
といってもお会いした事は2回しかない。
僕が社外取締役を務める株式会社パフの釘崎会長と懇意にされておりキッカケを頂いた。
一度目は10年前。
二度目が今年6月。
いずれもブログに書いているんだよね。

2013年7月 就職について東京でちょっと考えてみる
2023年6月 本業も頑張ります!

初めてお会いした時、名大社を知って頂いており感激した。
2度目はゆっくりと飲ませて頂いたが、その時の発せられた言葉にも大いに感激。
内容は伏せておくが、本当に心の大きな人はこんな人のことをいうのだろう。

以前リクルートエージェントで働いていた知り合いは、
新人の時に村井さんから声を掛けられ、
それもほとんど接点もないのに名前を呼んでもらい、感動したという。
そのエピソードだけでも十分。

そんな方が唱える「天日干し経営」。
必ず村井氏が言われるのが、「魚と組織は天日にさらすと日持ちが良くなる」。
透明性を増していくことで組織は強くなっていくということ。

本書ではその理由について明確に書かれている。
それは机上の空論ではなく、村井氏の実体験から生まれたもの。
小学生時代から始まり、大学時代に旅を続けたこと、長きに亘るリクルート時代。
神田営業所での某氏とのエピソードは書かれていないが、
リクルート事件のど真ん中にいて経験されたこと。
その後、トップとして導いたリクルートエージェントやアジア関連企業の日々は詳細に書かれている。

僕もそれなりの経験をしているが、村井氏とは比べものにならない。
未知の分野で臨んだJリークチェアマンの仕事も波瀾万丈。
一つの困難を乗り越え、ホッと落ち着いたと思えば、別の困難が襲い掛かる。
どんな場合でも真正面から真摯に向き合い、信頼関係を作っていく。

その行動は「天日干し経営」そのもの。
あの温厚な表情からは窺い知れない苦労はあったかと思うが、
そう思わせないのも村井氏の能力なんだろう。

詳しくは本書を読んで学んでもらいたい。
村井氏だからこそ、世界で活躍するサッカー選手とも友好的な関係を築けたのではないか。
組織を引っ張る人はもちろん、
これからそんな存在になっていく方には是非、読んでもらいたい。

ありがとうございました。

映画「BAD LANDS バッド・ランズ」

原田監督は毎年秋に作品を公開するのが定番になっているのか。
大ヒット作や超優秀作は生まないが、
(大変失礼ですね、すみません)
安定した作品を提供し続けるのは配給側としても安心できる。

昨年は「ヘルドックス」、一昨年は「燃えよ剣」
危ない作品が続くが、
(「燃えよ剣はそうでもない・・・)
これも原田監督の特徴ではないだろうか。
そこからの岡田准一友情出演だったりして(笑)。

本作の上映時間は143分。
その前に観た「白鍵と黒鍵の間に」が94分。
約50分も長いが、その時間は感じなかった。
逆に白鍵~が長く感じたりして・・・。

本作を観た多くの方は言うように安藤サクラの魅力満載で、
彼女のための作品かもしれない。
立ち振る舞いや表情含め、なんでもこなせる女優なんだと改めて感心。

「百円の恋」でボクサーを演じるくらいだから、簡単なアクションはなんでもないか。
「怪物」の出演と合わせ、今年の主演女優賞をそうなめするかも。
キネマ旬報だとこの経歴で歴代トップになるんじゃないか?
日本映画を支える大女優になるんだろうね。

失礼ないい方だが、とびきり美人じゃない女優がこんな活躍をするのは貴重だし大切。
今後の幅をさらに広げてほしい。

俳優絡みでいえばもう一人。
元ヤクザ役を演じた宇崎竜童。
ドラマ「ハゲタカ」の旅館のオーナー並によかった。
あんな表情は彼しかできないのかもしれない。
「ハゲタカ」は序盤で重要な役割を担ったが、本作では終盤で要の役割。
いやいや素晴らしい。
こんな流れになるとは想像していなかったし。

とここまで書いてきたが、映画の内容には全く触れていない。
これでいいのか。
少しは本作の魅力を伝えなきゃいけない。

完全なフィクションだが、実話ベースのストーリーに思えてならなかった。
大阪西成地区のリアルさがそうさせたかもしれないし、
巧みなオレオレ詐欺の動きがそうさせたのかもしれない。

予告編の情報だけで観たので、安藤サクラと山田涼介の兄弟が詐欺事件を
繰り返すのかと思っていたが、そうではなかった。
複雑な愛情が絡み合った人間ドラマ的な要素も強かった。

映画にのめり込むが、一歩引いて客観的な視点で味わっても楽しめる。
本作のような事件が実際にあったら困ってしまうが、
起きてもおかしくないのが今の日本かもしれない。

そんなことを感じた作品。
秋に観るには相応しいね。

映画「白鍵と黒鍵の間に」

何が凄いって、本作で披露されるピアノは主役池松壮亮が弾いていること。
素人レベルの見方だが、こんなに上手いのかと思ってしまう。
調べてみると役作りのために半年間、猛特訓したという。

半年でこのレベルになるとは、その役者魂に感動。
令和の仮面ライダーを演じるだけのことはある。
多くの映画監督が使いたい役者の一人なんだろう。

映画自体はとても不思議な作品。
笑わせたいのか、心の内や葛藤を表現したいのか、その両方なのか、よく分からない。
池松壮亮が二役演じる必要性は映画を観ていくうちに徐々に見えてくる。

映画のモデルは実在するジャズミュージシャン南博でその回想録らしいが、
あえて監督はこんな演出をしているのか。
映画コラムニスト仲間や映画好き仲間にも観てもらい、感想を述べてもらいたい。

映画の舞台は昭和63年の銀座。
僕はちょうど大学4年生になる頃。
バブルのど真ん中の銀座はあんな感じだったのか。
想像していたよりも静か。
もっと華やかな世界かとと思ったが、そうでもない。
怪しい人たちは登場するが想像の域は越えない。
銀座だからパラパラ踊っているわけじゃない。

池松壮亮演じるピアニスト南は多分、20代前半。
音大を卒業し、夢を描きながらももがいている時期。
世代的に共感はできる。
夢と現実に挟まれながら、やるせない気持ちを夜の銀座が癒してくれる。

その癒しが諦めに向かうかどうかで人生は変わる。
なし崩し的に堕ちていくのか、這い上がっていくのか。
銀座という街にはその両方が介在し、酒や女性が翻弄していく。
一度くらいは僕も溺れてしまっていいかも・・・。

ヤクザの親分にも驚いたが、もっと驚いたのが主役南の母親。
洞口依子が演じている。
かなり歳も取ったし体形も変わった。
まあ僕より一つ上だから、そんなもんだろう。
重い病気もされているし。

思い出すのはピンク映画「ドレミファ娘の血は騒ぐ」。
大学時代に試写会で観たんじゃないかな。
ただのピンク映画じゃない。
相手役は伊丹十三で監督は黒沢清。
当時、かなり話題になった。
と同時に洞口依子はアイドル的存在だった。

そんな彼女がすっかりお母さん。
薬師丸ひろ子はどの年代でも演じているので母親役の違和感はないが、
こういきなり出てくると驚きとなる。

それも映画の楽しみ方か。
白と黒の間にはきっと何かがある。
その何かは本人しか分からないのだろう。